ゴーヤ(苦瓜)は野菜として人々に親しまれていますが、実は生薬としても大いに役に立ちます。ゴーヤは抗がん、抗炎症、血糖値の降下、脂肪肝の予防など効果があります。但し、人によって、ゴーヤの摂取を控えるべき体質も存在し、誤って摂取すると健康ところか、逆効果をもたらす可能性もあります。
ゴーヤはビタミンCやビタミンA、数種類のフィトケミカルなど豊富な栄養素と活性成分を含まれています。生薬としての効能は世界各国の伝統医学に認められています。
脂肪肝の予防
現代社会では、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、脂肪肝など代謝性疾患が増えています。研究によると、ゴーヤは血糖値と脂質を下げる効果があるほか、ダイエットにも役に立ちます。
肝臓を保護する働きも台湾大学の研究で明らかにされました。ゴーヤは炎症を抑え、肝臓に過剰な脂肪を蓄積させないため、アルコール脂肪肝を予防することができます。
脂肪肝が進行すると、肝硬変や肝臓がんを発症させる可能性があります、対策として、日頃からお酒や甘いものに目がない方、体重や体脂肪が基準値を超えている方はゴーヤを積極的に摂取することをお勧めです。
抗がん効果
研究によると、ゴーヤに含まれる活性成分であるモモルディシン(momordicines)、チャランチン(charantin)、トリテルペノイド(triterpenoids)、フラボノイドなどには、抗がん効果があると見られています。
動物実験では、ゴーヤエキスが白血病、乳がん、大腸がん、胃がん、肝臓がんなど様々ながん細胞の成長を抑制できますし、がん細胞のアポトーシス(自然死)を促進させる効果も確認されています。
血糖値を降下させる
ゴーヤに含まれているモモルディシンとチャランチンには、血糖値を下げる効果があり、インスリンの分泌も促します。
ただし、血糖を降下する効果は個人差があります。ある研究では、ゴーヤエキスが2型糖尿病患者に対して糖化ヘモグロビンや空腹時血糖を下げる効果は明確に観察できませんでした。
研究期間が短かったことが原因の一つだと考えられます。また、ゴーヤが血糖値を下げる仕組みとして、膵臓β細胞に刺激を与え、インスリンの分泌を促進し、血糖値を下げることになります。そのため、2型糖尿病が進行し、膵臓のβ細胞が減少した場合には、ゴーヤの効果が十分に発揮されない可能性も考えられます。
熱やのぼせを解消
カロリーが高くて味の濃い食事が好きな人は、口臭、口内炎、喉の腫れ、ニキビなどの症状が出やすくなります。漢方医では、これが体内に熱(火)が過剰に溜まっているためだと考えられ、ゴーヤを食べることで解消できます。現代医学研究でも、ゴーヤに抗炎症作用があり、慢性炎症によるさまざまな病気を改善できることが確認されています。
ゴーヤには「心火」を鎮める効果も優れています。「心火(しんか)」とは、漢方において、心臓が過度に興奮し、体内に熱を発生させる状態を指します。、夏の暑い時期に大量の汗をかき、口内炎、便秘、動悸などの症状が現れます、放置すると心臓機能が弱まりますが、ゴーヤを食べることによって、上記の症状を解消することもできます。
15世紀の漢方医書『滇南本草』には、「ゴーヤは六経の実火を除き、暑さを和らげて体力を増し、煩わしさと渇きを解消する」と記されています。つまり、ゴーヤは体内の余分な「火(熱)」を取り除き、体力を高め、暑さによる不快感や渇きを緩和し、熱中症を防ぐ効果があるという意味です。
『滇南本草』はまた、ゴーヤの葉が腫れ物の治療に有効であると記しています。もし体全体にごま粒ほどの小さな腫れ物や大きな腫瘍ができて激しく痛む場合、ゴーヤの葉を乾燥させて粉末にし、一回につき約12グラムを、石灰や植物の灰を含まない酒で服用すると、よい効果が期待できるとされています。
ゴーヤの葉にはトリテルペノイドなどさまざまな活性成分が含まれ、抗炎症作用があることが現代医学でも確認されていました。ただし、ゴーヤの葉には微量ですが、毒成分も含まれているため、過剰な摂取は控えるべきです。
生か加熱か、調理法によって効果も異なる
清代の名医・王孟英氏は『随息居飲食譜』で、生のゴーヤには苦味があり、寒涼性の食材となります、熱を冷まして解毒作用があり、目を明るくする効果があると記載しています。一方、加熱したゴーヤには肝臓、腎臓、そして膵臓や消化器系全体に栄養を与える効果があることも記載されています。
白ゴーヤと緑ゴーヤ
ゴーヤにはさまざまな色と形があり、白ゴーヤと緑ゴーヤがよく見られます。緑ゴーヤは白ゴーヤよりも苦味が強いです。中には濃い緑色の「山ゴーヤ」という品種は、味が非常に苦いですが、血糖値の降下、脂質異常症の改善やダイエットに効果が抜群です。
このような効果は苦味の成分であるモモルディシンやトリテルペノイドサポニンによるものです。ある患者さんの話によると、彼は山ゴーヤをスライスして乾燥させ、お茶にして飲んだところ血糖値が大幅に下がったそうです。山ゴーヤのエキスを配合したお茶も市販されていますので、食後に飲むと効果が期待できます。
白ゴーヤは苦味が弱いため、苦味が苦手な人にお勧めです。また、カロリーが低くて、夏の食材として最適です。暑くて食欲がないときには、ゴーヤとスペアリブのスープが胃腸の調子を整えて、消化を良くしてくれます。
冷え性や下痢をしやすい人は食べ過ぎに注意
ゴーヤは体に良いものですが、あまり食べないほうが良い人もいます。漢方医学でいう「虚寒体質」の人です。特徴としては、寒がりで手足が冷えやすい、冷たい食べ物を食べると下痢をしやすいことです。
漢方は、食べ物には温性と寒性があるとしています。例えば、生姜や紅茶は温性で、食べると体を温めます。ゴーヤは寒性の食材で、体を冷やす効果があります。そのため、冷え症や下痢しやすい人が食べすぎると、胃腸や消化器の不調を引き起こしやすくなります。臨床実験では、ゴーヤを大量に摂取した際に最も多く見られる副作用は、腹痛と下痢です。
レシピーゴーヤと肉の炒め、豆鼓入り
妻がよく作る料理に「豆鼓入りのゴーヤと肉の炒め」があります。ゴーヤと豆鼓の組み合わせは、塩味に香り、ほのかな甘みが絶妙です。豆鼓は調味料であり、漢方薬材でもあります。黒豆や大豆を蒸して乾燥させた発酵食品で、適量を摂取すると腸を整え、消化を促します。ぜひお試しください。
材料:
• 白ゴーヤ:500g
• ヒレ肉:150g
• 豆鼓:小さじ1
• 唐辛子:1本
• ニンニク:3個
• 塩:少々
• 砂糖:少々
• 醤油:小さじ1
作り方:
1. ゴーヤを縦半分に切り、種と白い膜を取り除いて薄切りします。ヒレ肉は細切りにし、少量の油で和えておく。ニンニクをみじん切りにします。
2. 乾いたフライパンを熱し、ゴーヤを入れて弱火でから炒め、水分を飛ばしたら、取り出します。これは苦味を取るポイントです。
3. 再びフライパンを熱し、油を大さじ2杯入れて、ニンニク、唐辛子、豆鼓を香りが出るまで炒め、さらに肉を加えて炒めます、2のゴーヤをいれて、塩、醤油、砂糖で味を整えたら完成です。
(翻訳編集 正道 勇)
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