小児の原因不明の突然死は、発作との関連が疑われる

原因不明の小児突然死(SUDC)に関する新たな研究によると、2021年にアメリカで4歳未満の子供2900人が死亡した悲劇的な現象は、発作が原因である可能性を示唆しています。

SUDC は乳幼児突然死症候群 (SIDS) とは異なります。SUDCは診断名ではなく、原因不明の状況で死亡した 12 か月から 18 歳の乳児に用いられる死因です。公衆衛生の修士号を持つエリザベス・ハース氏によると、SIDSはより一般的で、死亡率は出生 10 万人あたり 38.7 人であるのに対し、SUDC の死亡率は出生 10 万人あたり 1 人から 1.4 人と報告してます。

SIDS の一般的な危険因子とされるタバコの煙、ベッドの共有、乳児をうつ伏せで寝かせるなどは、歴史的に SUDC の危険因子ではありませんでした。

米国疾病予防管理センター(CDC)によると、SUDCは1~4歳の子供たちの死亡原因の第 5 位です。

SUDC で亡くなった子供の死因を特定するのは、しばしば困難を伴います。SUDC による死亡原因を調査したニューヨーク大学 (NYU) グロスマン医学部の研究チームは、死亡は「目撃されることはまれで、死後の検査でも何も明らかにならない」と述べています。「死のメカニズムと死因は依然として不明です」

 

発作の歴史と睡眠習慣の関連

SUDCの原因を突き止めるため、研究チームはニューヨーク大学小児突然死研究登録および共同研究で入手可能な睡眠に関連した小児死亡例301件を調査しました。この登録は2014年にニューヨーク大学ランゴーン・ヘルス機関審査委員会の承認を得て設立し、登録した個人の親の同意も含まれています。

NYU の研究チームは、5 歳未満の子供は、年齢の高い子供よりも、死亡の 48 時間前に熱性けいれんを起こし、上気道感染症、発熱の病歴もある可能性が高いことを発見しました。さらに、5 歳未満の子供は、死亡時にうつ伏せで眠っていた可能性が高いこともわかりました。

うつ伏せで眠る子供(Shutterstock)

 

分析には、突然死した小児の7つのビデオのレビューが含まれています。これらのビデオでは、生後 13 か月から 27 か月の幼児が夜間 (7 件中 6 件) または昼寝中 (7 件中 1 件) に死亡しています。死亡時の視聴覚記録は、多くの幼児が死亡の3 日前まで病気であったにもかかわらず、けいれん発作が原因である可能性が高いことを示しています。

データを調べてみると、5歳未満で死亡した小児の29.4%が熱性けいれんの歴史があり、感染症や事故で死亡した幼児の約22%が熱性けいれんを経験していたことが分かりました。

メイヨークリニックによれば、熱性けいれんは高熱によって引き起こされます。単純熱性けいれんは数秒から15分程度続き、通常は 24 時間以内に再発することはありません。複雑熱性けいれんは15分以上持続し、24 時間以内に複数回発生し、子供の体の片側だけに影響を及ぼすこともあります。熱性けいれんの症状には、体温が38度を超える高熱、意識の混濁、手足の震えやけいれんがあります。

ある研究によると、てんかんは子供の海馬に変化をもたらす可能性があり、海馬は空間認識や方向感覚に重要な役割を果たしています。2023年10月に「Epilepsia」誌に掲載された研究では、熱性けいれんの有無にかかわらず、SUDC(突然死亡した子供たち)の患者には海馬に軽度の異常がよく見られると報告しています。また、2016年の「Forensic Science, Medicine, and Pathology」誌の記事では、SUDCのケースの半数が海馬の形成異常を伴う子供たちであるとの報告があります。

 

熱性けいれんの際に子供を安全に保つ方法

熱性けいれんは子供の2〜5%に発生しますが、予防する方法は残念ながらありません。熱によるけいれんは、解熱剤を使って子供の熱を下げることでコントロールできますが、これは快適さを提供するだけでけいれんを防ぐわけではありません。けいれんは、頭部の外傷や低血糖などの健康問題が原因で起こることもあります。

熱性けいれんを経験した子供に対して、毎日の熱性けいれん予防薬の使用を推奨しません。全米小児病院によると、一度熱性けいれんを経験した子供のうち30%が再発し、20%は3回以上経験するとしています。
 

熱性けいれんが起きた際に子供を守るためには、全米小児病院が推奨する以下の予防策を講じてください。
 

  • お風呂では子供を決して一人にしないでください。

 

  • プールでは子供を常に手の届く範囲内に保ってください。

 

  • 湖や川では子供にいつもライフジャケットを着せてください。

 

  • 遊具や木での登高は、3メートル以上にならないようにしてください。

 

  • 自転車に乗る際は、必ずヘルメットを着用してください。

 

(翻訳編集 青谷荘子)

カリフォルニア在住のフリーランスライター兼編集者である。彼女は約10年間にわたり、地域ジャーナリズムや医療関連のニュースを取材し、カリフォルニア新聞出版社賞を受賞した経験を持つ。