最近、夏の異常な暑さが増し、その期間も長くなっています。このような極端な暑さは、深刻な健康問題を引き起こす可能性があり、最悪の場合、命に関わります。人々は冷たい飲み物を飲んだり、冷たいシャワーを浴びたりして素早く冷やそうとしますが、間違った方法で暑さをしのぐと病気のリスクが高まります。
高温と腎臓病のリスク
暑すぎる気温は、腎臓病のリスク要因の一つとして知られています。体は高温に適応するために体温や血液の循環を調整すると、腎臓に負担がかかり、腎臓機能は損なわれることがあります。ある研究によると、暑さが原因で腎臓結石や腎痛のリスクが32%増え、他の腎臓病のリスクも27%増えることがわかっています。
高温が糖尿病に与える影響
極端な暑さは、慢性病のリスクも高めます。糖尿病の人は体温調整が難しいため、猛暑の日に体を動かすと熱中症に罹りやすくなります。研究によると、糖尿病の人は暑い時には皮膚の血流や発汗がうまくいかないため、これが心臓や血糖値の調整に大きな影響を与えます。特に血糖値のコントロールが難しい人や糖尿病の合併症がある人は、さらに影響を受けやすいです。
研究者は、血糖値をしっかり管理し、定期的に有酸素運動をすることで糖尿病の合併症を遅らせると述べていますが、暑さが厳しいと体に悪影響を及ぼす可能性もあると指摘しています。
高温が死亡リスクを高める
世界保健機関(WHO)によると、2017~2021年の間に、高温による65歳以上の死亡者数は、2000~2004年に比べて85%増加しました。
2022年に発表された『ランセット・グローバル・ヘルス』誌の研究によると、気温が1℃上昇するごとに心血管疾患の死亡リスクが2.1%増加し、発症率は0.5%増加します。特に脳卒中の死亡リスクは3.8%上昇し、冠状動脈疾患と心不全のリスクもそれぞれ2.8%増加しました。
さらに、熱波の期間中は心血管疾患の死亡リスクが11.7%大幅に増加し、熱波の強度が高まるにつれてリスクもさらに上昇します。
研究はまた、65歳以上の高齢者は65歳未満の人々よりも心血管疾患による死亡リスクが高く、加えて熱帯地域に住む人々は他の地域に住む人々よりも、高温による心血管疾患の死亡率が高い傾向があります。
中医師が語る夏季の発汗のメリット
台湾心医堂中医診所の院長である呉国斌氏は、エポックタイムズのインタビューで、中医学には「天人合一」という独特の理念があると語りました。これは、人と自然が相互に対応しているという考え方です。暑い夏には、地面が熱い陽気で覆われ、冷たい陰気は下に沈みます。逆に、寒い冬には、地面の陽気が地下に沈みます。これは、自然界における陰陽の相互作用と相互バランスの一種です。
人体も夏には自然の法則に従い、体表の陽気が盛んで内臓は比較的涼しくなります。そのため、夏には多くの汗をかくことで体内の湿気や冷気、毒素を排出し、体が軽く感じます。一年中ほとんど汗をかかない場合、毒素や湿気が体外に排出されにくくなり、時間が経つと病気の原因となります。
間違った暑さ対策法
暑さをしのぐために間違った方法をとると、健康に悪影響を及ぼします。呉国斌氏は、夏の暑さ対策について以下の点に注意するよう指摘しています。
1.冷たい飲み物やアイスクリームを摂りすぎる
暑さをしのぐために、冷たい飲み物やアイスクリームなどを摂る人が多いですが、これでは体内の熱を効果的に取り除くことができず、胃腸を傷める可能性があります。中医学では健康管理が重視され、特に胃腸の保護を強調します。冷たい食べ物や飲み物の過剰摂取は消化機能を乱し、食欲不振、腹痛、下痢などの症状を引き起こし、深刻な場合は胃腸の機能不全を招くこともあります。
冷蔵庫から取り出した飲み物は、約1時間置いて冷たさが和らいでから飲むのが望ましく、常温の水を飲むことが推奨されます。呉氏は「これは私の経験からのアドバイスです」としています。
2.冷房の風を直接浴びる
呉国斌氏は、体が過熱して汗をかいている時に、冷房の風を直接浴びると、毛穴が閉じて体内の熱が逃げにくくなるため、頭痛や吐き気、腹痛などの不快感を引き起こすと説明しています。
3.大量に汗をかいた後に冷水のシャワーを浴びる
大量に汗をかいた後に冷水のシャワーを浴びると、毛穴が開いている状態のため、冷気や寒気が体内に直接入り込みやすくなり、長期的には関節痛を引き起こします。
4.首の後ろを冷やす
首の後ろには風府穴という重要なツボがあり、ここに冷風や冷気が直接当たると頭痛を引き起こします。従って、湿った冷たいタオルを首の後ろに当てることも避けるべきです。これにより一時的に涼しく感じますが、寒気や湿気が体内に侵入します。
5.運動後すぐに冷たい飲み物を飲む
運動後に冷たい飲み物を飲むと、体温が急激に下がり、体に大きな負担をかけます。冷たい飲み物が喉を通り、気管から胃に至る過程で寒気をもたらし、気管や肺、心臓に悪影響を及ぼします。
呉国斌氏は、夏の暑さをしのぐ際には、体と冷房の間に適度な距離を保ち、体が許容できる温度範囲で、タオルで汗を軽く拭き取る位が最適としています。また、室内外の温度差が大きい時は、薄い上着を持ち歩き、暑い場所から冷房の効いた部屋に入る際に着ることで、寒気が直接体に入るのを防ぎ、数分後には体の熱が自然に冷めるとしています。
(翻訳編集 華山律)
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