座りっぱなしは健康リスク増大 研究者が警鐘

身体を動かさず、運動をしない生活を送る人々は、糖尿病、高血圧、心不全などのさまざまな健康問題のリスクが高まることが新たな研究で分かりました。

米疾病予防管理センター(CDC)が1月2日に発表した査読付きの研究は、アメリカ合衆国の『Preventing Chronic Disease』ジャーナルに掲載され、身体的な活動が健康とどのように関連しているかを調査しました。

7261人の成人被験者の病院データを分析した結果、身体的に活動的な人々が、活動量が少ない人々と比べて「拡張期血圧、安静時脈拍、LDLコレステロール値、トリグリセリド値が低く、HDLコレステロール値が高いことがわかりました」。

運動量が多い人々は、貧血、慢性肺疾患、うつ病、単純性高血圧、合併症のある高血圧、肥満、軽度の肝疾患、薬物乱用、甲状腺機能低下症、精神病、体重減少、単純性糖尿病、合併症のある糖尿病、うっ血性心不全、運動に影響を与える神経障害、末梢血管疾患、弁膜症、神経性発作、自己免疫疾患など、19種類の低運動量に関連する疾患について、発症率が著しく低いことが示されました。

この研究では、2017年11月から2022年12月までの間に、入院手続き中に提出されたアンケートからデータが収集されました。アンケートでは、運動習慣に関する2つの簡単な質問があり、1週間に何日運動を行い、どのくらいの時間をその活動に費やしたかが問われました。

この情報を基に、運動量に応じて3つのグループに分類されました。被験者は「十分に活動的」のグループが60%、「やや活動的」のグループが36%、そして「運動不足」のグループが4%でした。

活動レベルは医療条件に直接関連しており、数値として表されます。非活動的な人々は平均2.2の医療条件を抱えていましたが、不十分に活動的な人々は1.5、活動的な人々は1.2でした。

この研究では、「十分に活動的」とは週に少なくとも150分の中程度から高強度の運動を行っていると報告した人々を指し、「やや活動的」とは、週に1分から149分の運動を行っていると報告した人々を指します。

研究者たちは、今回の結果が「被験者に対する非活動の定期的なスクリーニングを行い、非活動的な被験者には身体活動を促進するためのリソース(資源・使用することで価値を生むもの)を提供することを支持する」と述べています。

この研究はアイオワ大学のステッドファミリー小児病院によって資金提供されました。著者はアイオワ大学に所属しており、潜在的な利益相反は記載されていません。

 

座りがちな生活習慣への対策

2024年に発表された研究によると、毎日1万歩歩くことが座りがちな生活習慣による健康への悪影響を減少させ、心血管疾患のリスクは21%、死亡リスクは39%減少することがわかりました。

主著者のマシュー・アフマディ氏は、日々の歩数を増やすことは有益であるものの、それを長時間座り続けることの言い訳にしてはならないと明言しました。

彼は「これは長時間座っている人々に対する免罪符ではありません」とし、「しかし、すべての運動が重要であり、誰もが日々の歩数を増やすことで座りがちな時間による健康への影響を減らすよう努力すべきだ」という重要な公衆衛生のメッセージを伝えています。

疾病予防健康増進局は、米国成人に向けた健康的な身体活動のガイドラインを発表しました。

ガイドラインでは、「成人はもっと活動的となり、座っている時間を減らすべきだ」と書かれています。少しでも身体を動かすことは、全く動かないよりも良いとされています。

同局は次のようにも述べています。 「成人は健康を維持するために、週に少なくとも150分(2時間30分)から300分(5時間)の中程度の強度の有酸素運動、または75分(1時間15分)から150分(2時間30分)の高強度の有酸素運動を行うべきです。また、中程度と高強度の有酸素運動を同等に組み合わせることで、効果を得ることができます。有酸素運動は週を通じて分散して行うことが推奨されます」

また、成人に対して週に少なくとも2回、中程度以上の強度で筋トレを行うことを推奨しています。これらの運動は、体の主要な筋肉群をすべて含むべきであり、そのような活動はより大きな健康利益をもたらすと述べています。

高齢者については、慢性的な疾患が原因で週に150分の中程度の強度の有酸素運動ができない場合、「自分の能力や健康状態に応じてできる限り身体を動かすべきです」とガイドラインは述べています。

(翻訳編集 山本 拓)

英語大紀元記者。担当は経済と国際。