肩の調子を確認する際、まず大切なのは肩を動かせる範囲(可動域)と筋力です。診察で「肩の筋肉(回旋腱板)が傷ついている」と記録されているケースは珍しくありません。また、クリニックで同じような症状が見つかることもよくあります。
ただし、明らかな筋肉の損傷がなくても、肩の動きが大きく制限される場合があります。これらの人は痛みを感じることは少なく、検査結果も問題ありませんが、肩を高く上げる動きがスムーズにできないことが特徴です。
肩や体の動きが悪くなると、その分他の動きで無理に補おうとするため、新しい負担が生じやすくなります。
そこで、腕や肩の筋力を鍛えるエクササイズを取り入れることで、肩の動きが取り戻しやすくなります。実際、多くの人がこの方法で改善を実感しています。
肩の弱さや動きにくさを放置するより、早めに対処することが大切です。以下にご紹介するエクササイズは、専門的にも効果が認められており、肩の動きを改善するための有効な方法として多くの人におすすめされています。
ただし、すべてのエクササイズが誰にでも適しているわけではありません。実践する前に、必ず医師や専門家に相談するようにしてください。
肩の動きを改善するための6つのエクササイズ
1. 仰向けで行うショルダーフレクション(肩の前方挙上)
仰向けで行うショルダーフレクションは、朝の目覚めにぴったりのエクササイズです。仰向けでできるため、ベッドから出る前にそのまま始められる手軽さが魅力。また、重力を利用して肩周りをしっかり伸ばすことができます。実践する際は、腕をしっかり動かせるスペースがあるか確認してから始めてください。
手順
ステップ 1
仰向けになり、腕を体の横に伸ばします。手のひらは体に向け、親指を上に向けます。このエクササイズは床やソファ、またはベッドの上で行うことができます。
ステップ 2
親指をリードにして、腕をゆっくり天井方向へ持ち上げます。その後、親指を頭の後ろに向かって動かし、腕が床やベッドに触れるところまで伸ばします。
ステップ 3
同じ動作を逆に行い、腕をゆっくり元の位置に戻します。
ステップ 4
この動きを1回とカウントします。12回を1セットとし、1日3セットを目安に行いましょう。
調整方法
腕が頭の後ろの床やベッドに届かない場合でも心配ありません。腕を可能な範囲まで伸ばしたら、その位置で約15秒間キープしてください。重力を活用しながら、徐々に腕がリラックスしてさらに伸びる感覚を確認しましょう。
2. 壁を使ったフィンガーウォーキング
フィンガーウォーキング(指歩き)は、肩の動きを改善するためにクリニックでもよく取り入れられるエクササイズです。この方法は肩をゆっくりと動かすことで、コントロール力を養いながら可動域を広げるのに役立ちます。また、自分の肩の動きの限界を把握するのにも役立つため、初心者にもおすすめです。
手順
ステップ 1
壁に向かって立ち、腕を体の横に自然に下ろします。
ステップ 2
片方の手の指を使い、壁をゆっくりと「歩く」ように上へ移動させます。指全体を使い、まるでクモが這うような動きで進めてください。この動作を反対の手でも繰り返します。
ステップ 3
可能な限り高い位置に達したら、その位置で約5秒間キープします。その後、指をゆっくりと動かして元の位置に戻します。指を上まで歩かせて戻す動きで1回とカウントします。12回を1セットとして、1日3セットを目指しましょう。
※特に高い位置での5秒間のキープを省略しないよう注意してください。この動作は肩の柔軟性を高める重要なポイントです。
調整方法
壁を指で歩かせる動作が難しい場合、小さな枕やタオルを両手で持ち、それを壁に沿わせて上下にスライドさせる方法を試してみてください。この代替方法でも肩の可動域を広げる効果が期待できます。
3. ヘッドタッチ
ヘッドタッチは、肩の外旋を強化し、肩関節の動きを改善するエクササイズです。さらに、大胸筋を伸ばす効果も期待できるため、肩全体の健康に役立ちます。
手順
ステップ 1
椅子に座った状態で行います。背筋をまっすぐに伸ばし、手を膝の上に置き、椅子の前方に浅く腰掛けるようにします。
ステップ 2
右腕を前方にまっすぐ伸ばし、その後肘を曲げて手のひらを頭の後ろに触れさせます。この状態を1秒間キープしたら、動きを逆にして元の位置に戻します。同じ動きを左腕でも行います。
ステップ 3
頭の後ろに触れてから手を膝の上に戻す動作で1回と数えます。12回を1セットとして、1日3セットを目指しましょう。左右交互に行うか、一方をすべて終えてからもう一方を行うかは自由です。
調整方法
頭の後ろに手が届かない場合は、耳の後ろに触れる動きに変更してください。また、腕をまっすぐ前に伸ばすのが難しい場合は、無理をせず、可能な範囲で動かすだけでも構いません。現在の肩の動きに合わせて少しずつ取り組み、徐々に可動域を広げていきましょう。
4. スキャプラタッチ(肩甲骨タッチ)
スキャプラタッチは、ヘッドタッチの後に続けて行うのにぴったりのエクササイズです。ヘッドタッチが肩の外旋に重点を置くのに対し、このエクササイズは腕の屈曲を強化し、肩甲骨周りの動きをスムーズにすることを目的としています。
手順
ステップ 1
椅子に座り、背筋をまっすぐ伸ばし、手を膝の上に置く姿勢をとります。この姿勢はヘッドタッチと同じです。
ステップ 2
右腕を肩の上にまっすぐ持ち上げます。その後、肘を曲げながら手のひらを背中側に向け、手をできるだけ背中の下の方まで伸ばして触れるようにします。
ステップ 3
手を背中の最も下に伸ばした状態で2秒間キープします。その後、ゆっくりと元の位置に戻します。この動きで1回と数えます。12回を1セットとし、1日3セットを目指しましょう。左右交互に行うか、一方をすべて終えてから反対側を行うかは自由です。
調整方法
腕をまっすぐ上げるのが難しい場合は、無理せずに背中の届く範囲までで構いません。自分の可動域に合わせて、少しずつ範囲を広げることを目指しましょう。
5. ショルダーハグ
ショルダーハグは、肩の動きを総合的にサポートするエクササイズです。前のエクササイズが肩の大きな動きを重視していたのに対し、この動きは肩の可動域をバランスよく補完します。さらに、自分自身に「ハグ」を贈ることで、リラックス効果も期待できます。
練習のポイント
動きを行う際には、片道につき少なくとも1秒かけてゆっくりと進めてください。繰り返しているうちに動きが速くなりがちですが、スピードをコントロールすることが重要です。
手順
ステップ 1
このエクササイズは座った状態でも立った状態でも行えます。座る場合は、椅子の前方に腰掛け、背筋を伸ばして手を膝の上に置きます。
ステップ 2
両腕を大きく回して、自分を抱きしめるように肩甲骨の後ろに触れることを目指します。
ステップ 3
肩に触れたら、その状態で3秒間キープします。その後、手を膝の上に戻します。この動きを1回と数えます。12回を1セットとし、1日3セットを目指しましょう。
腕を抱きしめる際、腕の位置を上下に交互に変えて行っても構いません。これにより、異なる範囲の筋肉を刺激することができます。
6. アップ・ザ・バックス(背中を使った動き)
アップ・ザ・バックスは、肩の内旋を鍛えるエクササイズです。ヘッドタッチが肩の外旋を重視しているのに対し、このエクササイズは内旋を強化し、日常生活で多く使われる肩の動きをサポートします。
練習のポイント
動作を急がず、一定のペースでゆっくりと行うことを心がけましょう。
手順
ステップ 1
椅子に座る場合は、椅子の前方に浅く腰掛け、背筋を伸ばし、手を膝の上に置く姿勢を取ります。
ステップ 2
右腕を背中側に回し、手の甲を腰のあたり(背中の下部)に置きます。
ステップ 3
手の甲を背骨に沿ってできるだけ上に滑らせます。届かない場所を触るようなイメージで動かしてください。その後、ゆっくりと腕を下ろし、膝の上に戻します。左側も同じ動作を繰り返します。
ステップ 4
腕を背中に上げて膝に戻す動作で1回と数えます。それぞれの腕で12回を1セットとし、3セット行うことを目指しましょう。左右交互に行うのがおすすめです。
調整方法
背中の高い位置まで手が届かない場合は、自然に触れる腰の部分までで十分です。無理をしないようにしましょう。
立った状態でも行えます。手の甲を太ももの後ろに置き、肘を伸ばしたまま上下に動かす方法も試してみてください。
これらのエクササイズは、肩の可動域と筋力を維持するために相互に作用します。1日おき、または可能であれば毎日行うことをおすすめします。肩の健康を保つことは、日常生活の機能性を最大化するために重要です。ぜひ取り入れてみてください。
この記事で述べられている意見は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの意見を反映するものではありません。エポックヘルスは、専門的な議論や友好的な討論を歓迎します。
(翻訳編集 華山律)
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