脳はニューロンやさまざまな細胞からなる動的な器官であり、日々の経験を通じて常に変化し、環境に適応しながら最適化されています。
筋肉と同じように、脳も定期的に使い、継続的に刺激を与えることで強化されます。これにより認知予備力と呼ばれる力が発達します。しかし、刺激が不足すると脳は萎縮し、『ランセット・ニューロロジー』誌に発表された研究によると、アルツハイマー病のリスクが高まるとされています。
人生を長く楽しみ、友人や家族との時間を大切に過ごすことや、美しい朝日や夕日を味わうこと、新しい冒険に出かけるためには、脳の柔軟性や適応力を維持することが欠かせません。
日常の中でできる脳のトレーニング
多くの「脳トレ」の提案は、現実の生活とは少し離れた内容が多いと感じることがあります。例えば、新しい言語や楽器を習得することなどです。これらは素晴らしい挑戦ですが、多忙な大人にとって時間を確保するのはなかなか難しいものです。
そこで、普段の生活に少し工夫を加えるだけで脳を鍛えられる、簡単なチャレンジをリストにしました。新しい趣味を始める必要はありません。すでに日常の中にある行動を少しだけ難しくして、脳を刺激する方法です。
このリストが脳を若々しく保ち、新しい体験や豊かな日常を楽しむきっかけになれば幸いです。
1、読んだ内容をクイズ形式で振り返る
無意識に流し読みをしてしまうことが多いですが、「後でクイズがある」と意識すれば記憶力が鍛えられます。新聞や記事を読んだら、数時間後にアラームを設定し、要点を思い出して書き出してみましょう。
2、GPSを使わずに目的地へ行く
スマートフォンのナビに頼りすぎず、道を記憶して移動してみましょう。初めての場所に行く際、事前にルートを確認し、記憶した地図を頼りに進みます。本当に迷った時だけGPSを使うようにしましょう。
3、重要な情報を暗記する
日常生活で役立つ情報を記憶してみましょう。新しく出会った人の名前や、友人・家族の誕生日、車のナンバーなど、暗記することで脳が活性化します。昔のように電話番号を覚えるのも良い訓練です。
4、騒がしい環境に身を置く
自然と静かな環境を選びがちですが、あえて賑やかな場所に身を置くことで脳が刺激されます。例えば、子供の遊び場に行ってその場のエネルギーを楽しんでみましょう。
5、見知らぬ人と会話をする
新しい人との会話は即興力を鍛え、脳に新しい刺激を与えます。毎日1回、見知らぬ人と挨拶や会話をしてみましょう。日々の活力が増し、脳も活発になります。
6、利き手と反対の手を使う
日常の作業をあえて反対の手で行ってみましょう。例えば、1か月間歯磨きを反対の手で行うだけでも脳が刺激され、適応力が鍛えられます。
7、買い物リストなしで買い物する
買い物リストを書かず、記憶だけを頼りに買い物をしてみましょう。注意力や集中力が鍛えられ、記憶力も向上します。
8、頭の中で計算をする
買い物中の合計金額や請求書の計算などを頭の中で行い、電卓やメモに頼らないようにしてみましょう。短期的な情報処理能力(作業記憶)が鍛えられ、脳が柔軟に働くようになります。
9、1時間読書する
短い動画や情報を次々と見るのではなく、1つのことに集中する時間を増やしましょう。例えば、1時間の読書です。徐々に集中力を鍛えることで、精神的な持久力が向上します。
(翻訳編集 華山律)
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