ガーダシル関連の重篤傷害のエビデンスを収集 その存在は否定できない

子宮頚がん予防のHPVワクチン接種後の明らかな重症事例(中)

オーストラリアで5人の女性に脱髄性神経症候群

4価HPVワクチンであるガーダシルの接種後21日以内に多巣性または非定型の脱髄症候群を呈した5人の患者が、2009年にMultiple Sclerosis Journalに報告されました。

2009年1月1日付の多発性硬化症専門誌『Multiple Sclerosis』で報告された通り、5人の患者がガーダシル接種後21日以内に多巣性または非定型の脱髄症候群を呈した。(Multiple Sclerosis)

筆頭筆者であるオーストラリアの神経科医サットン博士は、次のように書いています。「ワクチン接種の対象者である若い女性は、もともとMS(多発性硬化症)のリスクが高いですが、これらの症例における脱髄イベントとの時間的関連は、ワクチンを構成するHPVウイルス様粒子の強力な免疫刺激特性によって説明できるかもしれません」

「これらの症例は、予防接種との一時的な関連性だけでなく、非典型的あるいは多巣性である点も注目に値すると思います」

HPVワクチンによる神経系損傷に関する研究

ガーダシル・ワクチンを接種する以前は健康だった若い女性には、上記のような症例に共通するパターンがあります。彼女たちは2回目の接種後に重度の神経系症状が出現し、しばしば急速に進行します。外見上の症状は様々ですが、そのほとんどが脱髄疾患と診断されています。

脱髄性神経細胞疾患は、神経線維の周囲を保護する被覆が損傷し、神経信号に問題が生じて、脱力感、しびれ、協調運動障害などの症状を引き起こす疾患です。

私たちは歩いたり、何かを見たり、さらには身振りを変えたり、何をするにも神経に頼っています。例えば、寝た状態から立ち上がるとき、自律神経系が刺激され、血圧、心拍数、発汗、脳への血流に変化が生じます。これらの変化に異常がある場合、自律神経系に問題があると考えられます。

イェスパー・メルセン博士はデンマークの医学博士であり、自律神経系疾患に関して35年以上の経験を持ちます。主に自律神経系について、また最近ではHPVワクチン接種に起因する複合疾患について、140以上の科学論文を査読付き医学雑誌に発表しています。

メルセン博士は、HPVワクチン接種に関連した副作用が疑われる患者の臨床と研究の両方に携わってきました。患者たちの症状は、慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)に見られるものと共通しています。

ドキュメンタリー『アンダー・ザ・スキン』の制作チームのインタビューに対し、メルセン医師は次のように答えています。

「2011年に、失神や、立っているときの心拍数の上昇など、奇妙な症状を呈する数人の患者を受け入れたのが始まりでした。その後、2015年に本当に増加し、それ以来、副作用の可能性があるとして約800人の患者を紹介され、集中的に研究してきました」

「患者の多くはさまざまな専門科を受診しています。適切な医療機関にたどり着くまでに長期間を要するのは、失神した患者の典型的な例です。何人かの患者の記録を見れば、1年以内に50人もの医師を転々としていることがわかります」

2015年、メルセン博士は、ティルト試験と自律神経系機能の評価のために彼の失神治療室に紹介された12歳から39歳までの53人の少女と女性を対象に、4価HPVワクチンの副作用が疑われたことを記述した論文をDanish Medical Journal誌に発表しました。

ティルト試験では、患者をゆっくりと上方に傾斜させた検査台に寝かせ、血圧と心拍数を測定し、体位の変化に伴う重力に対する自律神経系の反応を分析します。

53人の患者全員に、起立性不耐性、過度の疲労、激しい頭痛、認知障害、胃腸不快感、広範な神経障害性疼痛など、程度の差こそあれ、顕著な自律神経系機能障害と一致する症状がみられました。メルセン博士の所見は、症状の病態生理を明らかにするための追加研究が急務であることを示唆しました。

「私たちは、同じことを発見した他の国の医師と連絡を取っています。彼女たちのほとんどが、ワクチン接種の1週間後か1ヵ月後に発症したと言うのです。ですから、ワクチン接種によって誘発されたのではないかという考えに至ったのです」

立つだけで失神してしまう少女

ドキュメンタリー『アンダー・ザ・スキン』では、メルセン博士から姿勢起立性頻脈症候群(POTS)と診断された少女、マリカさんについても報告されました。

「最初の予防接種を受けた2009年に症状が出始めました。頭痛と発熱が続きました。立つだけで本当に具合が悪くなってしまうため、2~3週間は横になっていなければなりませんでした。2回目の予防接種を受け、またすべてが再発しました」

「回復しましたが、3回目を打ってからは2度と回復しませんでした」

「両親は私をコペンハーゲンのあちこちの医者に連れて行き、背中のスキャンや血液検査、肺機能検査、心臓の検査などをたくさんしてくれました。『異常はありません。家に帰ってください』と何度も言われましたが、家で普通に過ごすことはできません」

「HPVワクチンの副作用に苦しむ人たちのフェイスブックのグループを見ています。今、このグループには1,613人が参加しています。多くの人が影響を受けています。私たちはこのグループを使って経験を共有し、この病気について感じていることを分かち合っています」

メルセン博士は、マリカさんの失神が心拍数や血圧の神経学的コントロールの異常によるものかどうかを判断するためにティルト試験を行いました。彼女の血圧と脈拍は異常に高レベルで変動していました。

2022年9月23日にエポックタイムズが発表したドキュメンタリーより、メルセン博士のティルト試験を受けるマリカさん。(The Epoch Times documentary “Under the Skin”)

 博士はこのティルト試験について、次のように述べています。「通常、立ち上がると心拍数が急激に上昇し、その後、横になった時よりも10拍ほど高くなります。しかし、今回は心拍数が上がったままです」

「彼女の血圧と正常時のあるべき血圧の差ははっきりとしています。これは考え方でどうこうできません。『血圧を変動させたい』と考えてもどうにもできません。これは病気の客観的な指標です」

メルセン博士は、マリカさんの免疫系が彼女自身の神経を攻撃しているのではないか、おそらくワクチンが誘発した自己免疫反応ではないかと疑っています。

マリカさんは「多くの人から『気のせいだ』『病気ではない』と言われてきましたが、最終的に『それは病気だよ』という人が現れました。私はこれまでずっと病気だったのです。解決することを願っています」と語りました。

エポックタイムズのシニアメディカルコラムニスト。中国の北京大学で感染症を専攻し、医学博士と感染症学の博士号を取得。2010年から2017年まで、スイスの製薬大手ノバルティスファーマで上級医科学専門家および医薬品安全性監視のトップを務めた。その間4度の企業賞を受賞している。ウイルス学、免疫学、腫瘍学、神経学、眼科学での前臨床研究の経験を持ち、感染症や内科での臨床経験を持つ。