季節性情動障害(SAD)は、季節性うつ病とも呼ばれ、特定の季節に関連して発症するうつ病の一種です。一般的には秋や冬に始まり、春や夏になると改善するのが特徴です。この障害は、大うつ病や双極性障害の一部と考えられており、よく耳にする「冬季うつ」とは異なるものです。
SADは、赤道から遠い地域ほど一般的に見られます。これは日照時間の減少が原因とされています。アメリカでは、成人の約5%がSADを経験し、その症状は年間の約半分にわたって続くことがあると言われています。
SADのタイプとは?
SAD(季節性情動障害)には、症状が現れる時期によって大きく2つのタイプがあります。それは「秋・冬型」と「春・夏型」です。
1. 冬型(Winter-Pattern)
「秋発症型SAD」や「冬季うつ」とも呼ばれるこのタイプは、SADの中で最も一般的です。症状は通常、晩秋から初冬にかけて現れ、春や夏になると改善します。このタイプは、日照時間が短くなり、太陽光を浴びる機会が減ることが主な要因とされています。
2. 夏型(Summer-Pattern)
「春発症型SAD」や「夏季うつ」とも呼ばれるこのタイプは、冬型と比べると非常にまれで、SAD全体の約10%に過ぎません。症状は晩春から初夏にかけて現れ、秋や冬になると和らぎます。このタイプは、過剰な暑さや日照時間の増加、または睡眠リズムの乱れが原因と考えられています。
SAD(季節性情動障害)の症状とは?
SADの症状は、個人や季節によって異なります。例えば、秋に発症する場合、秋の初めは軽度でも、冬が進むにつれて悪化することがよくあります。また、症状の内容や重さも人によって異なります。
以下のような症状がSADの特徴として挙げられます。
- 普段よりたくさん眠り、日中も眠気を感じる
- 以前楽しんでいたことへの興味や喜びを失う
- 人付き合いを避け、拒絶に対して敏感になる
- イライラ感や不安、落ち着かなさを感じる
- 罪悪感、無力感、希望を感じられない状態
- 慢性的な疲れやエネルギーの不足
- 性欲の低下
- 集中力が続かない、または思考がぼんやりする
- 甘いものや炭水化物への強い欲求
- 体重増加
- 倦怠感や過剰なイライラ
- 原因不明の身体の痛み、頭痛、けいれん、消化不良などが治療しても続く
- 自殺念慮やその考え
- 優柔不断
冬に発症するSAD(冬型うつ)は次のような特徴があります。
- イライラ感
- 疲労感
- 他人と関わるのが難しくなる
- 拒絶に対する過敏さ
- 手足が鉛のように重く感じる
- 過剰な睡眠
- 特に炭水化物を好む食欲の増加
- 体重増加
夏に発症するSAD(夏型うつ)は以下のような症状が挙げられます。
- 不眠
- 体重減少
- 食欲減退
- 落ち着かない、または不安感
- 攻撃的または暴力的な行動
双極性障害の人では、春や夏に躁(そう、 病的なほど気分が高揚して開放的になったり怒りっぽくなったりする状態)または軽躁(けいそう、症状が軽い)の症状が出やすく、秋や冬にうつ状態に陥ることがあります。
SADの症状は毎年必ず現れるわけではありません。患者の30~50%は連続する冬に症状が現れないことがあります。一方で、40%のケースが、うつ状態が冬を過ぎても続き、大うつ病や双極性障害の診断に変更されることがあります。
「冬季ブルー」はSADほど深刻ではありません。寒い時期に一時的に気分が落ち込んだり、家で過ごしたい気持ちが強くなる程度です。人付き合いの予定を取りやめて一人で過ごしたくなることはあっても、テレビを見たり趣味を楽しむなど、日常生活への影響はわずかです。
SADの原因とは?
SAD(季節性情動障害)は、いくつかの要因が組み合わさって起こると考えられています。いろいろな理論が提唱されていますが、日照時間や地理的条件といった環境的な影響に加え、体内時計(概日リズム)や遺伝的な影響が関係するとしています。ただし、これらの理論はまだ十分に研究が進んでいるわけではありません。
1. 体内時計の乱れ
体内時計、つまり概日リズムとは、私たちの身体や心、行動が24時間を基準にして変化するサイクルのことです。光や暗さが主に影響しますが、食事、ストレス、運動、気温などもリズムを整える重要な要素です。この体内時計の乱れがSADにどうつながるのかを説明する主な理論は、次の3つです。
位相シフト仮説
SADは体内時計が乱れることで起きるとされています。冬型のSADは日照不足、夏型のSADは日照過剰が原因で、季節の変化に合わせて睡眠と覚醒のリズムを調整するのが難しくなることで、気分や睡眠、行動に影響が出ます。
光周期仮説
光周期とは、1日の中での明るい時間の長さを指します。この仮説では、冬の日照時間が短いことでメラトニン(睡眠を促すホルモン)の分泌が長時間続き、それがうつ状態を引き起こすとされています。セロトニン(「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質)は、気分や睡眠、食欲を調整する役割があり、メラトニンに変わることで睡眠を促します。
冬型SADの人はメラトニンが多く作られすぎるため、過剰な眠気や過眠が生じます。一方、夏型SADではメラトニンが少なくなり、長時間の日照や暑さ、睡眠不足で症状が悪化するとされています。
網膜感度低下仮説
光は目の網膜を通して脳に働きかけ、特に青色光が気分に影響を与えます。この仮説では、冬に光量が減ることで網膜が十分に反応せず、体内時計が乱れてSADにつながるとしています。
2. 遺伝的要因
SADに関係する遺伝子は主に脳で働き、体内時計を調整します。これらの遺伝子は、神経伝達物質(ドーパミンやセロトニン)の分泌やそのタイミングに影響を与えます。
ドーパミンは血圧や体温を調整し、時間帯によって変化します。また、セロトニンはメラトニンに変わり、眠るタイミングを知らせる役割を果たします。これらのプロセスが遺伝的な影響で乱れることで、SADが起きる可能性があると考えられています。
SADになりやすい人とは?
SAD(季節性情動障害)は、次のような要因がある人に発症しやすいと考えられます。
- 性別 SADは、男性よりも女性に多いことが分かっています。他のうつ病と同じ傾向です。
- 年齢 SADは思春期や大人になってから発症することが多いのですが、特に18~30歳の間でリスクが高いとされています。30代を超えると、そのリスクは徐々に減少します。
- 住んでいる地域 赤道から離れた地域、例えばアメリカの北部や南半球の極地に近い地域では、冬になると夜が長くなるため、SADを発症しやすくなります。
- 他の精神的な健康状態 うつ病や双極性障害(特に軽いそう状態とうつ状態が繰り返される双極性2型障害)のある人が、SADを発症するリスクが高いのです。また、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、摂食障害、不安障害、パニック障害など他の精神的な問題を抱えている人にも多く見られます。
- 家族にSADや他の精神的な問題がある場合 SADそのものが遺伝するはっきりした証拠はありませんが、患者の約15%が親や兄弟姉妹など近い家族にSADを持つ人がいると言われます。また、大うつ病や統合失調症など、他の精神的な病気を持つ家族がいる場合も多くいます。ただし、これが遺伝的な要因なのか、それとも偶然なのかはまだ分かっていません。
- ビタミンDの不足 冬型SADの人は、ビタミンD不足が症状を悪化させることがあります。ビタミンDは、日光を浴びることで体内で作られ、セロトニン(気分を良くする神経伝達物質)の働きを助けます。冬になると日照時間が短くなるため、ビタミンDが減少し、セロトニンの働きが弱まることで症状が出やすくなると考えられています。
- 性格の特徴 不安を感じやすい性格の人は、SADになりやすい傾向があります。
- 感情や考え方のパターン 感情を処理する方法や、考え方の癖がSADに影響を与える可能性があります。
SADの診断方法とは?
SAD(季節性情動障害)は、早めに気づいて適切に対処することがとても大切です。早期発見と介入によって、症状が悪化するのを防ぐことができます。SADを正確に診断し、効果的な治療を進めるためには、患者の詳しい病歴をしっかりと確認する必要があります。SADはアルコール依存症や不安障害、人格障害など、他の症状と一緒に現れることが多く、これが診断や治療を難しくしています。
医師が患者の病歴を調べるときには、いくつかの重要なポイントを確認します。まず、症状がどの時期に出て、どんなパターンがあるのか、特に季節による変化を詳しく見ます。次に、どのような症状が具体的に現れているのか、そしてその症状が日常生活にどんな影響を与えているのかを丁寧に聞き取ります。また、過去に似たような症状を経験したことがあるかや、治療を受けたことがあるかも大切な情報です。さらに、家族の中に同じような問題を持つ人がいるかどうかも診断のヒントになります。
精神状態をチェックする際には、医師は患者の見た目や行動、話し方、気分や感情の変化を観察します。また、思考の進み方や内容、幻覚など知覚の異常がないかも確認します。さらに、記憶力や判断力といった認知機能の状態も評価します。そして、自分自身や周囲に危害を加えるリスクがないかを確認するためのリスクアセスメントも行われます。こうした幅広い情報をもとに、SADの診断を進めていきます。
SADを診断する際、以下のようなスクリーニングツールが使用されます。
- 季節性パターン評価質問票(SPAQ) この6項目の質問票では、睡眠、社会的活動、気分、体重、食欲、エネルギーの季節的な変化を評価します。各項目は、0(変化なし)から4(大きな変化)のスケールで測定されます。ただし、対象範囲が広すぎるという批判もあります。
- 季節性健康質問票(SHQ) SHQは、SPAQよりも信頼性が高く、SADのスクリーニングに適したツールです。
診断基準
2022年版の精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-5-TR)によると、SADは「季節性パターン」を持つ大うつ病または双極性障害のサブタイプとして分類されます。診断には、大うつ病または双極性障害の基準を満たし、少なくとも1回の気分エピソード(抑うつ、そう、または軽そう)が季節性パターンを示す必要があります。
季節性パターンの診断基準
・時期のパターン 大うつ病や双極性障害の気分エピソードが特定の季節に発生する。
・季節的な寛解 症状が毎年決まった時期に完全に寛解するか、著しく軽減する。
・2年間の一貫性 過去2年間において、季節性の気分エピソードが明確なパターンを示し、非季節性のエピソードは同じ程度では発生しない。
・生涯での優勢性 季節性パターンを持つ気分エピソードは、非季節性エピソードよりも多い。
SADの可能な合併症とは?
他のタイプのうつ病と同様に、SAD(季節性情動障害)を治療しないまま放置すると、症状が悪化し、以下のような深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
- 機能の低下 日常生活でのパフォーマンスが低下し、通常の活動が難しくなることがあります。
- 自殺念慮や自殺行動 自殺を考えたり、そのリスクが高まる可能性があります。
- 社会的孤立 人との関わりを避けるようになり、孤立感が深まることがあります。
- 学業や仕事での困難 集中力の低下やモチベーションの喪失が原因で、学校や職場でのパフォーマンスが著しく低下する場合があります。
- 物質乱用 一部の人はアルコールや薬物で自分を癒そうとすることがあります。しかし、これにより症状がさらに悪化し、判断力の低下や依存症のリスクが高まる可能性があります。
- 人間関係の悪化 イライラや引きこもりなどの症状が原因で、家族や友人との関係が緊張し、対立を招くことがあります。
- 身体的健康リスク 食欲の変化、睡眠の問題、活動量の減少などが原因で、肥満や心血管疾患のリスクが高まることがあります。
- 精神的健康の悪化 未治療のSADは、再発性のうつ病や他の気分障害の発症につながる可能性があります。
SAD(季節性情動障害)の治療法
SADの治療は、いくつかの方法を組み合わせて行うことが一般的です。以下は主な治療法の説明です。
1. 光療法(Bright Light Therapy, BLT)
光療法はSADに最もよく使われる治療法の一つで、秋から春にかけて毎朝30〜60分、1万ルクスの明るさの光を浴びます。この光は通常の室内照明の約20倍明るく、紫外線をカットしています。
カナダ精神衛生協会によると、光療法はSAD患者の約60〜80%に効果があり、症状を大幅に軽減することを報告しています。ただし、特定の目の病気がある人や、光に敏感になる薬(乾癬の治療薬、抗生物質、抗精神病薬など)を服用している人は、医師の指導を受ける必要があります。光療法の副作用として、軽い吐き気、頭痛、目の疲れなどが報告されていますが、通常は軽度です。
2. 夜明けシミュレーション(Dawn Simulation)
夜明けシミュレーションは、低い強度の光が朝の設定時間に徐々に明るくなり、自然な日の出を再現する治療法です。この方法は睡眠と覚醒のリズムを整えるのに役立ちます。2015年の研究では、夜明けシミュレーションはクリニック以外でも使用でき、冬型うつに対して光療法と同程度の効果があります。ただし、症状が重い場合には、光療法の方が改善が早いことがあります。
3. 心理療法(特に認知行動療法 CBT)
認知行動療法(CBT)は、ネガティブな考え方や行動パターンを変えることでSADの症状を改善します。SAD向けのCBT(CBT-SAD)は、6週間の間に週2回グループセッションを行い、季節に関連した否定的な考え(例 冬の暗さや夏の暑さに対する否定的な思い)を前向きなものに置き換えます。また、楽しい活動を計画して実行することで、SADによくある無関心な気分を和らげます。
光療法と比較すると、どちらも効果的ですが、CBTの効果は長期的に続く傾向があります。
4. 抗うつ薬
抗うつ薬は、単独で使用する場合も、他の治療と併用する場合もあります。これらの薬は、気分やストレスに関連する脳内物質のバランスを整えます。効果が現れるまでに通常4〜8週間かかりますが、先に睡眠や食欲、集中力が改善し、その後気分が良くなるケースはたくさんあります。
以下の2種類の抗うつ薬がSADによく使われます。
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs) フルオキセチンやセルトラリンなどのSSRIsは、セロトニンの働きを調整することで気分を改善します。SADの主要な治療法の一つとされています。
- ブプロピオン アメリカ食品医薬品局(FDA)は、秋から春にかけて毎日服用することで季節性うつ病の再発を予防する薬として、徐放型のブプロピオンを承認しています。
5. ビタミンD
日光を浴びることは自然な治療法です。可能であれば日中に屋外で過ごす時間を増やしたり、家に天窓を設けると良いでしょう。日光が十分に得られない場合には、ビタミンDのサプリメントが症状の改善に役立つことがあります。ただし、ビタミンDの効果に関する研究結果は一貫しておらず、光療法と同程度の効果があるとするものや、ほとんど効果がないとするものがあります。
6. 脳への介入療法
以下のような治療法が含まれます。
- 電気けいれん療法(ECT) 電気刺激によって脳にけいれんを誘発する、重度のうつ病に効果的とされています。他の治療が効果を示さない場合に行われます。
- 反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS) 短い磁気パルスを使って脳内の気分を調整する神経回路を刺激します。
- 磁気けいれん療法(MST) 磁気刺激を用いてけいれんを誘発する方法で、ECTと同等の効果があるとしています。
7. セルフケア
SADの症状を緩和するためには、以下のセルフケアが役立ちます。
- 医師に相談し、専門的なアドバイスを受ける。
- 無理せず小さな目標を設定し、ゆっくり進める。
- 人と積極的に関わり、信頼できる相手に気持ちを話す。
- 楽しいと感じる活動に取り組む。
- 定期的に運動を行い、気分を改善する。
- 健康的な食事を心がける。特に果物、野菜、全粒穀物に含まれる複雑な炭水化物や、オメガ3脂肪酸が豊富な魚やナッツ類を取り入れる。
- アルコールや薬物を控え、悪化を防ぐ。
- 就寝前の長時間のスクリーン利用を避ける。
- 大きな決断は延期し、信頼できる人に相談する。
- 前向きな考えを持ち、回復には時間がかかることを理解する。
- 家族や友人の支援を受け入れる。
- 定期的にチェックアップを受け、治療効果を確認する。
マインドセットがSADに与える影響とは?
前向きな考え方を持つことは、SAD(季節性情動障害)への対処にとても役立ちます。ポジティブなマインドセットは、アウトドアでの活動、人との交流、マインドフルネスの実践など、効果的な方法を積極的に取り入れる手助けになります。
また、「どう解決するか」に焦点を当てる考え方は、光療法などの治療に前向きに取り組む姿勢を生み出します。さらに、治療法の効果を信じることで治療へのモチベーションが高まり、その結果、治療の効果がより良くなる可能性があるのです。
SADに対する自然なアプローチとは?
以下に紹介する自然療法は、SAD(季節性情動障害)や一般的なうつ症状の改善に役立つ可能性があります。ただし、これらを試す前に、必ず医師に相談してください。
1. ハーブ療法と栄養補助食品
- サフラン(Crocus sativus) サフランは伝統医学で消化促進やリラクゼーション、けいれんの緩和、食欲改善、気分向上などに使用してきました。2020年のメタ分析では、12の研究から、サフランが軽度から中程度のうつ症状において、合成抗うつ薬と同等の効果を持つことが示されています。ただし、長期的な研究はまだ必要とされています。
- セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort, Hypericum perforatum) セイヨウオトギリソウは、腎臓や肺の問題、不眠、うつなどの治療に使われてきました。2023年のメタ分析では、14の臨床試験において、セイヨウオトギリソウが軽度から中程度のうつ症状を軽減し、SSRIs(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)よりも副作用が少ないとしていました。
- ラベンダー(Lavandula angustifolia) ラベンダーは歴史的に、不眠、不安、うつなどの治療に使われてきました。2021年のメタ分析では、ラベンダー製品(カプセル、ティー、エッセンシャルオイル、クリーム)が優れた抗うつ効果を持つことが示されています。
- デヒドロエピアンドロステロン(DHEA) DHEAは体内で生成されるホルモンで、2018年のメタ分析では抗うつ薬の代替となる可能性があるとされています。特に中年期以降に発症する軽度から中程度のうつ病に効果があることが2005年の研究で確認されています。
2. アロマセラピー
アロマセラピーは、エッセンシャルオイルを使った治療法です。2021年のメタ分析では、ラベンダーのアロマセラピーが不安やうつ症状を大幅に軽減することが示されています。ただし、身体的健康への影響は一貫性が低いとしています。
3. 催眠療法
催眠療法(ヒプノセラピー)は、深いリラクゼーション状態を誘導し、心理的・感情的な問題にアプローチする方法です。2024年のスコーピングレビューでは、催眠療法は心理療法と組み合わせて使用することが多く、うつ症状を効果的に軽減し、健康や活力を改善する可能性があるとしています。2019年のメタ分析でも、催眠療法が他の心理療法と同等にうつ症状を軽減する効果を示しています。
4. 瞑想
瞑想は、ストレスや不安といったうつの引き金を管理するのに役立ちます。2016年のメタ分析では、瞑想療法が臨床的うつ病患者に効果をもたらすとしています。また、2021年の研究では、入院中の重度うつ病患者がマントラ瞑想を補助的に使用した際に、うつ症状が大幅に改善しました。マントラ瞑想とは、精神的な言葉や音を集中して繰り返す瞑想法です。
2024年のレビューでは、マインドフルネス瞑想がCOVID-19パンデミック中にうつ症状を軽減する効果があると確認しています。
5. ヨガ
ヨガはストレスホルモンの減少、エンドルフィンの増加、脳への酸素供給の改善を通じて気分を向上させます。また、ガンマアミノ酪酸(GABA)のレベルを上昇させ、不安を軽減し、気分を改善する効果もあります。2023年のメタ分析では、ヨガが重度のうつ病患者の症状や不安を軽減することを確認しています。
SAD(季節性情動障害)の予防方法とは?
SADは一般的に予測可能なパターンで発症するため、適切な予防策を講じることで症状を和らげることができます。以下のようなライフスタイルの改善や特定の対策を実践することで、SADの予防が期待できます。
SAD予防の具体的な方法
・日中にできるだけ日光を浴びる時間を増やしましょう。
・栄養バランスの取れた食事を摂り、気分やエネルギーをサポートします。
・体を動かすことでストレスを軽減し、気分を改善します。
・規則正しい睡眠習慣を維持することが重要です。
・特に日光が差し込む時間帯に外を歩くことで、自然光を浴びる機会を増やします。
・窓の近くで時間を過ごしたり、家具の配置を工夫して部屋に光を取り込みましょう。
・マインドフルネスや瞑想を実践することで、ストレスを和らげます。
・冬季に日光の多い地域を訪れることで気分をリフレッシュできます。
・秋や冬の早い時期から、症状が現れる前に光療法を始めるのも効果的です。
・ネガティブな思考パターンを改善し、気分をコントロールしやすくします。
(翻訳編集 華山律)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。