髪の成長が25%増加! シナモンの驚くべき効果

成長シナモンは効く?

最近の研究によれば、シナモンの樹皮から抽出される成分であるシンナム酸が、髪の成長を促す効果があり、脱毛症の患者に新たな希望をもたらす可能性があります。

シンナム酸はシナモンに含まれる天然成分で、シナモンは樹皮から得られます。この抗酸化作用を持つ植物化学物質は、糖尿病など特定の疾患から身を守ります。

中国産のシナモンは、風邪や肩こり、腰痛、関節痛を和らげる効果があります。さらに、アンチエイジング効果があるため、最近では化粧品の成分としても利用されています。

研究結果によれば、シンナム酸がオキシトシン受容体の活性を促し、オキシトシンが皮膚の弾力を向上させることがわかっています。ただし、オキシトシン分子はその大きさと速やかに分解される性質のため、人の皮膚に吸収されることはありません。

先行研究を踏まえて、日本の研究チームは、シンナム酸を使用して髪の成長を促す可能性があるとの仮説を立てました。

その研究結果を「Scientific Reports」誌に発表しました。
 

髪の長さが25%伸びる

シンナム酸が髪の成長に与える影響を調べるため、研究チームは人の髪を培養しました。さまざまな量のシンナム酸を異なる毛包に適用し、その結果、髪の毛の軸が長くなることを観察しました。

細胞から作られた培養毛包であるフォリクロイド(Follicloids)は、シンナム酸にさらされることで、軸のような構造の長さが平均で1.25倍に伸びたことがわかりました。研究者たちは、この成長がオキシトシンを使用した以前の研究とほぼ同じであることを確認しました。その研究では、毛包が1.3倍に伸びたと報告されています。

「得られた有望な研究成果は、オキシトシンを対象とした髪の成長を促進する製品開発に役立つ可能性があります」と、この研究論文の主執筆者で、横浜国立大学工学部の福田淳二教授は発表しました。

この研究結果は、副作用があり効果に限界がある現行の薬に比べて、脱毛症治療の分野で前向きな兆しを示しています。しかし、脱毛の問題は脱毛症患者に限らず、化学療法を受けるがん患者や、遺伝、食生活、ストレスなどによる早期脱毛を経験する人々にとっても重要です。これらの人々も、シンナム酸がもたらす可能性のある、より穏やかな治療法の恩恵を享受できるかもしれません。

「シンナム酸が髪の成長を促進する特有の成分であるとの特定は、髪の成長製品の有効性を向上させます」と、この研究の筆頭著者である影山達人氏は述べています。

「また、オキシトシンシグナリングを介した髪の成長促進効果のメカニズムに関する新たな理解は、ヘアケア科学に新しい洞察をもたらし、薬物探索の分野でオキシトシン受容体を対象とした新しい薬剤の開発を加速する助けとなるでしょう」

国際毛髪再生手術学会の報告によれば、2021年には200万人を超える人々が毛髪再生の処置を受け、そのうち150万人以上が非手術的な医療治療を受けたとしています。

「副作用や薬の有効性に関する問題があるものの、脱毛症の治療にはできるだけ体への負担が少ない薬物療法が求められています」と研究グループは述べています。

研究チームは、シンナム酸による治療がもたらす副作用について、さらなる研究が必要だと強調しています。ただし、この有機化合物は既にさまざまな製品に利用されており、これまでにアレルギー反応は報告されていないとチームは報告しています。

「今後の研究では、脱毛症を持つ患者さんから提供された複数のドナーセルを用いて、遺伝子の発現に関する包括的な分析を実施する予定です」と研究者たちは述べています。

 

(翻訳編集 柴 めぐみ)

カリフォルニア在住のフリーライター兼編集者。10年近くにわたってコミュニティ、ジャーナリズム、ヘルスケアなどのニュースを報道し、その功績によりカリフォルニア新聞出版社賞を受賞。