コーヒーを飲むベストなタイミングを知ることで、健康効果を最大限に引き出すことができます。近年、コーヒーに関する研究が注目を集めており、多くの研究がコーヒーが気分をリフレッシュさせるだけでなく、さまざまな慢性疾患の予防に役立ち、健康的で長生きするためのサポートになると示しています。
コーヒーを飲むべき10の理由
1.脳をリフレッシュ
コーヒーは頭をすっきりさせる飲み物として知られていますが、研究でもこれが確認されています。カフェイン入りのコーヒーは、眠気を引き起こす神経伝達物質「アデノシン」が脳内の受容体に結びつくのを防ぎます。また、カフェインはアドレナリンやドーパミンの効果を高め、さらにリフレッシュ感を得ることができます。
2.脂肪燃焼を助ける
コーヒーに含まれるクロロゲン酸、カフェイン、トリゴネリン、マグネシウムなどの成分は、抗肥満作用を持っています。特に脂肪燃焼効果をしっかり得るためには、ブラックコーヒーを選ぶのがベストです。クリーマーや砂糖、ミルクを加えるとカロリーが高くなり、脂肪燃焼や減量にはあまり向きません。
3.抗酸化物質を補給する
コーヒーは抗酸化物質が豊富で、活性酸素による細胞ダメージを軽減するのに役立ちます。最近の食生活は西洋化が進み、多くの人が肉や高脂肪・高糖質の加工食品を多く摂取し、野菜や果物の摂取量が不足していることから、抗酸化物質の摂取が減少しています。そのため、コーヒーはこうした不足を補う選択肢として注目されています。
4.持久力とスポーツパフォーマンスを向上させる
研究によると、コーヒーには運動中の持久力を高め、疲労を遅らせる効果があります。国際スポーツ栄養学会によれば、多くの研究がカフェインがスポーツパフォーマンスを向上させることを示していますが、その効果は個人差があるようです。
5.糖尿病を予防する
コーヒーに含まれる植物由来の成分は、インスリンを分泌する膵臓のベータ細胞を守り、その機能を維持するのに役立ちます。複数の疫学研究によれば、1日に最大6杯までのコーヒーを飲むことで、2型糖尿病のリスクが減少します。1杯ごとに約6%減少することがわかっています。
6.肝臓がんと肝硬変を防ぐ
BMJ(イギリス医学雑誌)に掲載された研究によると、定期的にコーヒーを飲む人は、がんのリスクが18%低下したと示しています。また、肝臓がんなどの慢性肝疾患のリスクも減少することが確認されています。具体的には、コーヒーを飲まない人に比べ、コーヒーを飲む人は非アルコール性脂肪肝のリスクが29%、肝硬変のリスクが39%低下しています。
7.認知症を予防する
ある研究では、中年期に1日3〜5杯のコーヒーを飲むことで、老年期における認知症やアルツハイマー病のリスクが約65%減少することがわかっています。
8.パーキンソン病のリスクを減少させる
コーヒーに含まれるカフェインとその代謝物には、神経を守る効果があると考えられています。パーキンソン病は代表的な神経変性疾患の一つですが、いまだに有効な予防や治療法は見つかっていません。今年3月のNeurology誌で発表した研究によれば、コーヒーをたくさん飲む人は、飲まない人に比べてパーキンソン病のリスクが約40%低いことが示されました。この研究には18万人以上が参加し、平均12.8年間にわたって追跡調査が行われました。
9.脳卒中のリスクを軽減する
2021年にヨーロッパ心臓病学会(ESC)で発表された研究によると、1日に半杯から3杯のコーヒーを飲むことで、脳卒中や致死性の心臓病のリスクが低くなることが示されています。コーヒーを飲まない人と比較して、適量を飲んでいる人は心血管疾患による死亡リスクが17%、脳卒中のリスクが21%減少するという結果が出ています。
10.死亡率を下げ、寿命を延ばす効果
コーヒーには肝臓を守る効果や抗がん作用があり、寿命を延ばす助けにもなると言われています。研究によると、1日に3.5杯のコーヒーを飲む人は、飲まない人に比べて死亡率が15%低いことが分かっています。その理由の一つとして、コーヒーに炎症を抑える効果があると考えらます。
2017年にNature Medicine誌に掲載された研究によれば、コーヒーは炎症因子である「インターロイキン-1β(IL-1β)」の生成を抑える効果が示されています。この因子は高齢者の血中で高濃度に見られ、心血管疾患やがんなどの慢性疾患に関係していることから、コーヒーの適度な摂取が全身の炎症を抑えることで、死亡率の低下に寄与する可能性があるとしています。
朝コーヒーを飲む前にやっておきたい2つのこと
朝のコーヒーが習慣になっている方も多いと思いますが、実は起きてすぐに飲むと、その効果を十分に引き出せないことがあるのです。コーヒーの効果を最大限にするために、次の2つのことを試してみるのがおすすめです。
1. しっかり水分補給をする
寝ている間、体はたくさんの水分を失います。そのため、朝起きたときは軽い脱水状態になっていることが多いのです。カフェインには利尿作用があるので、コーヒーやお茶を飲む前にまず水をしっかり飲むことが大切です。これで体がリフレッシュされ、コーヒーの効果もより感じられるようになります。
2. 90分待つ
神経科学者のアンドリュー・ヒューバーマン氏は、朝起きてからコーヒーを飲むまでに90〜120分待つことを推奨しています。彼によると、朝起きた直後には体が「コルチゾール」という目覚めを助けるホルモンを生成しており、これが自然に覚醒を助けてくれます。しかし、起きてすぐにカフェインを摂取すると、このコルチゾールの効果を妨げる可能性があるのです。90分ほど待つことで、体が十分に目覚めた後にカフェインの効果を最大限に引き出すことができます。
さらに、カフェインの摂取を遅らせることで、午後の眠気を軽減できるかもしれません。朝早くにカフェインを摂りすぎると、午後に眠気が襲って来て再びコーヒーを飲みたくなることがありますが、それが夜の睡眠の質に影響を及ぼすこともあります。このように少し工夫するだけで、朝のコーヒーをもっと効果的に楽しむことができますよ。
コーヒーの過剰摂取の危険性
コーヒーをたくさん飲み続けると、カフェイン中毒のリスクがあります。一度カフェインを断つと、だるさや疲労感、イライラ、不眠といった禁断症状が出ることがあります。また、過剰なカフェイン摂取によって、不安感や神経の過敏、頻尿、消化不良などの症状が引き起こされることもあります。そのため、コーヒーの飲み過ぎには注意が必要です。
ヨーロッパ食品安全機関(EFSA)によると、健康な成人の1日のカフェイン摂取量は400ミリグラム未満にすることが推奨されています。これは一般的なコーヒーカップでおおよそ4杯分に相当します。妊娠中や授乳中の女性の場合は、カフェインの摂取量をこの半分に抑えることが必要です。
なぜコーヒーは依存性があるのか?
コーヒーが元気を与える理由は、カフェインの「アデノシン」という物質が中枢神経系の受容体に結びつくのを妨げるからです。しかし、長期間コーヒーを飲み続けると、体がアデノシンとその受容体の数を増やしてしまうことが研究で分かっています。これによって、同じ効果を得るために、より多く、より強いコーヒーが必要になり、依存が強くなるだけでなく、禁断症状もひどくなってしまうのです。
さらに、コーヒーで疲労感を改善することで、心理的にも依存しやすくなり、習慣的に飲み過ぎてしまうことを助長します。適度な量を心がけることが、健康を保ちながらコーヒーを楽しむ秘訣です。
コーヒーをやめる際は段階的に
カフェインを断つと、頭痛や疲労感、不安感などの禁断症状が現れることがあります。そのため、コーヒーを急にやめるのではなく、段階的に減らすことを推奨します。ニューヨーク・ノーザン・メディカルセンターのCEOであり、統合精神医学の専門家である楊京端医師も、コーヒーに依存している人はカフェインを急に断つべきではないと述べています。
具体的には、1週間ほどかけて徐々にコーヒーの量を減らしていくのが理想です。その間、十分な水分を摂り、しっかり休息を取ることが大切です。もし激しい頭痛が出てしまった場合には、必要に応じて抗炎症薬や鎮痛薬を使用することも考えましょう。
一般的には、1日に1杯のコーヒーを飲むことは健康的で問題ないとしていますが、「コーヒーに頼りすぎている」と感じたら、少しずつ摂取量を減らしていくのも良いかもしれません。無理せず、自分のペースで減らしていくことで、カフェインの影響を少なくすることができます。
(翻訳編集 華山律)
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