日焼けは、誰にとっても心地よいものではありません。皮膚が剥けることや、細かなシワができること、さらには致命的なメラノーマ(皮膚がん)につながることもあり、太陽に長時間さらされることは、望ましくない副作用やリスクをもたらします。夏の太陽はビタミンDを摂取するのに最適な源ですが、何事もやりすぎは問題を引き起こします。
これまでの日焼け止めの使用には、既知のリスクが伴うため、多くの人は、日焼けによるダメージを軽減しつつ、ビタミンDの吸収を促進する健康的な方法を模索しています。この問題に対する一つの解決策は、あなたの食生活にあるかもしれません。
複数の研究において、特にドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)といったオメガ3脂肪酸を摂取することにより、紫外線A(UVA)や紫外線B(UVB)から肌を守る効果が期待できます。さらに、オメガ3脂肪酸の一つであるアルファリノレン酸(ALA)は、炎症反応を抑えることにより、日焼けに対する皮膚の耐性を高める効果があります。
アメリカの多くの人々は、これらの重要な脂肪酸が不足しており、その結果、日焼けから肌を保護するための重要な防御機能を十分に発揮できない可能性があります。皮膚に含まれる脂肪酸の量は、日々の食事からどれだけ摂取しているかに直接関係しています。研究によると、魚油を摂取することで、3~6か月の間に皮膚に脂肪酸が蓄積されます。健康的な脂肪酸を食事に取り入れることは、従来の日焼け止めに代わる自然な方法となり得るかもしれません。
日焼けによるダメージから肌を守る脂肪酸の役割
脂肪酸は、健康な肌を保つために欠かせない成分であり、日焼けから肌を守る役割も果たします。オメガ3脂肪酸は、魚やナッツ、種子などの食品に含まれており、炎症を抑え、日焼けによる肌のダメージを軽減する効果があるとしています。これらの食品を日常の食事に取り入れることで、日焼けによる肌への悪影響を減らすことができます。脂肪酸だけで日焼け対策を完全に行うことは難しいのですが、日焼けケアの一環としての有効なサポートにはなるでしょう。
2003年に「Carcinogenesis」誌に発表された研究では、毎日4グラムのEPAを3か月間摂取した結果、被験者の日焼けに対する耐性が136%向上したと報告しています。また、2013年にマンチェスター大学の研究では、定期的に魚油を摂取することで、日光に対する皮膚の免疫力を強化し、日光による免疫抑制(皮膚がんや感染症に対する防御力の低下)が減少することが確認されました。
別の臨床試験では、参加者が4週間毎日オメガ3脂肪酸を豊富に含む魚油を摂取したところ、日焼けを引き起こすために必要な紫外線量(最小紅斑量)が明らかに増加したことが分かりました。MED(最小紅斑量)が高いほど、日焼けまでに耐えられる日光の量が増えることを意味します。
さらに、2020年に発表された38件の研究をレビューした結果、オメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取することは皮膚がんの発生率の低下を示しました。また、日光にさらされる部分の光老化やシワの形成に対しても、魚油の摂取が効果的であると示唆されています。
紫外線保護効果のある脂肪酸を多く含む食品
EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、脳や心臓の健康に重要なオメガ3脂肪酸であり、特に脂肪の多い魚に豊富に含まれています。これらの脂肪酸は抗炎症作用があり、さまざまな慢性疾患のリスクを減らす効果が期待されています。
オメガ3脂肪酸の紫外線保護効果についての研究では、「EPAとDHAが豊富に含まれる食品として、サバやイワシ、ニシン、サーモンなどの脂肪の多い魚が挙げられ、これらの魚の脂肪酸の30〜50%がEPAとDHAで構成されている」と報告されています。
紫外線から肌を守るために、次のような脂肪の多い魚やナッツ、種子を取り入れることをおすすめします。
サバ 大西洋産のサバは、100グラムあたり2.5グラムのDHAとEPAを含んでいます。
サーモン 種類によって異なりますが、サーモンは100グラムあたり1〜1.8グラムのDHAとEPAを含んでいます。
ニシン ニシンは100グラムあたり1.6〜1.7グラムのDHAとEPAを含んでいます。
タラ肝油 タラ肝油1大さじには2.4グラムのDHAとEPAが含まれています。
缶詰イワシ イワシは100グラムあたり1グラムのDHAとEPAを含んでおり、一般的な缶詰は約100グラムです。
アンチョビ アンチョビは100グラムあたり1.4グラムのDHAとEPAを含んでおり、5匹で約20グラムです。
魚卵/キャビア キャビア約28グラムには1.9グラムのDHAとEPAが含まれており、大さじ1杯では約1グラムになります。
亜麻仁、チアシード、クルミ これらの食品には、ALAというオメガ3脂肪酸が豊富に含まれていますが、体内でALAをDHAやEPAに変換する効率は高くありません。ALAの一部のみが効果的に利用されます。
日焼け止めの使用時に考慮すべき既知のリスク
日焼け止めは、紫外線から肌を守るための手軽で効果的な方法ですが、いくつかの潜在的なリスクも存在します。中には、人体や環境に悪影響を及ぼす化学物質を含む製品もあります。また、日焼け止めを塗ることで安心してしまい、本来避けるべき長時間の日光浴をしてしまうことも問題視されています。
さらに、日焼け止めを使用することで、体内でのビタミンD生成が減少することにも注意が必要です。ビタミンDは、骨を強く保ち、炎症を抑えるなど、健康維持に重要な役割を果たしています。健康的なビタミンDレベルを維持するためには、正午頃の太陽が最も強い時間帯に、短時間だけでも日焼け止めを塗らずに過ごすことが推奨されています。
2021年に発表された研究では、多くの日焼け止めがUVA線に対して十分な保護をしていないことが明らかになりました。さらに、製品ラベルに記載されているSPF値が実際の保護効果と一致せず、実際には表示された値の半分程度しか効果がない場合があることも分かっています。
脂肪の多い魚を十分に摂取すること、保護服を着用すること、日陰を利用すること、そして日中のピークタイムに長時間日光にさらされることを避けることは、肌を守るためのより安全な方法です。
(翻訳編集 華山律)
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