ステビア、キシリトール、羅漢果──朝のコーヒーを甘くするための選択肢は豊富です。しかし、健康愛好家や研究者の間で注目を集めているもう一つの甘味料があります。それがトレハロースです。
甘味の新発見
トレハロースは、ユニークな二重グルコース分子の糖で、甘味料市場で独自の地位を築いています。その安定性で知られるトレハロースは、料理用途を超え、食品やその他の製品を新鮮に保つ役割も果たしています。
江南大学の食品科学助教授であり、コーネル大学の博士号を持つアンチ・チェン氏は、エポックタイムズのインタビューで、トレハロースに関する研究について語りました。チェン氏は、トレハロースがショ糖やグルコース、果糖などの糖とは異なる保護特性を持つことを強調しました。
チェン氏によると、トレハロースは「脱水や極端な温度などのストレスによるダメージから細胞や生体分子を保護する能力」があり、「まるで盾のように」機能して、厳しい環境下でも生存可能です。
歴史上、トレハロースは主にキノコ、酵母、蜂蜜、豆、海藻、貝類などの天然食品を通じて私たちの食生活に取り入れられてきました。
チェン氏は「これらの生物はトレハロースを生存手段として利用し、砂漠や氷点下の気温などの厳しい環境に耐えることができるのです」と語りました。
1990年代半ばには、デンプンからトレハロースを製造する新しい方法が開発され、そのコストが大幅に削減されました。これにより、トレハロースは高価なニッチ製品(特定の層、あるいは特定の時期だけ利用)から広く利用可能な成分へと変わりました。結果として、トレハロースは焼き菓子、シリアル、乳製品、アイスクリームなど、さまざまな食品に利用されるようになりました。
これらの食品に含まれているにもかかわらず、トレハロースの消費量はアメリカ人の平均的な砂糖消費量のごく一部に過ぎません。年間一人当たり約21グラムと推定されています。これは、アメリカ人が1日に摂取する71グラムの添加糖に比べれば微々たるものです。
トレハロースは甘味料としてだけでなく、防腐剤や安定剤としても多様な役割を果たしています。食品、医薬品、薬品、化粧品などで広く利用されています。この20年間で、トレハロースの平均的な1日あたりの摂取量は倍増し、現代の食生活に欠かせない存在となっています。
トレハロース市場は安定して成長しており、2029年までに3億3050万ドルに達すると予測されています。これは、2021年の2億4270万ドルから年間5%の複合成長率を示しています。
グルコース調整の利点
トレハロースの利点は、甘味料としての役割にとどまりません。特に糖尿病や代謝健康に関連するグルコース代謝への影響が重要な研究対象となっています。
チェン氏は「トレハロースは低GI(グリセミック・インデックス)で、ショ糖やグルコースのように急激な血糖値の上昇を引き起こさないため、糖尿病の方にとって有益な砂糖代替品です」と述べています。
「Nutrition Journal」誌に掲載された研究では、トレハロースの1日3.3グラムを摂取することが「血糖恒常性の維持に役立つ」とされています。この研究によると、3か月間トレハロースを1日3.3グラム摂取した結果、食後の血糖値が安定し、ショ糖とは対照的な効果を示しました。この研究は、トレハロースが「非糖尿病の人々の耐糖能を改善する」と結論付けています。
別の研究は、トレハロースが血糖値、インスリンレベル、消化に影響を与えるホルモンに及ぼす影響を調査しました。この研究では、トレハロースを摂取すると、ブドウ糖よりも血糖値の急上昇が抑えられ、インスリンの放出も少なくなることがわかりました。これは、トレハロースが血糖値を安定させ、肥満関連の問題を防ぐのに有益である可能性があることを示唆しています。
チェン氏は、トレハロースの広範な可能性について説明しました。
「血糖値の管理を超えて、トレハロースは糖尿病合併症を悪化させる可能性のある終末糖化産物(AGEs)の形成を減少させる可能性があるとされています」
続く
(翻訳編集:清川茜)
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