生命を守る五臓を大切にー古代の養生法と
避けるべき習慣
〇 陽渓(ようけい)という指圧点を押す
〇 就寝前に小さなカップ一杯の温かい水を飲む
● 塩分の多い食品は血管を収縮させ、血流を妨げて高血圧や腎結石のリスクを高める
〇 穏やかで前向きな生活態度は肝臓の健康に良い影響
私たちの体は、驚くほど精巧に調整されたシステムです。内部の器官はそれぞれが特定の役割を果たし、体全体の効率的な働きを支えています。特に、心臓、腎臓、肺、肝臓、脾臓の五つの臓器は年齢とともに弱りやすく、しっかりとケアする必要があります。これらの臓器を守るためには、中国の伝統医学の知恵が役立ち、内側から健康をサポートしてくれます。
心臓のケアについて
心臓病は年齢とともにリスクが増す深刻な健康問題です。心臓発作の発生は、気温や時間帯といった環境要因にも影響を受けます。極端な温度は心臓に大きな負担をかけ、血圧の変動を引き起こしやすくなり、心血管の問題を引き起こすリスクが高まります。そのため、心臓は急激な温度変化に敏感であり、突然死のリスクも上がることがあります。
心臓の健康を守るための2つのシンプルな方法
1. 緊急時の指圧
呼吸が苦しい、または心拍が速く強く打っていると感じたとき、陽渓(ようけい)という指圧点を押すことで症状を緩和できる場合があります。陽渓は、親指の付け根の背面に位置しています。
この指圧点を3~10分間押すことで、心拍や血圧を安定させ、呼吸がしやすくなります。不整脈や心拍が速くなる傾向がある人にも効果が期待でき、症状を和らげる助けになります。
中医学によると、経絡とは体内を流れるエネルギーの通り道であり、内部の臓器と体表を結んでいます。経絡上には特定の機能を持つ「ツボ(経穴)」が存在し、これらのツボを鍼やマッサージなどで刺激することで、関連する臓器の病気を改善する効果があるとされています。
2. 就寝前の温かい水の摂取
ある臨床研究によると、心筋梗塞の発症率は午前8時から9時にかけて最も高く、真夜中の0時から1時と比べると3.8倍にも達すると報告されています。就寝前に小さなカップ一杯の温かい水を飲むことで、早朝の血液の粘度を下げ、心筋梗塞のリスクを減らす助けとなります。これを習慣化することで、心臓の健康を長期的にサポートする効果も期待できます。
ただし、水を飲むタイミングを誤ると、かえって心臓に負担をかけることもあります。例えば、運動後に冷たい飲み物を飲むと血管が収縮し、血圧が上昇しやすくなり、心臓発作のリスクが高まることがあります。実際、ある36歳の男性が、激しい運動後に冷たい飲み物を飲んだ後、心臓発作を起こしたケースも報告されており、彼には冠動脈疾患のリスク要因が特に見られませんでした。
腎臓を害する一般的な習慣
腎臓は特に塩分の過剰摂取や脱水に対して脆弱です。塩分の多い食品は血管を収縮させ、血流を妨げて高血圧や腎結石のリスクを高める可能性があります。長期的には透析が必要になることもあります。
2023年にJAMA Network Openで発表された研究によると、食べ物に塩を追加する頻度が高いほど、慢性腎臓病の発症リスクが高まることが示されています。この研究では、食事に加える塩分を減らすことが、一般の人々が慢性腎臓病のリスクを下げるための有効な方法であると提案しています。
以下の症状は、塩分の過剰摂取を示しているかもしれません:
お腹が張ったり、むくみ(浮腫)を感じる
水を十分に飲んでいるにもかかわらず口が渇いたり喉の渇きが続く
血圧が高くなる
腎臓の健康を保つためには十分な水分補給が重要です。体が脱水状態になると、腎臓は血液を効果的にろ過できなくなり、最終的には腎臓に損傷を引き起こす可能性があります。塩分の多い食品を摂りながら水分を十分に取らないと、腎臓に負担がかかります。
水分補給の状態は尿の色で確認できます:
薄い黄色:適切な水分補給
濃い色:脱水
非常に薄い色:過剰な水分摂取
肺の損傷を防ぐための簡単な方法
肺や呼吸器系は、体外からの脅威に対する最初の防御線を形成しており、また体の中で最も繊細な器官とされています。肺の健康を維持するためには、いくつかの重要なポイントがあります:
喫煙を避けることはもちろん、受動喫煙にも注意する
車の排気ガスを吸い込まないようにする。特にバイクに乗る際にはマスクを着用する
調理中の油煙を吸わないようにする。換気扇を使うか、十分な換気を確保する
中医学では、肺は「白色」と関連しており、白い食品を摂ることで肺を養うとされています。例として、山芋やレンコンは炒め物やスープに加えられ、白キクラゲはデザートに使えます。また、梨もデザートとして肺を潤す効果が期待されます。
ある研究では、山芋に含まれるグリコプロテインが抗炎症作用と免疫調整作用を持ち、急性肺損傷を受けたマウスの生存率を大幅に改善したことが示されています。
感情のコントロールで肝臓を守る
穏やかで前向きな生活態度は肝臓の健康に良い影響を与えます。肝臓は、抑うつや怒りといった感情に敏感だからです。古代の医学書『黄帝内経』には「怒りは肝を害する」と記されており、怒りが肝臓のエネルギーの流れを乱し、その機能を低下させ、他の健康問題を引き起こす可能性があるとされています。
軽度の怒りや抑うつの場合、目の痛み、不眠症、または膨満感などの症状が現れることがあります。さらに深刻な場合、男性では肝臓や胃を損なうことがあり、女性では乳房や子宮に影響を及ぼし、子宮筋腫や線維腺腫などの病状に繋がる可能性があります。
研究によれば、不安や抑うつなどの心理的苦痛を経験している人は、肝疾患で死亡するリスクが大幅に高くなることが示されています。この結果は、悲しみやフラストレーションといった感情が肝臓の健康に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆しています。
感情を落ち着けるためには、深呼吸などのテクニックが推奨されています。怒りを感じたときには、まずゆっくりと深呼吸を10秒ほど行いましょう。これにより、副交感神経が活性化され、感情を落ち着かせる効果が期待できます。
指圧で脾と胃の健康を促進
中医学によると、脾と胃は消化や栄養の吸収、代謝を担っています。不規則な食事、食べ過ぎ、過度の空腹などの不適切な食生活は脾と胃を傷める原因となります。
脾と胃が弱まると、消化機能が低下し、体内に毒素が蓄積されやすくなります。その結果、高血圧、糖尿病、高コレステロールといった病気を引き起こす可能性があります。また、消化機能の低下は免疫力を損なうため、他の病気にかかりやすくなることもあります。
冷たい食べ物や飲み物、強い味の食品も脾と胃に悪影響を与えます。「強い味」とは、過度に塩辛いものだけでなく、酸味や苦味、甘味、辛味が強い食品も含まれます。そのため、適度な食事と過度に刺激的な食品を避けることが、脾と胃を守るために重要です。
さらに、足三里(あしさんり)というツボを刺激することで、脾と胃を強化することができます。足三里は外膝の真下、指4本分ほど下に位置しています。このツボを定期的に叩くことで、脾や胃に関連する症状を改善し、免疫力を向上させる効果が期待できます。
これらの中医学の方法は、五臓の保護や全身の健康を高める手助けとなります。
注意:治療方法は個人によって異なる場合があります。具体的な治療プランについては、医療専門家にご相談ください。
この記事で述べられている意見は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの意見を反映するものではありません。エポックヘルスは、専門的な議論や友好的な討論を歓迎します。
(翻訳編集 華山律)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。