簡単!肝臓ケアの実践法

肝臓の健康を守る古代の知恵 習慣 指圧 漢方茶

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることがあります。これは、肝臓には神経の末端がほとんどないため、異常が起きても痛みを感じにくいからです。そのため、肝臓の病気の症状が現れる頃には、病状がかなり進行している場合が多く見られます。慢性肝疾患や肝硬変、肝臓がんなどは、深刻な健康リスクとなります。しかし、バランスの取れた食事や定期的な運動に加え、特定の指圧法を取り入れることで、肝臓の健康を効果的にサポートする方法が多くあります。
 

肝臓をいたわる漢方茶

砂糖や脂肪分の多い食事は、脂肪肝のリスクを高める可能性があります。脂肪の蓄積を減らし、糖分の摂取を控えるために、甘い飲み物を以下の2種類の漢方茶に置き換えてみてはいかがでしょうか。

1. サンザシ、ケツメイシ、燻製プラムのお茶

このお茶は、サンザシ、ケツメイシ(カッシアシード)、燻製プラムを使ったもので、脂肪代謝を促し、脂肪の蓄積を抑える効果があります。サンザシは脂っこい食事の消化を助け、ケツメイシはコレステロールを下げて血中脂質のバランスを整えます。また、燻製プラムには脂っこさを和らげる効果があり、便秘を解消して肝臓を保護します。

材料

  • サンザシ 10グラム
  • ケツメイシ 10グラム
  • 燻製プラム 2個

作り方

1リットルの水に材料を入れて沸騰させます。その後、弱火にして10分間煮込みます。温かいうちにお召し上がりください。

 

2. クワンシンイン(寛心飲)

クワンシンインは、7種類の伝統的な中薬材を煮出して作る飲み物です。血糖値を調整し、消化器官の健康をサポートするとともに、肝臓を養う効果があります。

材料 

  • 丹参(タンセン) 8グラム
  • 白朮(ビャクジュツ) 8グラム
  • 黄耆(オウギ) 8グラム
  • 茯苓(ブクリョウ) 4グラム
  • 甘草(カンゾウ) 4グラム
  • 女貞子(ジョテイシ) 4グラム
  • 藿香(カッコウ) 4グラム

作り方

1リットルの水にすべての材料を入れて沸騰させます。その後、弱火で5分間煮込みます。温かいうちにお召し上がりください。

このお茶は香りが良く、自然な甘みがあるため、日常的に楽しむのに適しています。また、鶏肉と一緒に煮込むことで、栄養価が高く、健康に良い鶏肉スープとしても利用できます。

 

肝臓の健康を守るためのシンプルな日常習慣

肝臓の健康は日々の習慣と深く関係しています。肝臓を守るためには、過労や夜更かし、喫煙、飲酒といった有害な行動を避けることが大切です。また、規則正しい生活を送り、体に十分な休息と解毒の時間を与えることも同様に重要です。以下に、肝臓の健康をサポートするためのシンプルな習慣をご紹介します。

規則正しい睡眠を心がける

肝臓と胆のうは、体内の解毒において重要な役割を担う臓器です。これらの臓器は睡眠中に体の修復と解毒を行います。伝統的な中国医学によれば、午後11時から午前3時の間に多くの気(エネルギー)と血液が肝臓と胆のうに流れるとされ、この時間が解毒に最適と考えられています。

また、肝臓と胆のうは目の健康とも深く関連しているとされており、午後11時までに就寝することで目を十分に休め、回復させることができます。この時間帯に眠らない場合、肝臓が必要な休息を取れず、肝臓関連疾患のリスクが高まる可能性があります。

目を定期的に休ませる

伝統的な中国医学では、目は肝臓の健康を映し出すと考えられています。コンピューターやテレビ、スマートフォンの長時間使用による過度な目の疲れは、目にダメージを与え、肝臓のエネルギーを消耗させます。

これを防ぐために、通勤中などの空き時間に目を閉じ、深く意識的な呼吸を行いましょう。この簡単な習慣は目と肝臓の回復を促し、肝臓の機能維持と目の健康をサポートします。

日常生活にウォーキングを取り入れる

速歩は、代謝と血液循環を促進し、心肺機能の向上に役立ちます。また、皮下脂肪と内臓脂肪の両方を燃焼させることで脂肪肝を改善します。

ある体系的なレビューとメタ分析では、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の患者551名を対象とした研究で、運動が肝臓の脂肪を大幅に減少させることを確認しています。特に、週に150分(1日あたり約22分)の速歩を行うことで、NAFLDの症状が著しく改善されるとしています。

 

感情の健康と肝臓の健康の関係

感情は肝臓の健康に大きな影響を与えます。古代中国医学の文献『黄帝内経』には、「怒りは肝を傷つける」と記されており、肝臓の不調がイライラを引き起こす可能性もあるとしています。そのため、感情のバランスを保つことが肝臓を健康に保つための重要な要素です。ストレスをため込みすぎたり、落ち込みやすかったり、不安やイライラを感じたり、些細なことに過剰に反応することは避けるよう心がけましょう。これらの負の感情は肝の気を滞らせ、長期間続くと肝臓に悪影響を及ぼす可能性があります。

毎日30分間、静かに瞑想を行うことは、心を落ち着けるための簡単な方法です。瞑想には神経系のバランスを整え、ストレスを軽減し、内面的な安定を育む効果があります。2022年のランダム化臨床試験では、マインドフルネスに基づいたストレス軽減療法は、不安障害を抱える患者において感情コントロールの改善が確認されています。

 

指圧で肝臓の健康をサポート

肝臓は体の免疫システムにおいて重要な役割を果たしており、肝機能が低下すると免疫力は弱まる可能性があります。免疫力を高めることは、肝臓を守ることにもつながります。そのため、曲池(LI11)と足三里(ST36)のツボがよく利用されており、これらのツボを定期的にマッサージすることで、免疫力を向上させ、肝臓の健康をサポートできます。

曲池(大紀元製図)
足三里(大紀元製図)

さらに、神門(HT7)と三陰交(SP6)のツボを刺激すると、心を落ち着ける効果があり、睡眠を促進するのに役立ちます。質の良い睡眠は肝臓の健康にも良い影響を与えます。

注意 妊娠中は三陰交(SP6)のツボを刺激しないでください。陣痛を誘発する可能性があります。

神門(大紀元製図)
三陰交(大紀元製図)

 

臨床ケーススタディ

肝臓がんの患者が、歩行困難なほど衰弱し、緩和ケア病棟に入院しました。伝統的な中国医学では、肝臓がん、肝硬変、脂肪肝、肝腫瘍などの症状は、肝臓内に滞留した血液(瘀血)が原因と考えられることが多いとされています。

この患者に対し、古代中国医学の文献『黄帝内経』に記された治療法を参考に、左足の親指付近にある大敦(だいとん)のツボに鍼を施しました。その際、少量(約大豆一粒分)の血液を放出しました。この施術後、患者の症状には目に見える改善が見られました。

この治療法は、「対側療法」という技術を用いています。対側療法では、体の症状が現れている側とは反対側を治療します。具体的には、左側の症状には右側を、右側の症状には左側を施術します。この患者の場合、肝臓が体の右側に位置しているため、左足の大敦のツボで血液を放出する治療を行いました。

ただし、鍼や瀉血(血液を放出する技術)は、必ず専門的な訓練を受けた医療従事者によって行われるべきです。適切な指導や知識がない場合には絶対に試みないでください。

注意 本記事で紹介されている一部の薬草は馴染みがないかもしれませんが、健康食品店やアジア系の食料品店で入手できる場合があります。ただし、治療法は個人の体質や症状に応じて異なる場合があるため、具体的な治療計画については必ず医療専門家にご相談ください。

 

この記事で述べられている意見は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの意見を反映するものではありません。エポックヘルスは、専門的な議論や友好的な討論を歓迎します。

(翻訳編集 華山律)

胡乃文
台湾台北市にある上海同徳堂の伝統中国医学医師。カリフォルニア州サニーベールのNine Star University of Health sciencesの教授であり、また、スタンフォード研究所で生命科学の研究員としての経験を持つ。20年以上の臨床経験を通じて、14万人以上の患者を治療。中医学を用いて世界で5人目の悪性黒色腫患者を治癒させたことで名を馳せる。現在、登録者数70万人を超えるYouTubeの健康番組を主宰。また、オーストラリアや北米などで開催されている健康とウェルネスに関する人気のロードショーでも知られている。