新しい日本の研究によると、脚の筋肉が強い人は、心筋梗塞、いわゆる心臓発作の後に、心不全を起こす可能性が低いことが示されました。この発見は、大腿四頭筋の重要性と、抵抗運動(筋力トレーニング)が予防手段となる可能性を示しています。
932人の心臓発作患者を対象としたこの長期研究は、2023年の「ハートフェイリア2023」、欧州心臓学会(ESC)の科学会議で、発表されました。
この結果はまだ他の研究で再現されていませんが、研究の著者である北里大学大学院医療系研究科の理学療法士、上野兼輔氏は、心臓発作を経験した患者に対して、心不全予防のために大腿四頭筋を含む筋力トレーニングが、推奨されるべきだとしています。
「大腿四頭筋の筋力は、臨床現場で簡単かつ正確に測定できるものです」と上野氏は述べています。
「私たちの研究は、大腿四頭筋の筋力が心筋梗塞後に心不全を発症するリスクが高い患者を特定する手段となり、その後、より集中的な監視を受けることができる可能性を示唆しています」
研究方法
脚の筋力と心臓発作後の心不全リスクの関連を調べるために、この研究では、2007年から2020年の間に心臓発作で入院した平均年齢66歳の患者を分析しました。
これらの患者は、入院前に心不全を発症しておらず、入院中も心不全の合併症を経験しませんでした。
患者は椅子に座り、大腿四頭筋を5秒間できる限り強く収縮させ、その最大筋力を研究者が測定しました。
追跡調査期間の4年半の間に、67人の患者(7.2%)が心不全を発症しました。
年齢、性別、体格指数(BMI)、過去の心筋梗塞や狭心症、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、末梢動脈疾患、腎機能などを考慮した結果、大腿四頭筋の筋力が平均以下の人は、心不全のリスクがほぼ2倍になることがわかりました。
「大腿四頭筋の筋力が低い場合と比較して、筋力が高い場合は心不全リスクが41%低下することが確認されました」と、著者らは述べています。
「さらに、大腿四頭筋の筋力が体重の5%増加するごとに、心不全の発症リスクが11%低下することも示されました」
ウエイトトレーニングをする高齢者は寿命が長い
過去10年間で、研究者たちは糖尿病や骨粗しょう症、腰痛、肥満などの慢性疾患に対する筋力トレーニングの効果を示し始めています。
小規模な研究では、筋力が高いほど死亡リスクが低いことが観察されています。
ペンシルバニア州立大学医学部の研究によると、週に少なくとも2回筋力トレーニングを行った高齢者は、トレーニングを行わなかった人と比較して、追跡調査期間中の全死亡リスクが46%低下することがわかりました。
また、心臓病による死亡リスクは41%、がんによる死亡リスクは19%低下しました。
「この研究は、筋力トレーニングが高齢者において、筋力や身体機能の向上だけでなく、より広範な健康効果をもたらすことを強く示しています」と、ジェニファー・L・クラシュニューキー公衆衛生学および医学の助教授は述べています。
(翻訳編集 華山律)
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