食べ物は薬にもなる 意外と知られていない桑の実の健康効果

研究によると、桑の実マルベリー)は高脂肪食による体重増加を抑え、体脂肪を減少させ、肝臓への脂質蓄積を防ぐ効果があることがわかりました。

昔から「食べ物は薬にもなる」と言われますが、桑の実はまさにその代表例です。桑の実の治療効果は何世紀にもわたって、認められ、薬としても利用されてきました。

研究によると、桑の実は、がん予防アンチエイジング、血中脂質を下げる効果があり、病気の予防に役立ちます。桑の実は栄養価が高く、たんぱく質、食物繊維、ビタミン、アントシアニンなどのポリフェノール化合物を多く含んでいます。また、抗酸化作用、血糖値を下げる効果、免疫機能を調整する効果があり、腎臓、心臓、肝臓、皮膚を保護する効果も期待できます。

 

がん予防効果について

2020年の研究では、研究者たちは腫瘍を持つマウスに桑の実から抽出された化合物を投与しました。その結果、腫瘍のサイズと重量が著しく減少し、マルベリー(桑の実)エキスが「生体内で肺のがん細胞に対して抗がん作用を発揮する」ことが示されました。

 

脂質を下げる効果

2009年の研究によると、高脂肪食だけを与えられたハムスターと比較して、高脂肪食に1%または2%のマルベリーエキスを加えたハムスターは、血液中の総コレステロールと中性脂肪のレベルがそれぞれ約30~37%および16~35%低下しました。肝臓でも同様に総コレステロールと中性脂肪のレベルが低下しました。

研究者たちは、マルベリーエキスが脂質の生成を抑えることで血中脂質を下げる効果があり、「高脂血症に対する自然の治療法として使える」と述べています。

トルコは桑の実をジャムにして食べます(Svetlana Monyakova / Shutterstock)

 

血糖を下げる効果

2020年に「Oxidative Medicine and Cellular Longevity」で発表された研究では、桑の実には「糖尿病予防や脳を保護する効果」があることが確認されました。

この研究では、糖尿病を患っているマウスにマルベリーエキスを与えると、徐々に血糖値が下がることがわかりました。マルベリーエキスを8~12週間与えた後、血糖値は正常に戻り、マルベリーエキスの糖尿病予防効果が示されました。

さらに、研究者たちは、マルベリーエキスが抗酸化酵素を増やすことで、脳や肝臓、腎臓、膵臓(すいぞう)などの臓器を保護することも発見しました。したがって、マルベリーエキスは血糖値を安定させることで、糖尿病の改善に役立つ可能性があります。

 

体重を減らす効果

2023年のレビューによると、マルベリーエキスは高脂肪食による体重増加を抑え、体脂肪を減少させる効果があることがわかりました。さらに、マルベリーエキスは肝臓内の脂肪蓄積を防ぎ、内臓脂肪の減少にも役立ちます。

研究者たちは、桑の実にはポリフェノールが豊富に含まれているため、これが体内の有害な活性酸素を除去し、脂肪の合成を抑え、代謝を調整する効果があると説明しています。

 

アンチエイジング効果

2024年に「Functional Foods」誌で発表された研究では、自然乾燥したマルベリーエキスが、老化したマウスの皮膚の水分量を大幅に増やし、肌の老化を引き起こす物質のレベルを下げ、酸化ストレスを緩和することが確認されました。この結果から、特に自然乾燥したマルベリーエキスは肌の老化を防ぐ効果が期待できます。

さらに、桑の実に多く含まれるアントシアニンは、加齢に伴う疾患の予防と改善に効果があることが多くの研究で示されています。

桑の実(Regreto/Shutterstock)

 

中医学における桑の実の価値

古代中国の医書には、桑の実の薬効について多くの記述があります。例えば、桑の実は腎臓を強くし、白髪の進行を遅らせ、視力や聴力の低下を防ぎ、感覚を鋭く保つ助けになるとされています。また、関節に良い効果があり、心を落ち着かせる効果もあるとされています。
 

桑の実を食べる際の注意点

桑の実には多くの健康効果がありますが、食べるときにはいくつか注意が必要です。

台湾農業省によると、桑の実はすべての人に適しているわけではないようです。未熟な緑色の桑の実にはタンニン酸が多く含まれており、これをたくさん食べるとカルシウムや鉄分の吸収が悪くなることがあります。特に子供が食べる場合は気をつけてください。また、桑の実は糖分が高めなので、糖尿病の方や消化が弱い方は少量にとどめるようにしましょう。

 

桑の実とクコの実の菊茶

台湾の五甲にある馬光中医クリニックの邱雅笙医師が、桑の実を使った健康に良いお茶のレシピを紹介しています。その名も「桑の実とクコの実の菊茶」です。

桑の実とクコの実の菊茶(胡乃文/エポックタイムズ)

 

<材料>

乾燥した菊の花 5個

クコの実 10粒

桑の実 10粒

 

<作り方>

1.すべての材料をカップに入れ、500mlの熱湯を注ぎます。

2.ふたをして5分間蒸らしてから飲みます。

邱医師によると、桑の実は肝臓と腎臓を養い、血液をサラサラにしてくれます。菊の花は肝臓を清め、視力を向上させ、また、クコの実も肝臓と腎臓を養う効果があります。

 

(翻訳編集:華山律)

Ellen Wan
2007年から大紀元日本版に勤務しており、時事から健康分野まで幅広く携わっている。現在、記者として、新型コロナウイルスやコロナワクチン、コロナ後遺症、栄養学、慢性疾患、生活習慣病などを執筆。