血糖値を健康的に保つためには、毎日の食事の工夫が大切です。白米は血糖値を急に上げやすい食品と思われがちですが、食べる量を調整し、バランスの取れた食事に組み込むことで、血糖値を安定させる助けになります。このような工夫は糖尿病の改善にもつながる可能性があり、また血糖値を安定させるためには自然な方法を取り入れることも効果的です。
白米を食べることのメリット
BMJ Open誌に掲載された系統的レビューでは、白米の摂取が2型糖尿病のリスク増加と関連するとされています。しかし、長年の臨床経験から、白米の摂取が糖尿病患者にとって重要なメリットをもたらすことも確認されています。特に、伝統中医学の観点から、白米の摂取には血糖値の安定において以下の3つの利点があります。
1. エネルギーと活力の向上
白米には、たんぱく質、脂質、炭水化物といった人体に欠かせないエネルギー源が含まれています。これらは分解されてブドウ糖となり、血糖値を上昇させ、膵臓からのインスリン分泌を促します。この仕組みは、体が血糖値を効果的に管理する助けとなります。
また、白米を食べることで細胞にエネルギーが供給され、筋力の強化や活力の向上、組織の修復が促進されます。特にアジア文化圏では、炭水化物を控えることが推奨されることがありますが、極端に白米を避けると空腹感や疲労感を招き、逆にスナックやデザートなどの過剰摂取につながることがあります。適量の白米を摂取することで満腹感を持続させ、健康を維持することが重要です。
2. 傷の治癒を促進
白米を主食とする地域で長期間これを避けると、細胞が必要な栄養を得られず、次のような深刻な影響をもたらす可能性があります。
- 免疫力の低下 栄養不足は免疫機能を損ない、感染症や病気への抵抗力を弱めます。
- 細胞壊死(細胞死) 栄養不足が進行すると、特に傷口や損傷した組織で細胞が次第に壊死し始めます。壊死した細胞が周囲の健康な組織を損傷させ、被害が広がる可能性があります。重症の場合、切断が必要となるケースもあります。
したがって、バランスの取れた食事と血糖値の安定は、免疫力を維持し、適切な傷の治癒を促進するために不可欠です。
事例 白米をほとんど食べなかった糖尿病患者がふくらはぎに負った傷が治らず、皮膚の状態が悪化したケースがあります。これは糖分不足による低血糖状態が原因でした。白米1カップに含まれる糖分はわずか0.08グラムですが、不足すると細胞が正常に機能するためのエネルギーが得られなくなります。適度な糖分摂取は、細胞の健康や体全体のパフォーマンス維持に不可欠です。
3. 消化器官の健康をサポート
古代医学書『馮氏錦囊秘録』には、白米が臓器、筋肉、骨を強化する食品として記されています。特に、糖尿病患者や消化器系が弱い人は白米を食事に取り入れるべきだとされています。同様に、『黄帝内経』も穀物を健康を維持し体を養うための基盤となる食品と位置づけています。
白米を適度に摂取し、運動を組み合わせることで血糖値を安定させる効果が期待できます。さらに、白米は脾や肺の気(エネルギー)を補い、腸にもエネルギーを供給します。この結果、腸の蠕動運動が活発になり、便通がスムーズになる効果もあります。
多くの研究で、身体活動や運動が糖尿病患者の血糖値管理や全身の健康向上に役立つことが示されています。運動の種類や量は個々のニーズに応じて調整することが推奨されます。全ての成人が長時間の座りっぱなしを減らし、日常生活に小まめな動きを取り入れるよう心がけることが大切です。
健康的な食事プレート
ハーバード公衆衛生大学院が提唱する「健康的な食事プレート」は、食品を以下の4つの部分に分けて構成されています。野菜と果物が半分、たんぱく質が1/4、全粒穀物またはでんぷん質食品が1/4。このバランスの良い配分は、糖尿病患者が食事の量を管理し、血糖値を安定させるのに役立ちます。
例えば、野菜や果物にはブロッコリー、ニンジン、キャベツ、または季節の果物を選ぶと良いでしょう。たんぱく質源としては、肉やスクランブルエッグなどが適しています。全粒穀物やでんぷん質食品には、白米、サツマイモ、雑穀などを取り入れることができます。
ベジタリアンの場合は、野菜をキノコと一緒に炒めるのがおすすめです。例えば、エンドウ豆とエリンギの炒め物は、風味が良く栄養価も高い一品です。たんぱく質源には煮込み豆腐を取り入れ、でんぷん質食品には白米、サツマイモ、山芋などを加えると、よりバランスの取れた食事になります。
一般的に、白米を少量摂取するよりも、半膳程度を摂る方が適しているとされています。多くの糖尿病患者は血糖値への影響を懸念して白米を避け、玄米や発芽米を選ぶことがあります。しかし、消化器官が弱い人や脾胃の機能が低下している人にとっては、これらの代替食品が消化不良や胃の不快感を引き起こす場合があるため注意が必要です。
たんぱく質から食べ始める習慣を
研究によると、炭水化物を摂る前にたんぱく質、脂質、食物繊維を先に食べることで、食後の血糖値を改善できることが分かっています。推奨される食事の順番は、まず肉、卵、豆類などのたんぱく質を摂取し、その後に野菜を食べ、最後にご飯などの炭水化物を摂ることです。この順番を守ることで、体がインスリン分泌の準備を整えやすくなり、血糖値の安定につながります。
また、食事をゆっくり進め、1口につき20~30回程度しっかり噛むことも推奨されています。ゆっくり噛むことで、満腹感を脳が早く認識できるようになり、早食いや過食を防ぐ効果があります。この習慣は血糖値の安定だけでなく、消化や栄養吸収の改善、さらに体重管理にも役立ちます。
果物は適量を楽しむ
果物には天然の果糖が含まれるため、糖尿病患者は1日の摂取量を1回分(女性の握りこぶし大)に制限することが推奨されます。果汁の場合は、約200ミリリットル以下に抑えるよう心がけましょう。
糖尿病をセルフチェックする簡単な方法
尿に甘い香りがする場合、それは尿中に過剰なブドウ糖が含まれている可能性を示しており、糖尿病の症状であることがあります。このほか、頻尿、過度な喉の渇き、原因不明の体重減少、または強い疲労感を感じる場合は、早めに医療機関を受診し、詳しい検査を受けることが大切です。
糖尿病患者はお粥を食べても良いのか?
糖尿病患者でも、適量のお粥を取り入れ、定期的な運動を含む健康的なライフスタイルを実践すれば、問題なく食べることが可能です。一部の患者は、でんぷん質食品を完全に避けようとする場合がありますが、それでも血糖値が高い状態が続くことがあります。しかし、白米を適量摂取し、バランスの取れた生活を心がけることで、血糖値が安定するケースが多く見られます。
血糖値のコントロールが可能になったら、「患者」という意識を少しずつ手放し、健康な人と同じような生活を目指す視点に切り替えることも大切です。
この記事で述べられている意見は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの意見を反映するものではありません。エポックヘルスは、専門的な議論や友好的な討論を歓迎します。
(翻訳編集 華山律)
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