スタチン系製剤の働き
スタチン系薬剤は、コレステロールの形成に必要な酵素を標的として阻害します。その酵素とは、血液と肝臓にあるHMG-CoA還元酵素です。これがないと、コレステロールを生成できません。
スタチンはLDLコレステロールを減らすのに特に効果的です。LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれてきましたが、その呼称は正しくありません。
英国で最も有名な心臓専門医であるアシーム・マルホートラ博士は、LDLコレステロールについて、「心臓病のリスクを予測するという点では役に立たないバイオマーカーなので、下げることに執着すべきではありません」と述べています。マルホートラ博士は著書『A Statin-Free Life(仮訳:スタチンのない生活)』で、スタチンは心臓病予防には不適切であると論じています。
スタチン系製剤のHMG-CoA還元酵素に対する破壊作用は、コレステロール、特にLDLコレステロールだけでなく、コエンザイムQ10(CoQ10)の産生を減少させる効果があります。その結果、下流の各経路への流れが減少します。
CoQ10が減ることでミトコンドリア機能が損なわれることは問題です。なぜなら、CoQ10は体を生かすためのエネルギー分子であるATPの産生に必要な電子伝達系の鍵だからです。一般的に、CoQ10とミトコンドリアは生命維持と健康な発育に必要とされています。
スタチン服用者はしばしば筋肉痛や疲労に苦しみますが、スタチンの処方によるCoQ10の損失が、その説明として最も有力です。CoQ10の低下によって、ミトコンドリアは心臓を含むほぼすべての筋肉のニーズを満たすことができなくなるのです。
Cochrane Heart Groupは、「心不全の重症度はコエンザイムQ10欠乏の重症度と相関する」と示しています。コレステロール形成経路のような一つの生化学的経路を選択的に毒することで、下流の並行する様々な支流にダメージを与え、予期せぬ結果を招きかねないのです。
スタチン系製剤を服用している人にとって、副作用は避けられません。副作用が蓄積すれば服薬遵守の度合いが下がります。スタチン系製剤を処方された人の75%は、1年後には服用を止めてしまいます。
スタチンとコレステロールにまつわる誤解
私のこれまでの記事や著書を少しでも知っている読者なら、私のことを「医学的に異なる意見をわざと主張する人」とは表現しないでしょう。例えば、前回測定した私の総コレステロール値は289でしたが、特に高齢になった今、私はこの値を望んでいます。コレステロールが体内で果たす重要な役割について、不十分ではないにせよ幅広く研究してきたからです。
しかし、従来の医療提供者の多くはコレステロールを敵視しており、特にLDLを心臓病の容疑者として恐れています。スタチンが死亡率に及ぼす影響に関する8件のランダム化試験のうち、全死因死亡率の減少を示したのは1件だけです。米国医師会や米国心臓協会、その他すべての主流医療機関はそのことを認めながらも、コレステロールを敵視し続けています。彼らは問題分子であるコレステロールを減らすよう、医療従事者やメディア、一般大衆に伝え続けています。
研究者のポーラ・バーン氏、マリアン・デマシ氏、マーク・ジョーンズ氏らは、14万人以上の被験者を対象とした21のスタチン臨床試験のシステマチック・レビューとメタ解析を行いました。その結果、スタチン治療後のLDL低下と死亡、心臓発作、脳卒中との間に一貫した関係がないことを発見しました。
COVID-19ワクチンは有効性が最悪で大変危険でした。それが登場する以前、スタチン系薬剤のリスク対効果比は、あらゆる種類の薬剤の中でも最悪でした。好意的に見て、すでにスタチン支持に偏っていた研究であっても、スタチンは5年間でせいぜい3〜4日の延命効果しかないことがわかっています。
スタチンメーカーはデータを一般公開したことはなく、規制当局もその隠蔽に手を貸してきました。
臨床医はスタチンに対する患者の反応について長年苦情を訴えてきました。スタチンが市場に出回って以来、私や同僚は、スタチンを飲み始めてから体の感覚がなくなったり、筋肉痛になったり、認知機能が低下したりする患者を観察するようになりました。スタチンの服用をやめると、症状はすぐに改善しました。
デイビッド・ブラウンスタイン博士は、「スタチンは現代医学における最大の詐欺です」と2015年にブログで綴っています。
スタチンブーム
現代人は、スタチンブームによってコレステロールが減少し、日を浴びて皮膚でビタミンDを作る能力を失いました。
どういうわけか、一般の人々は、幼少期に何度も注射をすることで免疫システムを授かると思い込んでいます。それだけでなく、コレステロールが不吉で危険な物質であると思い込んでいます。
アメリカは薬漬け文化の国です。成人の66%が薬剤を使用し、アメリカの高齢者の半数が4種類以上の処方薬を服用しています。
その頂点に立つのがスタチン系薬剤です。冒頭でスタチン産業は2019年に100億ドル規模になったと述べました。特許が切れたにもかかわらず、全世界で年間1兆ドル規模になる見込みです。
医療業界が数十年にわたり全米規模で展開したスタチン漬けキャンペーンは、大手製薬会社の株主が最も喜ぶ利益追求のためだった可能性が高いです。医療業界のこの手の影響力を否定するのは、考え方が甘いと言わざるを得ません。
私たちが免疫システムに対して、そして人間の健康におけるコレステロールとビタミンDの重要な役割に対して新たな理解を深めれば、いずれスタチン製剤への私たちの憧れはひっくり返るでしょう。
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