目を守る栄養ケア

サプリに頼らず目の健康を! 食事で補う3つの栄養素

目は「心の窓」とも言われる大切な感覚器官です。日々の生活で酷使されることも多い目を守るために、ルテイン、アントシアニン、ビタミンCという3つの栄養素を意識して摂取することが重要です。これらの栄養素は、サプリメントではなく食品から摂る方がより効果的であることが多いのです。

ルテイン 目を守る抗酸化のチカラ

ルテインは網膜の黄斑に重要な役割を果たし、ブルーライトから目を守る抗酸化作用を持っています。そのため、加齢性黄斑変性症や白内障、網膜色素疾患の予防に役立つとされています。特に、パソコンやスマートフォンを長時間使用する方には欠かせない栄養素です。

アントシアニン 血液循環をサポート

アントシアニンには目の血液循環を改善する効果があり、長時間の画面使用による目の疲れを和らげることができます。また、目の潤いを保ち、ドライアイの症状を緩和する働きもあります。

ビタミンC 目をクリアに保つ

イギリスの研究では、ビタミンCが豊富な食事を続けた人は、白内障の悪化リスクが33%低く、目のレンズがクリアな状態を維持できたと報告されています。しかし、ビタミンCをサプリメントとして摂取する場合には注意が必要です。スウェーデンの研究では、高用量のビタミンCサプリメントを長期間摂取した男性の中で、加齢性白内障のリスクが36%増加したという結果が示されています。特に65歳以上では、そのリスクが92%にも上るとされています。

食品から摂る大切さ

これらの栄養素は、ほうれん草、ブルーベリー、柑橘類などの食品に豊富に含まれています。食品から摂取することで、目の健康を守るだけでなく、栄養バランスの良い食生活にもつながります。家族と一緒にこれらの食材を使った料理を楽しむことで、健康を増進するだけでなく、家族の絆も深めることができるでしょう。

 

ルテインが豊富な野菜

ルテインを豊富に含む食品例(Shutterstock)

カボチャ、ほうれん草、ニンジン、からし菜、サツマイモの葉、ブロッコリー、オレンジ、トマト、キャベツなど、緑色や黄色の野菜や果物には、ルテインとゼアキサンチンが豊富に含まれています。その中でも特にルテインの含有量が高いのが以下の3つの野菜です。

ほうれん草
生のほうれん草100グラムには、ルテインが7.45ミリグラム、ゼアキサンチンが0.46ミリグラム含まれています。これだけでルテインの1日推奨摂取量の70%以上を補えます。

サツマイモの葉
生のサツマイモの葉100グラムには、ルテインとゼアキサンチンが合計で14.7ミリグラム含まれており、1日推奨摂取量を超える量です。

カボチャ
生のカボチャ100グラムには、ルテインとゼアキサンチンが合計で1.5ミリグラム含まれています。

台湾の食品医薬品局が行った調査によると、市販されているルテインサプリメントの46%以上が、表示されている含有量の80%未満しか含んでいないことが判明しています。そのため、自然の食品からルテインを摂取するほうが、安全で経済的にも優れています。

 

ルテイン吸収を高めるコツ

緑色野菜+脂肪
ルテインは脂溶性ビタミンのため、脂肪と一緒に摂ることで吸収率が向上します。例えば、ほうれん草やサツマイモの葉を炒める際に、ラードやオリーブオイルを少量加えると、栄養価が高まるだけでなく、野菜のえぐみも軽減されます。

卵+トウモロコシ
もルテインを補給する効果的な食品です。卵に含まれるルテインの量は野菜に比べて少ないものの、体は卵からのルテインをより効率的に吸収します。例えば、トウモロコシと卵黄を使ったパンケーキは、植物由来と動物由来のルテインを同時に摂取できるため、朝食としておすすめの一品です。

ベリーを食べて目を潤す

長時間パソコンやスマートフォンを使い続けて目が乾いたり赤くなったりしたとき、どうすれば良いのでしょうか? そんなときは、食後にブルーベリーを取り入れてみましょう。ブルーベリーには目を潤し、乾燥を防ぐ効果があります。

アントシアニンを多く含む食品の代表が、ブルーベリークランベリーなどのベリー類です。ブルーベリーは、目の周りの細胞や微小血管を保護し、目の疲れを軽減させるだけでなく、視力の向上にも役立つとされています。また、老化防止、血圧低下、心臓の健康維持といった他の健康効果も期待できます。

目の疲れにブルーベリー。乾燥を防ぎ、視力や健康をサポート(Shutterstock)

 

パプリカでビタミンCを増やす

ビタミンCは、グアバ、キウイ、レモン、オレンジなどの果物に多く含まれていますが、果物だけに頼る必要はありません。もう一つの優れた供給源、それがカラフルなパプリカです。特にオレンジ色のパプリカには、100グラムあたり158ミリグラムものビタミンCが含まれており、これはレモンの2倍以上の量です。

さらに、パプリカはフラボノイドも豊富で、加熱してもビタミンCの分解を抑える働きがあります。赤、黄色、オレンジなど色とりどりのパプリカは、パスタに加えたり、エビと一緒に炒めたり、エリンギとソテーにしたりと、さまざまな料理に活用できます。美味しく食べながら、白内障予防にもつながる優れた食材です。

ビタミンCたっぷりのパプリカで、美味しく健康サポート(Shutterstock)

 

お茶で目の疲れを和らげる

目が疲れたときには、菊とクコの実のお茶がおすすめです。特に一日中コンピュータの前で働くオフィスワーカーに効果的で、午後に一杯飲むだけで目の疲労を軽減し、ドライアイの緩和にも役立ちます。

カリフォルニア大学デービス校のランダム化対照試験では、クコの実を週に5回、3か月間摂取することで、黄斑色素密度が大幅に増加し、加齢による黄斑変性症の予防に効果があることを確認しています。また、菊のエキスには抗酸化作用があり、動物実験では網膜を保護する効果も示されています。

中国伝統医学では、目は肝臓のエネルギーと深く関わっていると考えられており、「肝は目に通じる」と表現されています。そのため、目の状態を通して肝臓の健康を評価することができます。研究でも、クコの実が肝臓を保護する働きがあることが確認されており、動物実験ではアルコールによる急性肝障害の緩和効果が示されています。

目の疲れに菊とクコの実のお茶を。肝臓ケアと視力サポートに最適(Shutterstock)

★菊茶の作り方

材料

  • 菊の花 6輪
  • クコの実 18粒
  • 水 1~2カップ

手順

  1. 水を沸かします。
  2. 菊の花とクコの実を加えます。
  3. 10分ほど蒸らしてからお茶を注ぎます。

お茶を飲む際には、カップを目の近くに持ってきて蒸気を目に当てると、優しく目を癒すことができます。蒸気の温かさは目のリラックスにも効果的です。

注意点

菊茶は冷え性の方、下痢しやすい方、または低血圧の方には適さない場合があります。体質に合わないと感じた場合は、無理に飲まないようにしてください。

 

視力を改善するための目のエクササイズ

食事だけでなく、目の周りの重要なツボをマッサージすることも視力の保護に役立ちます。以前の記事でご紹介した攅竹(さんちく)、魚腰(ぎょよう)、瞳子髎(どうしりょう)、承泣(しょうきゅう)、晴明(せいめい)の5つのツボを、順番に指の関節で優しく押すことで、目の疲れを和らげ、近視の進行を予防できます。

攢竹(さんちく)、魚腰(ぎょよう)、瞳子髎(どうしりょう)、承泣(しょうきゅう)のツボ(胡乃文開講提供)

白内障の予防についての質問もよくいただきます。最も簡単で効果的な方法の一つは、「スマートフォンや電子機器から距離を取ること」です。ただし、現代の生活では完全に画面を避けるのは難しいため、目の疲れを感じたら以下のエクササイズを試してみてください。

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エクササイズの方法

目を閉じて、左方向に眼球を14回ゆっくり回します。

同じく、右方向に14回回します。

目をぎゅっと一瞬閉じ、その後リラックスさせます。

この簡単なエクササイズは、目の筋肉をほぐし、疲れを軽減するのに効果的です。

注意事項とアドバイス

紹介されているハーブや食品の中には、聞き慣れないものもあるかもしれませんが、多くは健康食品店やアジア系の食料品店で手に入れることができます。ただし、体質や健康状態は個人差があるため、最適な方法を見つけるには医療専門家に相談することをおすすめします。

 

この記事で述べられている意見は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの意見を反映するものではありません。エポックヘルスは、専門的な議論や友好的な討論を歓迎します。

 (翻訳編集 華山律)

胡乃文
台湾台北市にある上海同徳堂の伝統中国医学医師。カリフォルニア州サニーベールのNine Star University of Health sciencesの教授であり、また、スタンフォード研究所で生命科学の研究員としての経験を持つ。20年以上の臨床経験を通じて、14万人以上の患者を治療。中医学を用いて世界で5人目の悪性黒色腫患者を治癒させたことで名を馳せる。現在、登録者数70万人を超えるYouTubeの健康番組を主宰。また、オーストラリアや北米などで開催されている健康とウェルネスに関する人気のロードショーでも知られている。