ストレス・がん・微生物叢の悪化 診断から始まる悪循環

がんとストレス: 医師と患者が共に管理すべき致命的な組み合わせ(下)

転移とストレス

治療中にがんが転移し、他の部位に広がることが懸念されるため、継続的なストレスはがん患者にとって特に問題です。

元の腫瘍からのがん細胞が壊れて体の他の場所に運ばれると、がんは血液循環系を介して転移または拡散する可能性がある。循環系と同様のネットワークを持つリンパ系でもこのプロセスが発生する可能性がある。(Shutterstock)

Molecular and Cellular Oncology誌に掲載された2016年の研究では、神経系が「闘争・逃走反応」の状態に陥った場合、または慢性的にスイッチが入った状態になった場合に、がんがどのように転移するかを確かめました。神経炎症シグナルはリンパ組織と血管構造を変化させ、リンパの流れを増加させます。 腫瘍細胞がリンパ系に侵入すると、患者の予後はさらに悲惨なものになります。

医師が乳がん患者の手術後にリンパドレナージ(リンパの流れにそって皮膚をさする手技)を推奨することは珍しくはありません。訓練を受けた専門家による穏やかな施術は、リンパ浮腫(手術後に発生する可能性のある腫れ)のリスクがある状況でリンパの流れを適切に保つのに役立ちます。

認定マッサージセラピストのケリー・ケネディ氏は、深呼吸もストレス軽減とリンパの流れの改善に役立つとエポックタイムズに語りました。

「息を吐きながら体の緊張を解き、体の中に空白の部分を増やします。 この空白こそ私たちが人生の中で作り出すべきものであり、それは内側から始まります。私の知るかぎり、ほとんどの人が感情や毒物を溜め込んでいます」と彼女は言いました。

簡単な手順を実行する

がん患者にとって、有益な情報であっても負担になる場合があります。食事法やストレス軽減法、新たな研究などについて調べるのにいっぱいいっぱいだからです。

「希望はストレスを取り除きます。それが重要です」とホルコムさんは語りました。

「たくさんのことを伝えると相手を圧倒させてしまいます。一番避けるべきはストレスです。私はいつも『考えがまとまらない時は、識別力が得られるよう祈りなさい』と患者に伝えます。正しいと感じた道を自分のペースで進むように言います」

ちなみに、従来型に代わる治療法の多くは行動変容に関するもので、ストレスと微生物叢の両方に影響を与えます。

フォンファさんは、「誰もが知っている通り、従来の治療法はあらゆる害を伴います」と語っています。「必ずしもその治療に進む必要はないと人々に示すことが、私の活動の中心にあります」

「また、補完医療で治療毒性を軽減できる可能性もあります。医療制度はそれらの選択肢をすぐには提供しません。人々に対する裏切りのように感じます。私にとって、今回の研究はそのことを実証しています」

病院を超えた支援

アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)は、治療の副作用(ストレス、吐き気、嘔吐)に対処する上で、音楽療法、マインドフルネス瞑想、ストレス管理、ヨガ、指圧、鍼治療などの補完医療が役立つと述べています。

しかし、同学会は「ほとんどの天然物は規制されていないため、治療と相互作用して危害を引き起こすリスクは不確実」と警告しています。

ASCOとBreast Cancer Nowは、以下のアドバイスを提供しています。

  • 気分転換 – 新しい趣味や興味のあることに取り組んでみましょう
  • 瞑想/ビジュアライズ/リラックス – これらの実践を通して、心と体をリラックスさせましょう
  • 整理整頓 – タスクを割り振って、人の手も借り、ツールを活用し、治療過程や日常生活を記録してみましょう
  • カウンセリング – 専門家や親友など、信頼できる相手に自分の気持ちを打ち明けてみましょう
  • 身体を動かす – 定期的な運動で体と心に良い影響を与えましょう
  • ヨガ/太極拳/気功 – 古来の修養でストレスを軽減しましょう
  • 外出 – 日光を浴び、新鮮な空気を味わい、自然の音に癒され、リフレッシュしましょう
  • よく食べる – 本物の食べ物から栄養を得ましょう
  • 十分な睡眠 – 睡眠は免疫力に欠かせませんから、1日7時間は睡眠をとりましょう
  • サポートグループへの参加 – 診療所よりも有益な情報が得られるグループに参加し、理解のある他者との交流を深めましょう
  • リラックスできること – ガーデニングをしたり、音楽鑑賞をしたり、読書をしたり、ペットと遊んだり、楽しいことをする時間を作りましょう
  • 笑う – 面白い本を読んだり、コメディを見たりしてみましょう
  • 日記を書く – 感情を解放することによる治療効果も認められているので、感情を書き出してみましょう

デトックスをしてみる

ホルコムさんは、微生物叢に影響を与えうるもう1つの重要な考慮事項として、毒素(殺虫剤、難燃剤、抗菌製品、人工甘味料)や慢性的なストレス源へのばく露を減らすことを挙げています。がんと診断されたら、それは内面的な健康に取り組む良い機会でもあります。

「治癒するためなら人はなんでもやります。手術したり、食事法に取り組んだり、デトックスしても症状は良くならず、がんも動きません。ところが、昔からずっと引きずってきた何かを許したり、対処したりできると、すぐに治癒し始めるのです」とホルコムさんは語ります。

この種の感情解放ワークとして、認知行動療法とジャーナリングという2つの方法が知られています。

BioPsychoSocial Medicineの2021年のレビュー記事では、認知行動療法を通したセラピストとの会話に、精神的問題、身体的状態、行動上の問題への効果があることが分かりました。また、セルフヘルプとオンライン療法も、精神面と身体面の問題への対処に役立つ可能性があると結論付けています。

トラウマ的な経験を日記に書くことで、精神面と身体面で健康状態が大幅に改善されることがわかっています。1997年に『Psychological Science』誌に発表された、治療プロセスとして感情的な経験について書き記すことに関する研究は、Huberman Labのポッドキャストでも頻繁に参照されています。

「ストレス要因を取り除く方法はたくさんあります。あとはあなた次第です」とホルコムさんは述べています。

イリノイ大学スプリングフィールド校で広報報道の修士号を取得。調査報道と健康報道でいくつかの賞を受賞。現在は大紀元の記者として主にマイクロバイオーム、新しい治療法、統合的な健康についてレポート。