ネギ、生姜、ニンニク 抗がん作用のある薬味(下)

ネギのレシピと活用法

  1. 青ネギと豚肉の炒め物 大腸がんの予防に役立つ

「青ネギと豚肉の炒め物」を試してみてください。豚肉を薄切りにし、ネギと塩その他の調味料を加えて火が通るまで炒めます。豚肉の脂とネギの甘みが合わさり、非常に美味しく仕上がります。この料理を定期的に食べることで、腸胃を養い、家族全員を結腸や直腸がんから守ることができます。

  1. 白ネギスープ 風邪による鼻詰まりを解消

季節の変わり目や温度変化が激しい時期には、風邪をひきやすくなります。その際にネギが役立ちます。中医学では、ネギ、特に長ネギの白い部分が風邪の治療によく使われます。中医学では、ネギは発汗を促し、寒気を取り除き、気血を活性化する効果があります。つまり、体内のエネルギー(気)と血液の循環を促進し、体を温めるという意味です。白ネギスープの作り方は以下の通りです。

ネギ3本の白い部分を細かく切り、鍋に500ミリリットルの水を入れて沸騰させます。沸騰したら切ったネギを鍋に入れ、1分間煮ます。煮えたら火を止め、さらに1分間蒸らし、ネギを取り出します。

熱いうちにスープを飲むと、鼻詰まりが解消され、頭痛もなくなります。

さらに、白ネギスープに白米を加えて炊くと、美味しくて風邪を追い払う効果のある白ネギ粥が出来上がります。

 

生姜で体を温め胃を健やかにし がん細胞を凋亡させる

最後に紹介する抗がん効能のある食材は生姜です。生姜の根には、強力な抗がん成分であるジンゲロールとショウガオールが含まれています。「ひね生姜ほど辛い」とよく言われますが、これは古い生姜ほどジンゲロールの含有量が高いためです。研究によると、ジンゲロールは腫瘍細胞のミトコンドリアを破壊し、細胞のアポトーシス(自然死)を誘導するほか、がん細胞の転移を抑制する効果があります。

また、生姜を加熱すると、ジンゲロールはショウガオールに変化します。研究によると、ショウガオールは卵巣がんの細胞を自ら自然死させる作用があり、がん治療の標的薬である「ゲフィチニブ」と併用することで、がん細胞の耐薬性を防ぐ効果もあります。

生姜の効果的な摂取方法として、炒め物に生姜を使って香りを引き立てたり、魚のスープを作る際に生姜で臭みを消したり、寒い日には生姜の紅茶を飲んだりすることがおすすめです。こうして、ジンゲロールとショウガオールの両方の抗がん成分を一度に摂取することができます。

生姜入り紅茶(shutterstock)

 

夏に最適な生姜

中医学では、食べ物や薬には「寒、涼、温、熱」という性質があるとされています。寒性や涼性の食べ物は体を冷やし、温性や熱性の食べ物は体を温める効果があります。
「冬に大根、夏に生姜を食べれば、医者いらず」と言われるように、生姜は温性の食べ物で、夏に食べることで体内の寒気を排出し、胃を温める効果があります。

夏の高温の時期に、なぜ生姜を食べる必要があるのでしょうか? 暑い日には、多くの人が冷房を最も低い温度に設定し、冷たい飲み物を楽しむことが多いですが、これが脾胃(消化器官)に負担をかけることを忘れてはいけません。

胃や、それと対応する脾は温かい環境を好み、寒冷な食べ物を嫌います。冷たい食べ物を大量に摂取すると、体内に寒気を入れ、腸胃の機能を乱し、腹痛や下痢を引き起こします。そのため、夏でも脾胃を温めることが大切です。料理やスープを作る際に、生姜を少し加えることをお勧めします。たとえば、生姜とエリンギを使った炒め物や、緑豆スープに生姜を数枚加えると、清涼でおいしく、脾胃を整える効果があります。

中医学の臓腑理論によると、脾は単なる解剖学的な脾臓だけでなく、脾を中心としたエネルギーシステムで、膵臓や腸胃を統括しています。脾が寒気によって損傷を受けると、体内の水分代謝が正常に行われず、「湿気」が溜まりやすくなります。これにより、浮腫や疲労、関節痛などの症状が現れます。湿気が排出されると、体が軽くなり、気分も良くなります。

冬に手足が冷えやすい人は、生姜紅茶を飲むと体が素早く温まります。また、スーパーで生姜黒糖を購入し、紅茶に入れて飲むのも効果的です。

 

生姜入り紅茶の作り方

まず、ひね生姜をよく洗い、すりおろします。次に、熱い紅茶を一杯いれ、生姜おろしを加えます。お好みに応じて黒糖を加えれば、完成です。

もし生姜の繊維感が苦手な場合は、生姜をすりおろし絞って生姜汁に替えると良いでしょう。生姜入り紅茶を飲むと、お腹がポカポカして体の冷えが払拭され、体の寒気が取り除かれて温かくなります。

 

(翻訳編集 清川茜)

王賀
胡乃文
台湾台北市にある上海同徳堂の伝統中国医学医師。カリフォルニア州サニーベールのNine Star University of Health sciencesの教授であり、また、スタンフォード研究所で生命科学の研究員としての経験を持つ。20年以上の臨床経験を通じて、14万人以上の患者を治療。中医学を用いて世界で5人目の悪性黒色腫患者を治癒させたことで名を馳せる。現在、登録者数70万人を超えるYouTubeの健康番組を主宰。また、オーストラリアや北米などで開催されている健康とウェルネスに関する人気のロードショーでも知られている。