新しい研究によると、同じ油を何度も使って揚げ物をすると、脳にダメージを与え、アルツハイマー病やパーキンソン病といった病気のリスクを高める可能性があることがわかりました。
その原因は何でしょうか?
油を高温で繰り返し加熱すると、有害な物質が生まれ、肝臓や腸、脳をつなぐ大切なネットワークが乱れることが考えられます。その結果、脳への悪影響が次世代にも及ぶ可能性があるのです。
揚げ油の使い方と脳へのリスク、どちらを優先する?
フライドポテトやフライドチキンなど、多くの人が大好きな揚げ物。アメリカ農務省(USDA)は、揚げ油は3か月まで安全に使えるとしていますが、食品業界では週に2回は油を交換することを勧めています。使用頻度が少ない場合でも、2週間に一度は油を交換することが推奨されています。
しかし、最近の研究によれば、揚げ油を再利用することで脳の健康に大きな影響を与える可能性があることがわかりました。この研究結果は、アメリカ生化学・分子生物学会の年次総会で発表されています。
再利用された油は、肝臓、腸、脳の間で行われる大切な情報伝達に悪影響を及ぼし、神経の機能が衰える原因になることが明らかになりました。この肝臓–腸–脳のネットワークは、体の多くの機能を調整する上で重要であり、そのバランスが崩れると、アルツハイマー病やパーキンソン病、多発性硬化症、自閉症などの神経疾患と関連する可能性があるのです。
再利用された揚げ油 子どもの脳にダメージを与える
これまで、高温での揚げ物が代謝に問題を引き起こすことは知られていましたが、揚げ油を長期間摂取することによる健康への影響についての研究はほとんど行われていませんでした。しかし、インドのタミルナドゥ中央大学の准教授であり、今回の研究を主導したカティレサン・シャムガム氏は、揚げ油の長期間の摂取が子孫に神経変性を引き起こすことを初めて示したと述べています。
研究チームは、雌のラットを5つのグループに分け、それぞれ異なる食事を30日間与えました。1つのグループには標準的なラット用の飼料を与え、他のグループには、加熱していないひまわり油、加熱していないゴマ油、再加熱したひまわり油、または再加熱したゴマ油をそれぞれ0.1ミリリットル追加した飼料を与えました。
その結果、再加熱された油を摂取したラットは、酸化ストレスが増加し、肝臓の炎症や大腸の損傷が見られました。この影響で、肝臓の脂質代謝が変化し、脳に必要な脂肪酸の輸送が減少し、結果としてラットとその子どもに神経変性が引き起こされました。
また、再加熱された油を摂取したラットの子どもたちは、対照群の子どもたちに比べて神経の損傷を受けやすいことがわかりました。
この研究は、再利用された揚げ油が天然の抗酸化物質や健康に良い成分を失わせ、神経系や生殖系に悪影響を与えることが知られているトランス脂肪酸やアクリルアミドなどの有害な化合物を含む可能性があることを強調しています。
研究者たちは、肝臓の炎症や神経変性を減少させるために、オメガ3脂肪酸や、クルクミンやオリザノールのような栄養補助食品を摂取することを推奨しています。しかし、特に再利用された油で作られた揚げ物が健康に与える悪影響について、さらなる臨床研究が必要だと述べています。
安全に揚げ物を楽しむためのヒント
「オリーブオイルを含むすべての不飽和油は、高温で何度も加熱すると、ラットを対象とした試験で発がん性があることが確認された化合物を生成します」と、カリフォルニア州ムリエタにあるホイト・インテグレーティブ・ヘルスのオーナーで、機能性医学の専門家であるトレイシー・G・ホイト氏は「エポックタイムズ」に語っています。
安全性と品質を保つために、ホイト氏は毎回新しい調理油を使用することを推奨しています。しかし、彼は「大量の揚げ物を頻繁に行う場合、経済的には現実的でないこともある」と認めています。
そのような場合には、煙点の高い油を選び、食材の準備で油の汚染を最小限に抑え、使用後は残った食べ物の粒子を取り除くために油を濾すことが良い方法だと彼は述べています。適切に保存すれば、ほとんどの油は再利用できると付け加えています。
ホイト氏は、使用済みの油が冷めた後に適切に濾され保存されていないと、油に残った食べ物の粒子に危険な細菌が繁殖する可能性があると警告しています。また、冷蔵されていない使用済み油は、致命的なボツリヌス毒素を産生するクロストリジウム・ボツリヌム菌の増殖を助長する可能性があると述べています。
ホイト氏によると、揚げ物に最も安全な調理油は、高い煙点のアボカドオイルだそうです。また、精製されたココナッツオイルも、バージンココナッツオイルの煙点が約177℃であるのに対し、約204℃から232℃の煙点を持つため、良い選択肢であると述べています。
避けるべき種子油
「有害な工業用種子油は8種類あります。キャノーラ油、コーン油、綿実油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、ブドウ種子油、米ぬか油です」と、アメリカ臨床栄養委員会の認定資格を持つ機能性医学の専門家、ロン・グリサンティ氏は「エポックタイムズ」に語っています。
これらの油は、非常に高温で処理され、その際に脂肪酸が酸化されます。「これにより、健康に有害な副産物が生成されます」とグリサンティ氏は述べています。
また、これらの種子油に含まれるオメガ6脂肪酸を過剰に摂取すると、体内で炎症を引き起こす化学物質が生成されることも指摘しています。
「レストランのフライヤーのように、工業用種子油が何度も加熱されると、さらに有害な副産物が生成されます」とグリサンティ氏は述べています。
(翻訳編集 華山律)
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