栄養士おすすめ!伝統スイーツ『豆花』は豆乳の25倍のカルシウム含有

カルシウムを補うために、牛乳や豆乳を愛飲する人が多くいます。豆乳の味わいは濃厚で、牛乳よりカルシウムの含有量が多いと思われていますが、実はそれほど期待できないと栄養士が指摘しました。190ミリリットルの無糖豆乳には、カルシウム含有量は23ミリグラムしかありません、カルシウムを効率的に摂取したいなら、台湾伝統スイーツ「豆花」をお勧めします。

「豆花」(トウファ)とは、台湾のスイーツで、大豆から得られた豆乳を硫酸カルシウム等の凝固剤で固め、成形したもので、日本の絹ごし豆腐よりも柔軟な食感のゼリー状の食品です。

栄養士の楊哲雄さんはカルシウムを摂るには「豆花」が非常に良い効果を期待できます。しかし、選ぶポイントがあると紹介しました。伝統の作り方を伝承されているものを選ぶべきです、100グラムの伝統「豆花」に300ミリのカルシウムが含まれており、豆乳の25倍となります。一方、スーパーやコンビニに販売されている「豆花」のカルシウム含有量はかなり少ないです。

楊哲雄さんは、フェイスブックの公式ページ「好食課」で、その違いを紹介しました。伝統的な豆花もコンビニやスーパーの豆花も主な原料は豆乳ですが、カルシウム含有量には違いがあり、理由は使用される凝固剤の種類です。カルシウムを補う効果がある伝統的な豆花は石膏(硫酸カルシウム)を凝固剤として使っています。コンビニやスーパーで販売されている豆花の凝固剤はにがりです。

伝統的な豆花は石膏(硫酸カルシウム)を凝固剤として使用しているため、100グラムには300ミリグラムのカルシウムが含まれており、これは牛乳の3倍、豆乳の25倍に相当しますと楊さんは紹介しています。

さらに楊さんはコンビニやスーパーの豆花の凝固剤が、石膏(硫酸カルシウム)を使っていないため、カルシウム含有量は絹ごし豆腐や豆乳とほぼ同じで、100グラムあたり約12ミリグラムしかないと指摘しています。コンビニやスーパーの豆花の凝固剤は、にがりやゼラチン、そして寒天などが使われているので、食感はプリンやゼリーに近く、柔らかくて弾力があります。中には、より風味を豊かにするために生乳、卵、ミルクパウダーを加えている製品もあります。

伝統的な豆花が苦手の方には腎臓専門の栄養士で糖尿病アドバイザーの呉佳穎氏は「豆乾」(硬めに作った豆腐を脱水させ、圧縮したもの)を推奨しました。40グラムの豆乾には274ミリグラムのカルシウムが含まれており、190ミリリットルの無糖豆乳(カルシウム含有量23ミリグラム)と比較して約11倍の差があります。

豆乾(Shutterstock)

 

呉佳穎氏は、ベジタリアンや乳糖不耐症の方にも、豆乾類の食品を摂取し、カルシウムを補給するよう推奨しています。

 

石膏で作られた食品は安全でしょうか

市販されている豆腐など豆類の加工食品には多く「石膏」つまり硫酸カルシウムを凝固剤として使用されています。石膏は工業原材料のイメージが強くて、食品に使う場合に、安全面には大丈夫でしょうか、腎臓に被害をもたらすのではないかと疑問を持っている方が多くいると思います。

まず、台湾では食品薬品局は国際基準を参考にして、食品用無水硫酸カルシウム(Anhydrous: CaSO4)および二水硫酸カルシウム(Dihydrate: CaSO4 · 2H2O)を安全な食品添加物として認定しています。現在市販されている豆腐は安全であり、安心して食べることができます。

日本の場合では、硫酸カルシウム(石膏)、塩化マグネシウム(ニガリ)、グルコノデルタラクトン、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、計五種類の凝固剤は食品衛生法に認定されており、安心安全に使ったり、食べたりすることができます。

台湾ベジタリアン栄養学会も、石膏は天然鉱物であり、滑らかな食感を持つ豆腐を作る凝固剤として最適である、ベジタリアンにとって、優れたカルシウムの供給源でもあり、日々のカルシウム摂取量を満たすには役に立つと発表しました。腎臓に持病を持っている方は控えたほうがいいですが、健康な人は食用石膏を摂取しても問題ありません。

石膏は優れたカルシウムの供給源でもあり、日々のカルシウム摂取量を満たすのに役立つという(Shutterstock)

 

豆腐には、石膏以外に、硬めの豆腐を作る時に「にがり」、食感が柔らかい豆腐を作る時にグルコノデルタラクトン(GDL)、さまざまな凝固剤を使用されています。

 

にがり豆腐の栄養効果が高い?

にがりとは、海水から塩を抽出する時にできる液体のことです。海水を煮詰めていくと、水分が蒸発し塩が固体となります。この塩を取り除いたあとのドロドロとした透明の液体が「にがり」 です。海水から食塩を除いた苦味たっぷりの液体です、ここには塩化マグネシウムや硫酸マグネシウム、塩化カリウムなどのミネラルが内包されているため、にがり豆腐を食べると、マグネシウムなどのミネラルも摂取できます。

にがりは海水から抽出した凝固剤として、高価です。にがりで作った豆腐は食感がやや粗くなりますが、マグネシウムを豊富に含んでおり、骨の弾性や密度を維持するのに役立ちます。

また、絹ごし豆腐にはほとんどグルコノデルタラクトン(GDL)が凝固剤として使われています。GDLはでん粉を原料として、発酵法で作られたものですので、ミネラルの含有量は少ないです。にがりや石膏(硫酸カルシウム)で作った豆腐と比べて、栄養成分が低いという欠点はありますが、食感は柔らかくて滑らかです。

グルコノデルタラクトン(GDL)を凝固剤として使用した豆腐は、食感が柔らかくて滑らかです(Shutterstock)

 

石膏(硫酸カルシウム)、にがり、グルコノデルタラクトン(GDL)は凝固剤としてよく使われています。カルシウムを豊富に含んでいるのは石膏だけです。牛乳を飲む習慣がない方は、カルシウムを摂るために、石膏を使った豆腐や豆花を食べましょう。また、緑野菜や黒ごまを豆乳と一緒に摂取することをお勧めします。

(翻訳編集 正道 勇)

 

曾子衡