世界最大の氷山が、南極の数百万羽のペンギンの故郷である離島に向かってゆっくりと移動している。
AP通信が1月23日に報じたところによると、この氷山はA23aという名前が付けられている。また、この氷山は南ジョージア島に衝突する可能性があるという。しかし、全体として、研究者たちはこの氷山が深刻な危険を引き起こすことについてあまり懸念していないようだ。
イギリス南極調査局の物理海洋学者アンドリュー・メイヤーズ氏は、これは人間の行動による気候変動が原因であり、より頻繁に発生しているプロセスであると説明した。2023年12月、この氷山がイギリスの極地調査船(サー・デビッド・アッテンボロー)の近くを漂流している際、メイヤーズ氏はそれを間近で観察した。
1月23日、メイヤーズ氏は約130フィート(40メートル)の高さを有するA23aについて「水面上に見える氷山の下には、その10倍の大きさの氷山が存在する」と述べており「氷山は3秒から7秒ごとに1メートルという非常に遅い速度で移動している」と言及した。
この氷山が今後2〜4週間のうちに南ジョージア島に近づくとメイヤーズ氏は予測している。
コロラド大学のテッド・スキャンボス氏はメールの中で「大型の氷山は毎年南ジョージア島周辺の浅瀬に衝突する。これは大型氷山の高速道路だ」「この海流のルートは、シャクルトン時代から知られているものだ」と回答した。
スキャンボス氏が指しているのは、イギリスの探検隊を率いて南極大陸に向かったサー・アーネスト・ヘンリー・シャクルトンのことだ。
メイヤーズ氏は「最終的に、この大きな氷山は小さな氷山に分裂し、他の氷山と同様に溶けていくだろう。氷山はこの地域の漁師にとって大きな危険をもたらすことはない。一方で、私は夏の繁殖期にあるペンギンの方がより懸念されると考えている」と述べた。
続けて「南ジョージア島の生態系は非常に豊かだ。ここは数百万羽のペンギンとアザラシの繁殖地だ」「ここには多くの雛と幼獣がいて、まだ親に依存している」と言及した。
メイヤーズ氏は「親ペンギンは遠くの海域で餌を探しに行くが、氷山がその道を遮るため、成鳥のペンギンはさらに遠くまで泳がなければならない。そのためより多くの体力を消耗し、雛に持ち帰るエネルギーが少なくなる。残念ながら、これにより死亡率が大幅に増加する。過去にも同様の事例があった」と述べた。
スキャンボス氏は、この氷山がペンギンの群れにとっては悪いことであるが、ペンギン全体にとってはそれほど問題ではないとした。
またその上で、「南極海の全体的な生態系は、これらの出来事に非常に柔軟に対応している」「数十万年にわたり、これらの氷山は南極海の生態系に影響を与える要因の一つであり続けている」とスキャンボス氏は回答した。
メイヤーズ氏は「この氷山が1986年に初めて断裂したものの、数十年間は混雑した海氷の中に閉じ込められており、数年前にようやく元の状態に戻った」「氷山の崩壊は正常な現象だが、現在ではこのような状況がますます頻繁に発生している」と述べた。
(翻訳編集 青井 蒼太)
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