義母の優しさが人生の転機となる

3歳の時に両親が離婚したYokiさんは、母親の愛を感じたことはほとんどありませんでした。大人になってからは、幸せな家庭を持つことを憧れていましたが、ギャンブル好きの母親に巻き込まれ、捕まったこともあります。しかし、未来は真っ暗だと感じていたYokiさんに転機が訪れました。

「水槽のガラス破片とともに金魚の死体が床に散らかっていました」両親がけんかした光景をYokiさんは忘れられません。「幸せな思い出はなく、けんかと暴力しか覚えていません」

Yokiさんが生まれ育った家庭は決して幸福とは言えませんでした。父親は地元でお金持ちとして有名でしたが、母親は無断で大金を持ち出し、別の男性と新しい家庭を築きました。

Yokiさんが彼氏の弘武さんと交際し始めたある日、高速鉄道の列車に乗車しようと身分証明書を提示した際に、鉄道スタッフに止められました。後に、警察が駆けつけ拘留されました。私の名前が「経済ブラックリスト」に載っていたためです。

「母親が、無断で私の個人情報を使用し借金していました。そのため、ブラックリストに名前が載り起訴されました」と彼女は語りました。母親はギャンブル好きで、高級ブランド品をたくさん買っていたといいます。

「パニックに陥り、とても怖かったです」とYokiさんは当時の状況を思い出して言いました。「経済トラブルを起こしたから、弘武さんに振られるのではないかとさえ思いました」

警察が弘武さんに先に帰っていいと言った時、彼はきぜんとした態度で「彼女は婚約者です。どんなことがあったか知りたいし、一緒に解決します」と言ったといいます。それを聞いたYokiさんは感動し、その場に泣き崩れました。今思い出しても、思わず涙が出ると彼女は語っています。

Yokiさんは以前にも付き合った男性がいましたが、母親のギャンブル癖と借金のせいで長続きしませんでした。「その時に、こんな母親を持っているから、一生自分の家庭を作れないと絶望しました」

留置場は売春、麻薬、暴力で捕まった人がほとんどで、汚い食器にまずいご飯、トイレには仕切りもありませんでした。恐怖と屈辱にむしばまれた初日、Yokiさんは何も食べず飲まずで、一睡もせずに過ごしました。

Yokiさんは「3日目の面会日まで耐え抜いた」と述べました。「涙を拭きながら警察の呼び出しを待っていました。弘武の姿が目に入った瞬間、あまりの辛さと恐怖で大泣きしました」

「彼はできるだけ早く解決策を見つけ出すとずっと慰めてくれました」しかし、父親の会社は赤字が続き、訴訟に絡む借金の補填ができないと知り、Yokiさんは不安で胸がいっぱいでした。

「実の母親を憎み、彼女は母親としてふさわしくない、人間のクズだと思っていました」と彼女は話します。弘武さんは近くの旅館にずっと滞在し、のちに彼は10万元を用意し、借金を返済し、Yokiさんは自由の身となりました。

「お金の出処を聞いたら、彼のお母さんからだそうです。彼の両親は私のことを聞いてとても悲しんでいたそうです」とYokiさんは述べました。そして彼の母親からの伝言もありました。「自分の母親を恨まないでください。10か月のつらい妊娠期間に耐えて、あなたを苦労して生んでいるのだから」

普通なら、自分のように厄介なことを起こした人間は避けられてもおかしくありません。「会ったこともないのに借金まで肩代わりしてくれるなんて、今でもこんな優しい人がいるんだ」とYokiさんは驚いたといいます。当時、Yokiさんは弘武さんと付き合ってから2か月経っていましたが、彼のお母さんにまだ会ったことがありませんでした。

「優しいお母さんだなとうらやましかったです」とYokiさんは述べています。「私は、家庭に問題があることにずっと劣等感を覚えていましたが、彼の家族はそれを含めて全部受け入れてくれました」

弘武さんはYokiさんにプロポーズしたとき、家族全員が法輪功修煉していると伝え、彼女の意見を聞きました。Yokiさんは「あなたは素晴らしい人、家族のみなさんも本当に素敵です。私は修煉するつもりはまだありませんが、法輪功はきっといいものだと思っています」と気持ちを明かしたといいます。

Yokiさんのお父さんも弘武さんのことを気に入ったようです。「礼儀正しくて、年長者を尊敬し、私をとても大切にしてくれている」とお父さんが言ったと彼女は述べました。

私たちに長男が生まれた時、義父母は、中国共産党の迫害を避けるためにアメリカに渡航しました。そして義父は2017年に亡くなり、義母は一人になりました。ビザの関係で、夫の弘武さんは一人で中国に残り、Yokiさんが長男とともにアメリカにいる義母のところを訪ねることになりました。

出発前に、Yokiさんの父親は「お義母さんとうまくやっていくんだよ、わがままを言ってはいけない」と彼女に念を入れました。

アメリカにいる間、食事、洗濯、家事や掃除すべてお義母さんがこなしてくれ、Yokiさんがやりたくても、やらせてもらえませんでした。

「欲しいものも全部買ってくれました。夫とけんかしたときには、いつも私の味方になってくれます」と彼女は言います。

「その時、私は次男を妊娠していました。お義母さんは、私の負担を減らすために長男の世話をし、友人と食事をしたり、遊びに行ったりすることを勧めてくれました。お義母さんは倹約家ですが、『素敵な服を買いなさい』『美味しいものを食べなさい』と、私にお金をくれました」

「その時、初めて母の愛を感じました。お義母さんこそ本当の母のようでした」

Yokiさんは短気で怒りやすい性格ですが、アメリカに住んでいる半年間、お義母さんとけんかしたことはありませんでした。お義母さんはとても優しくて、「あなたがいいと思ったら、それでいいですよ」といつも言っていました。

義母は小さなアパレルショップを営んでいます。接客もとても親切で、怒ったりはしません。ある日、一人のお客さんが店に文句を言い、100米ドルをゆすろうとしてきました。義母は何度も説明していましたが聞く耳を持たなかったので、義母はその人に100米ドルを渡しました。

Yokiさんはお義母さんにそうした理由を尋ねました。義母は笑顔で『転法輪』という本を勧めてくれたそうです。

『転法輪』は李洪志先生が法輪功を学ぶ人たちに修煉を指導するための著作であり、真・善・忍を原則として学習者の向上を導く法輪大法の書籍です。1996年1月、中国北京市のベストセラーとなり、現在は40か国以上の言語に翻訳されています。数億人の読者を持ち、世界110以上の国と地域に広がっています。

「読み始めた時に、内容の深さに驚かされました。世界の未解決事件や謎から健全な人間関係を築く方法まで網羅されています」とYokiさんはその時の感動を鮮明に覚えています。良い人になるように教える「真・善・忍」の原則は、悪事を尽くした中国共産党がありとあらゆる手段で法輪功を誹謗中傷する理由となったことも分かりました。

「しっかりと法輪功を修煉し始めたのは2018年でした」とYokiさんは言いました。『転法輪』を読み続け、理解を深めるにつれて、義理の母が修煉する理由と、中国共産党の迫害を受けても命を奪われる危険を冒して修煉を続ける原動力がわかりました。それは真理の力です。

法輪功修煉を始めたYokiさんが一番感じた変化は性格です。元々気短で怒りっぽい性格の彼女は穏便かつ辛抱強くなりました。「今までの不幸で常に不平不満を感じていましたが、今は何かあった時にまず自分自身の行動や考え方を反省するようになりました。そして、実の母への怨念と恨みも捨てました」

Yokiさんは「法輪大法は正法です。中国共産党から誹謗中傷のうそを信じないように、理性で良し悪しを判断してください」とすべての中国人に呼び掛けています。

「私はかつて、人生の苦しみには終わりがなく、善良な人は報われないと思っていました。しかし、私は幸運にも『法輪大法』に出会いました。生まれ育った家庭にもたらした暗雲を一掃してくれ、大法を修煉する夫や夫の家族から温かい家族愛を得られました」とYokiさんは述べています。彼女は、かつて遠い存在だった『幸せ』をやっと見つけました。

安平雅