慢性的な痛みを抱える90%の人が睡眠問題に直面。質の良い睡眠が痛みの予防と緩和の鍵である（Shutterstock）

睡眠の質が痛みに影響、研究が明らかに

2025/01/18
George Citroner

慢性的な痛みは、世界中で数百万人を衰弱させる症状です。しかし、新たな知見により、痛みと睡眠の関係は、これまで考えられていたよりも複雑である可能性が示唆されています。

「これは現代最大の未解決の健康問題です」と、オーストラリアのクイーンズランド大学（UQ）の科学者、デビッド・クライン(David Klyne)氏はプレスリリースで述べています。クライン氏の研究は、慢性的な痛みを抱える人の最大90%が睡眠の問題にも悩んでいることを示しており、継続的な不快感の管理や潜在的な予防に睡眠がいかに重要であるかを強調しています。

多くの人が、痛みは睡眠を妨げるだけだと考えていますが、クイーンズランド大学健康・リハビリテーション科学部の研究は、質の悪い睡眠が慢性的な痛みの発症や悪化に重要な役割を果たしている可能性があることを明らかにし、この考え方に異議を唱えています。

質の悪い睡眠が痛みの発症につながる

クライン氏は、現在も痛みに苦しむ患者に対する医療従事者の治療方法を変更したいと考えています。

不十分な睡眠は、慢性痛の結果として生じるというよりも、むしろ慢性痛の原因となる可能性があることを同氏は発見しました。この研究によると、慢性痛を抱える人の最大90%が睡眠の問題を抱えており、睡眠が痛みの経験に果たす重要な役割が浮き彫りになっています。

睡眠と痛みの関係に関する専門家の意見

慢性痛を訴える人の67～88%が睡眠障害や不眠症を経験しており、不眠症を訴える人の約50%が慢性痛を訴えていると、ストニーブルック医療センターの疼痛管理センターの医療ディレクターであるウィリアム・コールドウェル(Dr.William Caldwell)医師は本紙に語りました。

コールドウェル医師は、慢性痛と睡眠の質の低下には関連性があるという確かな証拠があるとして、痛みと睡眠の問題の両方を治療することの重要性を訴えています。

「私の診療では、特に患者の痛みが睡眠行動の変化につながっているかどうかを尋ねます。睡眠に変化が見られる場合は、夜間の痛みの症状を改善することに重点的に取り組み、より健康的な睡眠パターンへと導くことを目指します」と、コールドウェル医師は言います。

クライン医師の過去の研究では、睡眠と痛みの回復には強い相関関係があることが示されています。例えば、怪我から回復する人は、より質の高い睡眠をとることで、より早く治癒する可能性があります。睡眠不足は神経系や免疫系に余分な負担をかける可能性があり、痛みを悪化させ、慢性疾患につながる可能性もあります。

緊急の注意が必要

世界的に見ると、慢性的な痛みは、がんや心臓病による障害を合わせたよりも多くの障害を引き起こしています。クライン氏によると、睡眠は痛みの治療法として見過ごされてきましたが、同氏の研究がその状況を変えることを期待しているとのことです。

同氏のチームは、臨床試験の参加者を募集しており、2週間以内に少なくとも2日間腰痛を経験した18歳以上の人々を対象としています。

クライン氏と彼のチームは、参加者に睡眠パターンを追跡する装置を装着させ、ホルモンや免疫反応を研究するために血液と唾液のサンプルを採取することで、睡眠が痛みにどのような影響を与えるかを調査する予定です。「これまでの研究では、急性または慢性の新たな腰痛の発症を理解することに重点が置かれていましたが、今回の研究では、腰痛を抱える人々における症状の変動という、より一般的な経験に注目します」とクライン氏は声明で述べています。

この研究では、回復した睡眠と中断された睡眠の両方に対する神経系と免疫系の反応が調査されます。参加者は夜間の異なる時間に目覚めさせられ、研究者たちはさまざまな睡眠段階が回復と痛みのレベルにどのような影響を与えるかについて包括的なデータを収集します。

「これにより、この集団についてこれまで研究室以外で収集された中で最も詳細かつ重要な情報を調査することができ、参加者の日常的な活動への支障を最小限に抑えることができます」と彼は付け加えました。

また、この研究は、生活様式が痛みにどのような影響を与えるかを調査しているクライン氏のより広範な研究にも関連しており、効果的な治療法の開発に不可欠な情報をもたらす可能性があります。