執着を離れれば、本当に食べたいものが感じられる

科学が証明!一緒に食べると効果倍増の食材5選

流行のダイエットやスーパーフードが注目される中、昔から親しまれてきた食材組み合わせには、長年の知恵が詰まっています。例えば、タンポポの葉にレモン汁をかけた春のサラダヨーグルトに蜂蜜をひとさじ混ぜる、バターをたっぷりかけた新鮮なニンジンなど。これらの組み合わせは美味しさだけでなく、栄養面でも大きな効果があります。

昔から家庭で使われてきた食材の組み合わせは、最近の研究でもその健康効果が裏付けられています。特定の食材同士を組み合わせることで、栄養素の吸収が良くなり、食事の栄養価がさらに高まるのです。

 

バターと野菜

蒸した新鮮な野菜に溶けたバターをかけると、風味が格段に引き立ちます。特にバターがブロッコリーの隙間に染み込むと、さらに美味しくなります。北欧では野菜をバターで調理するのが伝統的ですが、これは単に美味しいだけでなく、栄養の吸収を助ける効果もあります。

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バターは、ニンジンに含まれる脂溶性のβカロテンの吸収を助ける(Shutterstock)

 

オレンジ色の野菜や葉物野菜には、ビタミンKやβ-カロテン(ビタミンAの前駆体)が豊富に含まれており、これらの栄養素は脂溶性です。そのため、脂肪が少しあることで体内での吸収が良くなります。さらに、バターなどの脂肪分は料理の味を引き立て、野菜をもっと食べたくなる効果もあります。

この効果を最大限に活かすには、野菜をローストする際に溶かしたバターやギー(精製バター)を少しかけたり、蒸した野菜にバターを添えると良いでしょう。また、オリーブオイルなどの健康的な脂肪を使っても同じ効果が得られます。

 

トマトとオリーブオイル

トマトとオリーブオイルは、地中海料理の定番コンビです。スペインのソフリート(地中海料理でよく使われる香味ベースのことです。

玉ねぎ、ニンジン、セロリなどの野菜をじっくり炒め、旨味を引き出したもの)、フランスのラタトゥイユ(南部のプロヴァンス地方、ニースの郷土料理で、夏野菜をじっくり煮込んだ料理)、濃厚なイタリアのソース、そしてギリシャの煮込み料理など、さまざまな料理にこの組み合わせが見られます。このペアは単に美味しいだけではなく、心臓の健康をサポートする強力な組み合わせでもあります。

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オリーブオイルは、トマトに含まれるリコピンの吸収を促進する(Shutterstock)

 

バターと野菜の組み合わせが栄養素の吸収を助けるように、オリーブオイルとトマトを一緒に摂ることで同じ効果が得られます。トマトには、βカロテンに関連する抗酸化物質リコピンが豊富に含まれており、このリコピンがトマトに鮮やかな赤色を与えています。オリーブオイルはリコピンの吸収を高め、特にオイルとトマトを一緒に調理すると効果が増します。

この組み合わせは、地中海食の健康効果の一部を支える要素であり、心臓病のリスクを減らす可能性があるとされています。

この効果を最大限に引き出すためには、パスタソースに少量のオリーブオイルを加えたり、トマトにオリーブオイルをかけてローストするのがおすすめです。

 

プロシュートとメロン

イタリアで「プロシュート・エ・メローネ」と呼ばれるこのクラシックな組み合わせも有名です。プロシュートとはイタリア産の豚のもも肉を塩漬けし、乾燥・熟成させた生ハムの総称であり、甘いメロンと絶妙なバランスを生み出し、美味しい前菜になります。この2つの食材は相性抜群で、栄養的にも効果的です。

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プロシュートとメロンのクラシックなイタリアンの組み合わせは、少量の脂肪が持つ力を実証している(Monica Bertolazzi/Getty Images)

 

ハニーデューメロンやカンタロープのようなメロンは、ビタミンC、βカロテン、カリウム、そして抗酸化物質が豊富で、免疫機能や肌の健康、そして水分補給をサポートします。一方、プロシュートにはタンパク質、脂肪、塩分が含まれています。

これらを一緒に食べると、プロシュートの脂肪がメロンに含まれるβカロテンや他の脂溶性栄養素の吸収を助けます。また、プロシュートに含まれる脂肪とタンパク質が、メロンに含まれる自然な糖分の吸収速度を遅らせ、血糖値のバランスや代謝の健康をサポートします。

簡単に楽しむには、カンタロープを薄くスライスして、プロシュートで一切れずつ包むのがおすすめです。また、仕上げに熟成したバルサミコ酢(果実酒)を少しかけるのも人気です。

 

柑橘類と葉物野菜

葉物野菜は非常に栄養豊富で、低カロリー、そしてビタミン、抗酸化物質、鉄分などのミネラルがたっぷり含まれています。ほうれん草やスイスチャード、ケール、タンポポ、ビートの葉など、鉄分が豊富な葉物野菜に柑橘類のジュースを合わせることで、鉄分の吸収が促進されます。

柑橘類に多く含まれるビタミンCは、植物性の鉄分を体が吸収しやすくする効果があるため、鉄分不足のリスクがある人々、特に子どもや妊娠可能年齢の女性、そしてビーガンやベジタリアンの人々にとっては特に有効です。

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ビタミンCが豊富な柑橘類のジュースは、葉物野菜に含まれる鉄分の吸収を高める(Shutterstock)

 

この組み合わせを取り入れるのは簡単で、サラダのドレッシングをビネガーから柑橘類のジュースに替えたり、ソテーした葉物野菜にレモン汁を絞るだけで良いのです。

 

ヨーグルトとハチミツ

ヨーグルトは、フルーツスムージーに混ぜたり、グラノーラ(オーツ麦を主原料とし、ナッツ、ドライフルーツ、シロップなどを加えてオーブンで焼き上げた香ばしく風味豊かな食品)やベリーと一緒にボウルで楽しんだりと、人気の朝食食材です。そこにハチミツをひとさじ加えると、さらに美味しさが増します。

発酵食品として知られるヨーグルトには、腸内環境をサポートするプロバイオティクス(有益な微生物)が豊富に含まれています。ただし、そのプロバイオティクスは胃の強酸性環境では生き残りにくいという課題があります。そこで役立つのがハチミツです。

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ハチミツは、ヨーグルトの腸内に優しいプロバイオティクスの効果を強化する(Shutterstock)

 

ハチミツはプレバイオティクスとして機能し、腸内の有益な細菌の餌となります。ヨーグルトに含まれるラクトバチルスやビフィズス菌などのプロバイオティクスが、ハチミツと組み合わせることで活発に働き、腸内環境や消化機能の改善が期待できるのです。

実際、イリノイ大学の研究では、ハチミツがヨーグルトのプロバイオティクスを胃酸から保護し、より多くのプロバイオティクスが腸に届くことが確認されました。特にクローバー蜂蜜がその効果を最大限に発揮するとされています。

また、ハチミツをヨーグルトに加えることで、抗酸化作用も高まることがイタリアのバジリカータ大学の研究で明らかになっています。様々なハチミツがこの効果を持っていましたが、特に濃い色と豊かな風味を持つ栗の蜂蜜が最も強力な効果を示しました。

市販のフレーバーヨーグルトを避け、プレーンヨーグルトと蜂蜜の瓶を手に取るのがおすすめです。ヨーグルトをボウルに入れ、蜂蜜をかけ、新鮮なベリーやナッツを添えれば、ヘルシーで美味しい一品の完成です。

 

(翻訳編集 華山律)