ネギ、生姜、ニンニク 抗がん作用のある薬味(上)

私たちが日常的に使用する多くの食材は、病気の予防や治療に役立つものばかりです。たとえば、食欲をそそられる薬味としてよく使うネギ、生姜、ニンニクは、薬としても利用します。これらの薬味を食事にうまく取り入れることで、心血管を保護し、がんの予防にも役立ちます。ただし、適切な組み合わせや摂取量に注意する必要があります。

 

ニンニクは 血圧を下げ、動脈硬化を防ぐ

ニンニクは「抗がんの王」とも呼ばれています。その抗がん効果は、ニンニクに含まれる強力な栄養素「アリシン」に由来します。研究によれば、アリシンには抗がん作用があり、特に胃がんや大腸がんの予防に有効です。ある研究では、ニンニクを頻繁に食べる人は胃がんのリスクが17%低減するとされています。

また、ニンニクは血管の老化を防ぎ、血圧を下げ、動脈硬化を予防する効果もあります。研究では、高血圧の患者が12週間にわたり熟成ニンニクエキスのカプセルを摂取した結果、対照群に比べて収縮期血圧が約12ミリメートルマーキュリー(mmHg)低下しました。

古代の人々もニンニクの効能を深く理解していました。『本草備要』には、ニンニクは食欲を増進し、脾を健やかにし、内臓を浄化し、疫病を防ぐ薬効があると記載されており、これはニンニクが各臓器のエネルギーの流れを促進し、特に消化系を保護し、免疫力を強化することを意味します。古代の人々はまた、ニンニクに抗炎症作用があり、痔やろう孔(組織に空いた穴)の治療に効果があることを発見し、炎症を抑えるためにニンニクの茎を燃やして灰にし、傷口に塗布していました。

今年6月に発表された最新の研究では、ニンニクの健康効果に関する現代科学の研究が総括され、ニンニクには抗菌作用、抗炎症作用があり、免疫機能を調節し、肝臓、腎臓、胃腸管に有益であることが証明されました。

 

ニンニクの過剰摂取は肺や目にダメージ

ニンニクには多くの健康上の利点がありますが、毎日の摂取量は適度にすべきです。1日3~5片のニンニクを食べれば十分であり、過剰に摂取すると肺や目に悪影響を及ぼす可能性があります。特に視力が悪い方は少量に抑えてください。

ある患者はニンニクが大好きですが、食べると目が赤くなるという症状がありました。ニンニクを食べた後に濃いお茶を飲むと改善されることを伝えました。また、胃潰瘍や胸焼け(みぞおちの上の辺りがジリジリ、ヒリヒリと焼けるような感じ、しみる感じなどの症状)を持つ人もニンニクの摂取は控えるべきです。特に生のニンニクは胃粘膜を刺激しやすく、より強い刺激を与える可能性があります。

 

ニンニクの臭いを消す方法

ニンニクは匂いが強いため、食べた後に口から強いニンニクの匂いが漂い、恥ずかしさや不快感を感じる人もいるかもしれません。そのような時には、ピーナッツを数粒食べたり、牛乳を飲んだりすると、口の中の匂いを早く消せます。これは、ピーナッツと牛乳に含まれるタンパク質がアリシンの硫化物と結合して、口の中のニンニクの味を消すことができるからです。

ネギ入り納豆丼(shutterstock)

 

ネギが がんの再発を予防し、便秘を解消

ニンニクと同様に、青ネギにも硫化物が含まれており、抗菌作用やがんリスクを減らす効果があります。研究によれば、青ネギやニンニクから抽出された硫化物は腫瘍細胞の増殖を抑制することがわかりました。適切な濃度では正常細胞に毒性はなく、抗腫瘍効果を発揮します。

50代の患者が食道がんを患った際、医師は彼に禁酒を勧め、2日に1回ネギ入り卵焼きを食べるようアドバイスしました。その後7年間、その患者さんのがんは再発していません。また、ネギは便秘にも効果的です。ネギにはペクチン、つまり水溶性の食物繊維が含まれており、これが便に水分を与え、排便をスムーズにする効果があります。

 

(翻訳編集 清川茜)

王賀
胡乃文
台湾台北市にある上海同徳堂の伝統中国医学医師。カリフォルニア州サニーベールのNine Star University of Health sciencesの教授であり、また、スタンフォード研究所で生命科学の研究員としての経験を持つ。20年以上の臨床経験を通じて、14万人以上の患者を治療。中医学を用いて世界で5人目の悪性黒色腫患者を治癒させたことで名を馳せる。現在、登録者数70万人を超えるYouTubeの健康番組を主宰。また、オーストラリアや北米などで開催されている健康とウェルネスに関する人気のロードショーでも知られている。