エナジードリンクの影響 子供の心臓と精神に潜むリスク

レッドブルが「翼を授ける」かもしれませんが、お子さんには眠れない夜をもたらすかもしれません。

エナジードリンクは、その派手なデザインや「元気が出る」という言葉とともに、若者たちに大人気です。しかし、そのカラフルな見た目や魅力的なキャッチコピーの裏には、子供たちのまだ発達途中の体や脳に悪影響を与える、大量のカフェイン砂糖が隠れています。

時々、大人がエナジードリンクを飲むのは問題ないかもしれません。これらの飲み物には、年齢制限がなく、子供たちが簡単に入手可能な状況にあります。新しい研究では、これらの飲料に含まれる成分が、子供たちにとって危険であることが明らかになっています。

 

大規模な研究が示すリスク

イギリスのニューカッスル大学とティーズサイド大学の研究チームは、2016~22年の間に行われた57件の研究を詳しく調べ、その結果をエルゼビアの学術誌「Public Health」に発表しました。この研究では、エナジードリンクが子供たちに与える健康リスクについて、気になる結果が明らかになっています。調査対象は、9~21歳の120万人以上の若者で、20か国以上で実施されました。

研究結果によれば、市販されているエナジードリンクは、子供たちの体や心に深刻なリスクをもたらす可能性があります。

この研究では、エナジードリンクの消費が、刺激を求める行動や非行、睡眠不足、学業成績の低下といった問題と関連していることがわかりました。また、自殺リスクの増加、心理的な苦痛、ADHDの症状、うつやパニック、アレルギー疾患、インスリン抵抗性、歯のトラブルや摩耗などとも関連があることが示されています。

エナジードリンクの消費が、睡眠不足、学業成績の低下といった問題と関連していることがわかった(Shutterstock)

 

カフェインと砂糖がたっぷり入っているため、エナジードリンクを飲んでいる子供たちは、飲んでいない子供たちに比べて、太りやすくなったり、心臓がドキドキしたり、高血圧になりやすいことがわかりました。

さらに、エナジードリンクを飲むことと、喫煙や飲酒、過度の飲酒、薬物乱用といったリスクの高い行動との間にも強い関連性が見られました。特に男子は女子よりもエナジードリンクを多く飲む傾向があることがわかっています。

 

研究の限界と未解明の疑問

研究者たちは、特定のエナジードリンクのブランドを指定したり、エナジードリンクを飲む子供と飲まない子供との健康リスクを比較して数値化することはしていません。

この点で、この研究には限界があり、観察研究であるため、エナジードリンクが悪影響を引き起こすことを証明できたわけではありません。もしかすると、これらの飲み物はすでに不健康なグループの間で単に人気があるだけかもしれません。

しかし、研究者たちは、特に砂糖と組み合わさったカフェインが、観察された有害な影響を説明できる可能性があると示唆しています。

 

医師たちが子供の摂取に警鐘を鳴らす

Statistaによる1万46人の18~29歳を対象とした調査では、2023年12月時点で3分の1が定期的にエナジードリンクを飲んでいると報告しています。

エナジードリンクは、通常、高い炭水化物とカフェインを含んでおり、子供や大人が摂取することでリスクを伴うと、低炭水化物ダイエット「Zone Diet」の開発者であるバリー・シアーズ氏は述べています。

「血糖値を安定させるのに役立つ飲み物、例えば乳糖を含まないミルクなどを選ぶ方が安全です」と、今回の研究に関与していないシアーズ氏は「エポックタイムズ」に語っています。

乳糖を含まないミルクは、血糖値を安定させる効果があり、子供の飲料に優れている(Shutterstock)

 

ティーズサイド大学の公共健康栄養学教授であり、この研究の主著者であるアメリア・レイク氏は、プレスリリースで「エナジードリンクは、エネルギーやパフォーマンスを向上させる方法として子供や若者にマーケティングされていますが、私たちの研究結果は、実際にはそれが益よりも害をもたらしていることを示唆しています」と述べています。

さらに彼女は、この10年間、エナジードリンクが10歳の子供たちでも、時にはボトルウォーターよりも安価で手に入れられることに警鐘を鳴らし続けてきたと付け加えました。

大部分のエナジードリンクに含まれるカフェインと砂糖の量は、子供たちの長期的な健康にとって安全ではないと、米国の認定心臓専門医であるジャック・ウルフソン博士は「エポックタイムズ」に語っています。

ウルフソン博士は、子供はカフェインを大量に摂取すべきではないと述べています。彼は『The Paleo Cardiologist: The Natural Way to Heart Health』の著者でもあります。

特にこれらの飲み物に含まれる加糖について懸念を示しており、「有機コーヒーや緑茶の一口は問題ありませんが、カフェイン入りのソーダは確かに問題です」と彼は言います。「砂糖は毒です」

カフェインや砂糖が大量に入っている飲み物は、子供の健康にとって安全ではない可能性がある(Shutterstock)

 

砂糖は心拍数と血圧を上昇させ、糖尿病のリスクを高め、脳や免疫システムに影響を与えます。

また、エナジードリンクは、2022年に「Reviews in Cardiovascular Medicine」に発表された科学的レビューによると、不整脈、心臓発作、突然死を含む致命的な心血管疾患とも関連があることが示されています。大量のカフェイン、タウリン(アミノ酸)、砂糖が心拍数、血圧、心臓の収縮を増加させる可能性があります。

「子供たちはこれらの飲み物で突然死することがあります」とウルフソン博士は言い、「長期的に見れば、その被害は壊滅的なものになることが証明されるでしょう」と述べています。

 

(翻訳編集 華山律)

がん、感染症、神経変性疾患などのトピックを取り上げ、健康と医学の分野をレポート。また、男性の骨粗鬆症のリスクに関する記事で、2020年に米国整形外科医学会が主催するMedia Orthopedic Reporting Excellenceアワードで受賞。