リンゴには、がん予防、血管の健康維持、食欲抑制、便秘解消など、体に嬉しい効果がたくさんあります。安価で栄養豊富なリンゴを毎日の食事に取り入れて、その魅力を存分に楽しんでみませんか?
リンゴを食べると薬の量が減る?
JAMA誌に発表された8728人を対象にした研究によると、毎日リンゴを1個食べる人は、処方薬を使う量が少ない傾向があるそうです。これは、リンゴに含まれる食物繊維やビタミン、ミネラル、フラボノイド(特にケルセチン)といった栄養素のおかげです。また、リンゴを間食として食べると、栄養価の低い他の食べ物を摂取する代わりになることもあります。
リンゴの効果はこれだけではありません。
2023年6月にFood Science & Nutrition誌に掲載されたレビュー研究では、リンゴやリンゴを使った食品には、次のような健康効果があることが分かっています
- 心臓や血管の病気の予防
- がん予防
- 軽度の認知障害の予防
- 髪の成長を助ける
- やけどの治りを早める
- 口内環境を良くする
- ナイアシンによる皮膚の紅潮を防ぎ
- 紫外線による肌の色素沈着を軽減
- 花粉症やアトピー性皮膚炎の症状を和らげる
これらの効果は、血管内皮の保護、脂質低下、抗炎症や抗酸化、抗浸潤(がん細胞が周囲の正常組織に侵入・拡大することを防ぐ)、抗転移(がん細胞が原発巣から離れて体の他の部位に新たな腫瘍を形成することを阻止する)など、リンゴに含まれる成分の働きによるものです。
リンゴの3つの主な健康効果
- 血管を守り、がんを防ぐ
リンゴに含まれるケルセチンは、悪玉コレステロールを減らし、血管を柔らかく保つ働きがあります。また、免疫力を高める効果もあり、がんや心臓病の予防につながるとされています。 - 食欲を抑えてダイエットをサポート
リンゴには、消化されにくい食物繊維が豊富に含まれています。この食物繊維は腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えるとともに、満腹感を与えるので食べ過ぎを防いでくれます。 - 便秘解消で肌も健康に
リンゴの皮には水溶性食物繊維が果肉の2倍以上も含まれています。この食物繊維は水分を吸収して腸の蠕動運動を促進し、便秘を解消します。さらに、腸が元気になると血流が良くなり、顔も明るくなるのです。
簡単に作れるリンゴレシピ
リンゴは一年を通じて楽しめる果物。寒い冬にも暑い夏にもぴったりのリンゴを使った簡単レシピを2つご紹介します。
「リンゴとナツメのスープ」
材料:
・リンゴ1個
・クコの実20グラム
・ナツメ3個
・水1200ミリリットル
手順:
- リンゴを洗ってスライスし、ナツメの種を取ります。
- 鍋に水を入れて沸騰させ、ナツメを加えて5分ほど煮ます。
リンゴとクコの実を加え、さらに3分煮たら完成します。甘みが欲しい場合は氷砂糖を少し加えてください。
このスープは、胃腸の調子を整えて、コレステロールを下げる効果が期待できるスープです。「血」と「気(身体の機能を支えるエネルギー)」を補い、クコの実は肝臓や腎臓の働きを助け、目の健康を守ります。生姜を少し加えれば、寒い冬でも体をポカポカと温めてくれるので、冷えが気になる人にもおすすめです。
「リンゴ紅茶」
材料:
・大きなリンゴ1個
・紅茶ティーバッグ2個
・水3.5カップ
手順:
- リンゴをスライスします。
- 沸騰したお湯にリンゴを入れ、一緒に沸騰させます。
- 火を弱めて20分ほどゆっくり煮ます。
- 火を止め、ティーバッグを入れて2分ほど放置します。温かい紅茶とリンゴの甘い香りで、ほっと一息つける飲み物が完成です。
リンゴの皮はむくべき? そのまま食べるメリットとは
リンゴを食べるときに皮をむいてしまうのはもったいないかもしれません。皮には果肉よりも多くの栄養が含まれています。たとえば、皮には果肉よりもビタミンCが多く含まれており、肌の老化防止に役立ちます。また、ポリフェノールの含有量は果肉の6倍で、ドライアイを防ぎ、目の疲れを和らげる効果も期待できます。
農薬やワックスが心配な場合の対処法
皮の農薬や果実のワックスが気になる場合は、認証を受けた有機リンゴを選ぶと良いでしょう。また、ぬるま湯でしっかり洗うか、柔らかいブラシで磨くのがおすすめです。さらに、リンゴの茎や「がく」(花があった場所)には農薬が残りやすいので、その部分をカットすると安心です。また、高齢者やリンゴを丸かじりするのが難しい方は、スライスして食べやすくしましょう。
リンゴの薬効 下痢にも効果的な理由
リンゴは美味しいだけでなく、下痢を和らげる効果もあります。中医学の古書『飲膳正要(いんぜんせいよう)』では、リンゴの含むペクチンが腸の壁を保護し、腸内の余分な水分を吸収して便を形成しやすくすることで、下痢を改善するとされています。
下痢の実践的な治療法
1.リンゴをよく洗います。
2.皮をむかずに薄切りにします。
3.ボウルに入れ、少量の水と一緒に5分間蒸します。
4.蒸したリンゴを取り出し、ぬるめになったら食べてください。
リンゴを食べる際の注意点
リンゴは健康に良い果物ですが、誰にでも適しているわけではなく、食べすぎには注意が必要です。
ジュースは要注意
リンゴジュースは繊維質が取り除かれているため、腎疾患や糖尿病のある方にはおすすめできません。これらの方は、ジュースではなく、果物そのものを食べるべきです。ジュースには食物繊維が含まれず、糖分が多すぎるから、血液中に急速に吸収されてしまいます。ジュース1杯にはリンゴ数個分の糖分が含まれているため、特に注意が必要です。
食べすぎの影響
リンゴを一度に食べすぎると、眠気を誘発したり、体の「経絡」(気というエネルギーの通り道)を塞ぐ可能性があります。ただし、寝つきが悪い方には、就寝前にリンゴを食べると安眠効果が期待できることも。適量は1日1個が目安です。
美味しいリンゴの選び方「3つのポイント」
新鮮で甘いリンゴを選ぶための3つのポイントをご紹介します。
- 香りをチェック
熟したリンゴは良い香りがします。香りが強いリンゴは購入後すぐに食べるのがおすすめです。ただし、発酵したような匂いがするものは熟しすぎているので避けましょう。
- 色を見る
リンゴの赤さだけでなく、小さな斑点があるかを確認してください。たとえば、富士リンゴやレッドデリシャスでは、斑模様の方が甘くて美味しい傾向があります。一方、暗赤色のスポットがあるものは鮮度が落ちている可能性があります。
- 「がく」を確認
おしりの部分(果実の下の部分)が深くくぼんでいるものは、より熟していて甘いリンゴであることが多いです。このようなリンゴは芯が小さく、果肉が多いのも特徴です。
リンゴの選び方や調理方法を工夫して、その栄養と美味しさを存分に楽しみましょう!
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