インスリン抵抗性が体重増加の原因? 改善する3つの食事法

多くの人がダイエットをする際に「インスリン抵抗性」という問題を耳にします。糖尿病ではないので自分には関係ないと思う人もいますが、実際には健康な人でもインスリン抵抗性は起こります。さらに、インスリン抵抗性は太る原因となり、体重を減らすのが難しくなる要因でもあります。

インスリン抵抗性は血糖値を長期間高め、炎症を引き起こし、糖尿病や心血管疾患のリスクを増加させます。では、インスリン抵抗性があるかどうかを知るにはどうすればよいでしょうか? そして、日常の食生活でどのように改善すればよいでしょうか?
 

自分でできる! インスリン抵抗性のチェック
注意すべき8つの現象

インスリンは血糖値の安定を維持するための重要なホルモンです。

食事をした後、特に炭水化物を摂取した後、消化器系はこれらの炭水化物をブドウ糖(血糖)に分解し、それが血液中に入ることで血糖値が急速に上昇します。ブドウ糖は細胞の主要なエネルギー源ですが、細胞内に取り込むにはインスリンの助けが必要です。「インスリン抵抗性」とは、体がインスリンに対する感受性を低下させる状態であり、これにより血液中のブドウ糖が細胞内に入ることができず、血糖値が長時間高い状態が続くことを指します。

インスリン抵抗性は太りやすくする原因でもあります。体内にインスリンが存在しても血糖値を効果的に下げられない場合、すい臓はより多くのインスリンを分泌します。余分なインスリンは脂肪の合成を促進し、同時に脂肪の分解を抑制するため、体重が増えやすくなり、余分な脂肪を減らすのが難しくなります。

では、インスリン抵抗性のリスクが高い人やその症状にはどのようなものがあるのでしょうか? 以下の方法で判断することができます。

1. 腰囲と身長の比率 腰囲が身長の0.5以上の場合、警告信号となる可能性があります。例えば、腰囲が80センチメートルで身長が160センチメートルの場合、80を160で割ると0.5になります。これは腰囲と身長の比率が0.5を超えていることを示しており、さらなる検査が必要かもしれません。

2. 黒色表皮症のチェック 脇の下や首筋に黒い斑点や線がないか調べてみましょう。これらは黒色表皮症のサインで、高血糖との関連がよく指摘されています。

3. 糖分への強い欲求 食事やスナックの後でも糖分を強く求める場合、それはインスリン抵抗性の兆候かもしれません。

4. 体重が減らない カロリー計算や食事管理をしても体重が減りにくい場合、インスリン抵抗性が原因の一つと考えられます。

5. 関節の腫れ 関節が腫れることも、インスリン抵抗性に関連する症状の一つです。

6. 皮膚の問題としてのにきび 高血糖は皮膚に悪影響を及ぼし、にきびを引き起こすことがあります。

7. 疲労感と代謝の問題 高い血糖値は細胞を飢餓状態にし、食事をしても疲れや代謝の不調を感じさせることがあります。

8. 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を患っている女性は、特にインスリン抵抗性のリスクに注意を払う必要があります。定期的に血糖値をチェックすることが重要です。

腰囲を測定することで、インスリン抵抗性のリスクを評価できます(Shutterstock)

インスリン抵抗性は健康に悪影響を与えます。もし上記の症状が見られるか、リスクが高いグループに属している場合は、健康を守るために早めに検査を受けることを推奨します。
 

健康的な血糖値を保つための食事の3つのポイント

日々の食生活で、インスリン抵抗性を改善し、健康なインスリン値を維持するためには、どのような食品を選べば良いのでしょうか?
 

●第1のポイント これらの食品を積極的に摂取する

ナッツ ナッツはおやつとしても、メインの食事としても良い選択です。ピーナッツやピスタチオなどのナッツは、インスリン抵抗性を安定させるのに効果的ですが、1日の摂取量は一握りに抑えましょう。

シナモン シナモンには、シンナムアルデヒドやオイゲノールなどの成分が豊富に含まれており、動物実験ではインスリンの効果を高めることが示されています。コーヒーにシナモンを加えたり、料理に使うことで、味わいを深めるだけでなく、健康維持にも寄与します。

水溶性食物繊維 水溶性食物繊維は、胃が空になる時間を延長し、満腹感を感じやすくする効果があり、インスリンの急激な上昇を抑えることができます。オートミールやアズキ、寒天、きくらげ、昆布、海苔、キノコ類、とうがん、ヘチマ、きゅうり、ゴーヤ、キウイ、リンゴなどは、水溶性食物繊維が豊富です。

酢 研究によると、酢は食後の血糖値を助ける効果があることがわかっています。果実酢やバルサミコ酢を10ミリリットル薄めて飲むか、生のレタスサラダにかけても良いでしょう。また、主な食事で酢の効いた海藻や黒きくらげと生姜の和え物などを選ぶことができますし、鍋物には黒酢や白酢をベースのタレとして使うこともできます。

カロテノイドを含む食品 カロテノイド、例えば焙煎されたカロテンやリコピンは、インスリン抵抗性を減少させるのに有効です。カロテノイドを含む食品には、かぼちゃ、さつまいも、みかん、オレンジ、グレープフルーツ、赤い人参、トマトがあり、これらは血糖値を安定させるのに役立ちます。
 

●第2の方法 混合食事法の採用

混合食事法とは、一種類の食品だけを食べるのではなく、様々な栄養素を組み合わせて食べる方法です。たとえば、もしも朝食がトースト1枚とオートミルク1杯だけだと、これらは主に炭水化物で構成されており、血糖値を安定させるには不向きです。トーストに豆乳や卵、アボカドをプラスすることで、食後の血糖値を安定させるのに役立ちます。
 

●第3の方法 炭水化合物の摂取タイミングを管理する

炭水化合物は重要なエネルギー源ですが、いつ食べるかが大切です。インスリン抵抗性を減らすためには、1日の炭水化合物の摂取量を半分にし、特に昼食時に摂ることをおすすめします。昼食は通常、1日の中で最も多く食べる時間であり、炭水化合物を摂るのに適しています。朝食で空腹を感じたら、適量の炭水化合物を取り入れても大丈夫ですが、夕食ではできるだけでんぷんを避け、タンパク質や野菜を中心にすることが望ましいです。

これらの方法を実践すれば、インスリン抵抗性を克服し、血糖値を健康的に保ちながらダイエットに成功することが期待できます。

(翻訳編集 井田千景)

李婉萍