繰り返す湿疹を和らげる 自然療法と伝統の知恵

繰り返し起こる湿疹に悩む人は少なくありません。湿疹は、時には耐えられないほどのかゆみを引き起こし、日常生活の質を大きく下げてしまいます。台湾にある「漢明堂中医診所」の院長、頼瑞興さんは、「健康1+1」という番組で、湿疹のかゆみを素早く和らげるコツを紹介しました。また、体質や生活環境、食事を見直すことで湿疹を改善する具体的な方法についても分かりやすく解説しました。

湿疹の症状と原因

湿疹は、乾燥やかゆみを伴う慢性的な皮膚トラブルで、感染症を引き起こしやすいのが特徴です。湿疹にはいくつかの種類がありますが、特に夏の暑くて湿気が多い時期には、汗をかきすぎることで「あせも」や「異汗性湿疹」が増える傾向があります。あせもは、赤くてかゆみを伴う小さなブツブツとして現れ、場合によっては水ぶくれになることもあります。一方、異汗性湿疹は主に指や、つま先にでき、小さな水ぶくれが強いかゆみを引き起こすのが特徴です。

異汗性湿疹になりやすいのは、汗をかきやすい人や手を頻繁に洗う人です。例えば、主婦や清掃業の仕事をしている人などが特にリスクが高いとされています。

湿疹の原因は一言での説明は難しいのですが、伝統中医学の考えでは、「体質」「環境」「食事」の3つが主な要因だとしています。これらを適切に整えず、かゆみ止めの軟膏や炎症を抑えるステロイドだけに頼ると、一時的には症状が良くなっても根本的な解決にはならず、湿疹が再発する可能性が高くなります。

 

湿疹になりやすい人の特徴

伝統中医学の考え方では、体内で油分や老廃物がうまく処理・排出されないと、体の水分バランスが崩れ、「湿気」がたまりやすい体質になります。この状態を悪化させる原因として食事に、焼き物、揚げ物、炒め物、辛い料理、さらに冷たい飲み物やデザートが多いことが挙げられます。

体の中に湿気がたまりすぎると、「湿熱(体が熱っぽく湿った状態)」や「寒湿(体が冷えて湿った状態)」と呼ばれる2つのタイプに分けられます。こうした体質の人は、湿疹ができやすいと言われています。

湿熱体質とは?

湿熱体質の人は、暑さに敏感で、体が重くだるいと感じることが多いのが特徴です。肌は脂っぽく、ニキビができやすい傾向があり、口臭が気になることもあります。また、便はゆるくて匂いが強く、1日に何度もトイレに行くことが多いです。中には食事をした直後に便意を感じる人もいます。女性の場合は、黄色く粘り気のあるおりものが出て、匂いが気になることもあります。

このような湿熱を取り除くために使われる代表的な漢方には、ハトムギ(薏苡仁)、ブクリョウ(茯苓)、ビャクジュツ(白朮)、オオバコの種(車前子)などがあります。特にハトムギは、体内の余分な湿気を排出し利尿作用を高めるほか、痛みを和らげたり、ホルモンバランスを整えたり、神経を保護する効果、さらには抗がん作用まで期待できるとされています。

さらに、竜胆草(りゅうたんそう)、苦参(くじん)、黄柏(おうばく)、黄連(おうれん)といった漢方も湿熱体質の改善に役立ちます。例えば、黄柏には湿熱を取り除く作用があるだけでなく、かゆみを抑えたり、アレルギー症状や炎症を改善する効果が薬理学的にも確認されています。

寒湿体質

寒湿体質の人は、寒さに敏感で、冷たい食べ物を食べるとお腹を壊しやすい傾向があります。この体質の人は疲れを感じやすく、便は柔らかく形が崩れているものの、あまり臭いが強くないのが特徴です。女性の場合、おりものが水のようにさらっとしていて透明で、特に臭いもありません。

寒湿体質の人は、体にたまった湿気を取り除くために、香りの強い漢方薬が役立ちます。具体的には、砂仁(しゃじん)、厚朴(こうぼく)、蒼朮(そうじゅつ)、藿香(かっこう)、佩蘭(はいらん)、白豆蔻(びゃくずく)などの生薬がよく使われます。

 

湿疹を予防・改善するためのポイント

頼瑞興氏によると、漢方薬は湿疹の改善に効果がありますが、それだけでなく、体質を整えるために食事を見直すことも大切です。湿疹が繰り返し起こる場合は、生活環境を改善したり、ストレスや心の健康にも目を向けることが重要だとしています。

食事が湿疹に与える影響

湿熱体質の人は、加工食品や刺激の強い食べ物を避けることが大切です。特に、揚げ物や焼き物、辛い料理、砂糖を多く含む甘いものは控えるようにしましょう。また、アイスクリームなどの冷たいデザートや冷たい飲み物、お酒、牛乳、チーズの摂取も減らしましょう。

一方で、寒湿体質の人は、サラダや冷たい食べ物、冷たい飲み物をできるだけ減らすのが良いとされています。

頼瑞興さんは、湿熱体質の男性患者が漢方薬と厳しい食事管理、健康的な生活習慣を取り入れることで湿疹をうまくコントロールできたエピソードを紹介しました。しかし、その患者が冷たい飲み物やポテトチップスを食べるようになり、食事管理を緩めたところ、湿疹が再発してしまったそうです。

また別の患者は、フライドポテトやチーズが大好きで、治療の初期には湿疹がなかなか改善しませんでした。しかし、それらの好きな食べ物をやめてから、湿疹が大幅に良くなったそうです。

環境が湿疹に与える影響

頼瑞興氏によると、湿度が高い環境では、除湿機やエアコンを使用することで湿疹の再発リスクを軽減できるといいます。

また、汗をかいた後はすぐに肌を乾かすことが重要です。汗による皮膚の刺激を最小限に抑えるだけでなく、湿疹を予防し、風邪をひくリスクも低減できます。

感情が湿疹に与える影響

感情を安定させることは、湿疹を予防したり症状を管理したりする上でとても重要です。感情の起伏が激しかったり、長期間ストレスを抱えたりすると、免疫バランスが乱れたり敏感になったりして、皮膚に炎症が起きることがあります。

頼瑞興氏によれば、多くの患者さんで湿疹が再発する原因は、ストレスや感情的な要因と深く関係しています。ある調査では、心理的ストレス、特に慢性的なストレスがアトピー性皮膚炎を悪化させたり、かゆみを強く感じさせたりすることが分かっています。また、睡眠不足や睡眠の質が悪いことも、湿疹やじんましん、アトピー性皮膚炎などの原因になります。

こうしたケースでは、湿気を取り除くための漢方薬に加え、心を落ち着かせてリラックスしやすくする漢方薬を活用することを勧めます。

頼氏は、「誘因となる食品を避ける」「漢方薬を取り入れる」「規則正しい生活を送る」「早寝早起きを心がける」「適度な運動をする」といった医師の指導を守った患者さんの多くが、皮膚の状態を大幅に改善していることを強調しています。

 

かゆみを素早く和らげる方法

湿疹のかゆみを掻いてしまうと、肌が傷ついて皮膚のバリア機能が弱まり、感染のリスクが高まります。さらに、肌が乾燥してゴワゴワし、湿疹が悪化してしまうこともあります。

頼瑞興氏によれば、かゆみを素早く和らげるには冷湿布が効果的です。肌がかゆくなったり赤くなったりしているときは、血管が拡張している状態なので、冷湿布で血管を収縮させると症状が軽減します。ただし、冷やしすぎると凍傷のリスクがあるため、長時間の使用は避けましょう。

冷水で患部を洗うか、冷たい水で濡らしたタオルを患部に軽く当てると良いです。湿布を長く当てすぎないよう注意し、肌が少し湿っている状態のうちに保湿クリームを塗ることで、潤いをしっかり閉じ込めることができます。一部の保湿クリームにはメントールなどのかゆみを和らげる成分が含まれているものがあり、さらに効果的です。研究によると、保湿剤はかゆみを和らげるだけでなく、肌を保湿し、炎症を抑える効果もあります。

また、日差しを長時間浴びると皮膚にダメージを与え、湿疹が悪化する可能性があります。短時間の外出時は、薄手の服で肌をカバーするだけで十分ですが、長時間外出する際は日焼け止めを使うとさらに効果的です。

なお、この記事で紹介された漢方薬は、健康食品店やアジア系のスーパーで手に入るものも多いです。ただし、湿疹の治療法は人それぞれの体質によって異なる場合があるため、治療を始める前に医療専門家に相談することをお勧めします。

 

この記事で述べられている意見は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの意見を反映するものではありません。エポックヘルスは、専門的な議論や友好的な討論を歓迎します。
 

(翻訳編集 華山律)

英文大紀元が提供する医療・健康情報番組「健康1+1」の司会者を務める。海外で高い評価を受ける中国の医療・健康情報プラットフォームであるこの番組では、コロナウイルスの最新情報、予防と治療、科学研究と政策、がんや慢性疾患、心身の健康、免疫力、健康保険など、幅広いテーマを取り上げている。
Rena Gao