膝を強くする鍵はホウ素? 関節健康の新発見!

ジョギングを考えると痛みで不安を感じますか? 同じ悩みを抱える人は約25%います。しかし、自然の力を借りた簡単な解決法があります。その一つが食事です。

ホウ素が多くの生体プロセスにおいて重要な役割を果たしているという証拠が増えています。研究では、ホウ素がの健康を改善し、炎症を抑えミネラル代謝を調整し、認知機能を高め、さらにはがん治療にも効果があることが分かっています。

 ホウ素の基礎

ホウ素は高校の化学の授業で、周期表の5番目の元素として記憶にあるかもしれません。日常生活では、洗濯で衣類をきれいにする「ホウ砂(ボラックス)」に含まれています。また、ホウ砂は耐熱ガラスを強化し、パイレックスのような耐熱食器を作るのにも使われます。

ホウ素は食物、水、環境中に存在するミネラルで微量元素です。植物には必須ですが、人間にとっての必須性はまだ確立されていません。

「自然界で、私たちが摂取し、体内で利用される形は、通常ホウ酸の形です」と、アメリカ農務省の著名な研究栄養士で、ホウ素の健康効果を約50年にわたり研究しているフォレスト・ニールセン氏は述べています。

「まだ必須とは証明されていません。なぜなら、明確な生化学的役割がなく、食事から除外しても繁殖や生存に影響がないと証明されたわけではないからです。しかし、それにはメリットがあります」とニールセン氏はエポックタイムズに語っています。

また、ニールセン氏は、いくつかの種においてはホウ素不足が壊滅的な影響を与えると付け加えています。

「カエルやゼブラフィッシュなどで、低ホウ素食が胚発生に悪影響を及ぼすことが判明しています。ですから、胚発生に必要かもしれませんが、それはあくまでその2種だけです」と述べています。

人間に対してもホウ素の利点があることは、多くの研究で示されています。

例えば、「Integrative Medicine: A Clinician’s Journal」に掲載された研究記事では、ホウ素が以下のような人間の健康において重要な役割を果たすと述べています。

骨の健康

傷の治癒

ホルモンの調整

マグネシウムの吸収

炎症作用

抗酸化サポート

毒素からの保護

認知機能の向上

がんの予防と治療

研究によると、基本的な健康を支えるためには、毎日少なくとも1ミリグラムのホウ素を摂取すべきですが、多くの人が不足している可能性があります。

「The Lancet Global Health」に発表された最近の研究によれば、50億人以上が微量栄養素不足です。また、全世界のほぼすべての人が、ヨウ素、ビタミンE、カルシウム、鉄、葉酸、マグネシウム、亜鉛、ビタミンCなど15の必須微量栄養素のうち、少なくとも1つは摂取が不十分です。

野菜や植物性食品、ナッツ、豆類を中心とした多様な食事は、ホウ素のレベルを最適化し、膝の健康をサポートするのに役立ちます。

 

膝の健康をサポートする効果

ホウ素には骨の健康をサポートし、炎症を抑えることで関節の柔軟性を高め、こわばりを軽減する効果があり、膝の健康に役立つことがわかっています。

2021年に行われた研究によれば、微量元素であるホウ素とマグネシウムは、骨や関節の発達に不可欠な役割を果たします。特にホウ素(およびセレン)は、抗炎症作用と抗酸化作用を持ち、軟骨の形成を助け、軟骨細胞(軟骨を作る細胞)の増殖を促進することで、変形性関節症の予防や治療に有効であると示されています。

炎症の抑制効果

ホウ素は、炎症を抑える効果も持っています。関節炎、心血管疾患、アルツハイマー病、特定のがんなど、炎症性の疾患で上昇する炎症マーカーであるC反応性タンパク質(CRP)、インターロイキン-6(IL-6)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)を低下させることを確認しています。

ある研究では、膝の一次性変形性関節症と診断された116人に、15日間カルシウムフルクトボレート(可溶性ホウ素の一種)を補給したところ、炎症性サイトカインの大幅な減少と炎症や痛みの軽減が見られました。この結果から、ホウ素の補給が炎症性疾患に対して好ましい効果をもたらすと結論付けられます。

さらに、ホウ素には酸化ストレスを軽減する作用もあります。試験管実験や動物実験(主にラットモデル)において、ホウ素化合物が酸化ストレスによる組織損傷を減らすことを示しています。

骨の健康をサポート

ホウ素はビタミンDの吸収と利用を促進し、カルシウムやリンの代謝を助けることで骨の健康に寄与します。カルシウムとリンは骨の構築と維持に不可欠なミネラルであり、ホウ素はこれらの働きを支える重要な要素です。また、ホウ素が血中のビタミンD(25-ヒドロキシビタミンD)の濃度を上げ、体内のビタミンDのレベルを維持する助けになることもわかっています。

特に閉経後の女性に対する複数の研究で、ホウ素が骨の健康を保つ効果を確認しています。これは、ホウ素がカルシウムの流出を防ぎ、骨の成長や維持をサポートするためです。具体的には、ホウ素はカルシウムやビタミンD、性ホルモンの代謝を調整する役割を持っています。

閉経期の女性は、エストロゲンの減少により骨粗しょう症のリスクが高まります。特に、閉経の移行期にはエストロゲンが減少することで骨の吸収が進み、形成よりも吸収が多くなるため、骨の強度が低下します。試験管や動物実験においても、ホウ素が骨の再生に良い影響を与えることが示されています。

関節機能の改善

ホウ素には関節の健康を向上させる効果もあります。あるレビューでは、ホウ素が膝の不快感を大幅に軽減し、柔軟性を向上させることを示しています。

ランダム化比較試験では、膝の不快感や痛みを持つ60人の参加者に、1日2回110ミリグラムのホウ素(カルシウムフルクトボレートとして)またはプラセボを投与しました。その結果、ホウ素を摂取したグループでは2週間で膝の不快感と痛みが大幅に改善しました。

さらに、8週間の研究で軽度から中等度の変形性関節症の患者20人に対し、1日6ミリグラムのホウ素を、重度の患者には12ミリグラムを投与したところ、関節のこわばりが軽減され、鎮痛薬の必要性が減り、柔軟性や可動性が向上することを確認しました。

 

ホウ素を含む食材

ホウ素は主に植物性食品に多く含まれています。特に以下のような食材に豊富です。

フルーツとフルーツジュース レーズン、プルーン、モモ、ブドウ、リンゴ、ナシ、アボカド

野菜 ブロッコリー、ほうれん草、ニンジン

豆類 ピーナッツ、インゲン豆、ライマメ、グリーンピース

その他 コーヒー、牛乳

(PosiNote/Shutterstock)
フルーツ(Shutterstock)

 

推奨されるホウ素の摂取量

ホウ素には公式な推奨摂取量はありませんが、研究によると、大人は1日3〜6ミリグラムの摂取が健康に役立つとしています。最低でも1ミリグラム以上の摂取が望ましいと考えられています。

骨の問題や関節炎、変形性関節症、膝の痛みがある方は、ホウ素の摂取量を増やすと効果的かもしれません。ただし、症状がある場合は必ず医師の診察を受けてください。

また、ホウ素の研究によれば、1日3ミリグラムの補給は、骨のミネラル密度の維持と改善に役立ち、安全で有益とされています。この量は欧州食品安全機関(EFSA)が定める上限10ミリグラムを大きく下回ります。

一方、アメリカでは成人の許容上限摂取量は1日20ミリグラムとしています。ただし、ホウ素の毒性レベルは1万5千〜2万ミリグラムであり、過剰摂取は非常に危険です。通常、ホウ素による中毒は農薬や洗剤の誤飲によって起こりますが、食品や飲料から自然に摂取するホウ素は基本的に安全とされています。

 

注意すべき点

ホウ素はどの栄養素でも過剰摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、医師の指導がない限り、摂取量は許容上限内に収めることが大切です。

ホウ素中毒の症状としては、吐き気、嘔吐、下痢、発疹、頭痛、けいれんなどがあり、極端に高い摂取量では死亡することもあります。

ホウ素と薬やサプリメントの相互作用は現在知られていませんが、新たなサプリメントを始める際は、特に持病がある場合は医師に相談することを推奨します。少量から始め、体調に合わせて徐々に増やしていくのが理想的です。必ず医療専門家の指導のもとで行うようにしましょう。

 

ホウ素の摂取量を増やすことを検討しましょう

膝の痛みや関節の問題がある方は、ホウ素を多く含む食品を増やしたり、サプリメントを活用して摂取量を増やすことを考えてみてください。ホウ素を増やすのは、例えば毎日コーヒーをもう1杯飲む、たまにワインを楽しむ、または果物や野菜を意識して追加することで簡単に取り入れることができます。

健康専門家のニールセン氏は、「ホウ素は膝の健康に限らず、全般的な健康の改善に役立つ」と述べています。そして、「1日1〜3ミリグラムのホウ素を摂取することで、骨の健康や炎症の抑制、酸化ストレスの軽減など、さまざまな面で健康に有益である」と結論付けています。

(翻訳編集 華山律)

AP
D.Ac
鍼灸医師であり、過去10年にわたって複数の出版物で健康について幅広く執筆。現在は大紀元の記者として、東洋医学、栄養学、外傷、生活習慣医学を担当。