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脳卒中回復を促進する4つのツボ   中医学の専門家が教える方法

脳卒中は命に関わるだけでなく、再発しやすい病気でもあります。伝統的な中医学は、脳卒中の早期回復や再発予防に効果があるとされています。台湾の明悦中医診所の中医師・朱益智(しゅ えきち)氏は、ツボ押しを活用して脳卒中の回復を促し、再発を防ぐ方法を紹介しています。

脳卒中の前兆に注意

脳卒中は突然発症することが多く、その前兆は見逃されがちです。朱益智氏によると、もし親指と人差し指が無意識にピクピクと痙攣した場合、3年以内に脳出血や脳梗塞を発症する可能性があると指摘しています。

朱氏によれば、親指は「肺経」、人差し指は「大腸経」と関係しています。肺と大腸は互いに連携して働く臓器であり、体内のエネルギー循環や老廃物の排出を担っています。もしこれらの機能が滞ると、体内の循環が悪化し、老廃物が排出されにくくなり、その結果、脳卒中のリスクが大幅に高まると考えられています。

ただし、手全体が軽く震える場合は、必ずしも脳卒中の前兆とは限りません。ほかの要因でも手の震えが生じることがあります。若い人でも冷たい食べ物を食べ過ぎると、一時的に手が震えることがあるため注意が必要です。
 

脳卒中後の中医学によるリハビリ

脳卒中が発症すると、手足の痙攣や口や目の歪み、半身麻痺などの症状が現れることがあります。発症後の「黄金の3時間」以内に適切な処置を行わなければ、命に関わる危険性があります。

中医学では、針治療や漢方薬を組み合わせて脳卒中の治療を行います。針治療にはさまざまな方法があり、例えば麻痺や痙攣のある手足の経絡を調整し、気血の流れを促進することで運動機能の改善を目指します。また、「頭皮針療法」と呼ばれる方法では、特定の頭皮の部位に針を刺して脳神経や体神経を刺激し、大脳機能の回復を促します。

朱益智氏によると、親指や人差し指の不随意な痙攣、手のしびれ、全身のだるさ、片側の手足の脱力などの症状がある場合、「羌活愈風湯(きょうかつゆふうとう)」という漢方を服用すると、症状の緩和と体の回復を助けることができるとされています。通常、手の痙攣がなくなるまで、約3カ月間の服用が推奨されています。

朱氏は、脳卒中の回復には早期治療が極めて重要であり、適切な治療を行うことでリハビリの期間を大幅に短縮できると強調しています。発症後1週間以内に針治療を開始し、3~5か月継続すれば、多くの患者で手足の動きが改善する可能性があります。しかし、発症から1カ月以上経過してから治療を始めた場合、回復に6か月~1年かかることがあり、理想的な改善を得るには時間がかかる傾向があります。

朱氏の患者の中には、60代の女性で、新型コロナウイルスの治療中に左半身の麻痺が見つかり、虚血性脳梗塞と診断されたケースがありました。家族の勧めで、彼女は針治療と漢方治療を受けることになりました。週に1回の針治療を続けた結果、3週間後には手の筋緊張が改善し、左足の力も回復しました。

しかし、朱氏によると、初期段階では週に2~3回の針治療を行う方がより効果的だと述べています。

もし脳卒中が認知症を伴う場合、リハビリはさらに困難になります。中高年の患者には、積極的に筋力トレーニングを行い、筋力の回復を促すことが推奨されます。さらに、生活習慣や日常のリズムを整え、脾胃(消化機能)を調整することも重要とされています。こうしたアプローチによって、気血の流れが改善され、全身の機能回復が期待できます。
 

自分でできるリハビリに役立つ4つのツボ

朱益智氏は、脳卒中の回復をサポートするために、以下の4つのツボをマッサージすることを推奨しています。

合谷(ごうこく)穴(LI 4)
手の甲の親指と人差し指の骨の間で、人差し指寄りのくぼみにあります。このツボを刺激すると、全身の血流が促進され、気の巡りが良くなります。手のしびれや脱力感の改善にも効果が期待できます。

合谷(大紀元)

 

太衝(たいしょう)穴(LR 3)
足の甲の親指と人差し指の間のくぼみから、指1本分上の位置にあります。このツボを押すことで、炎症を抑え、足の血流を促進し、全身の気血の流れを整える効果があります。

陽陵泉(ようりょうせん)穴(GB 34)
すねの外側、腓骨(ひこつ)の下前方にあるくぼみに位置します。膝を軽く曲げると見つけやすいです。このツボを刺激すると、神経の緊張を和らげ、こむら返り(筋肉のけいれん)を軽減し、筋肉や関節のこわばりを改善する効果があります。

太渓(たいけい)穴(KI 3)
足の内側のくるぶしの後ろ、くるぶしの先端とアキレス腱の間のくぼみにあります。このツボをマッサージすると、腎の働きを助け、脳の活性化を促す効果が期待できます。脳卒中による脳機能の低下を和らげるだけでなく、慢性的な寝不足や疲労感がある人にも、精神のリフレッシュ効果があるとされています。
 

これらのツボに加えて、耳のツボを刺激することも脳の回復を助けます。耳には体のさまざまな器官とつながる反射区があり、特に耳たぶは大脳に対応しています。耳たぶを優しく引っ張ったり、もみほぐしたりすることで、脳の活性化を促し、脳卒中からの回復をサポートする効果が期待できます。
 

脳卒中の再発を防ぐために

朱益智氏は、脳卒中の再発を防ぐためには生活習慣の改善が重要だと指摘しています。

●「三高」(高血圧高血糖高脂血症)をコントロールする

高血圧・高血糖・高脂血症は、血管内に脂肪が蓄積したり、血栓が増えたりする原因となります。これらは脳卒中の発症や再発の大きな要因となるため、しっかり管理することが重要です。

● 塩分や脂肪の多い食事を控える

塩分の摂りすぎは血圧を上昇させ、コレステロール値の高い食事は脳卒中の再発リスクを高めます。また、果糖(フルクトース)にも注意が必要です。果糖は血中脂質を増やす作用があるため、一部の果物や加工食品の摂取は控えめにしましょう。

● 喫煙・過度の飲酒を避け、適度に運動する

喫煙過度の飲酒運動不足といった生活習慣は、脳卒中やその再発のリスクを高めます。適度な運動を取り入れることで、血流が改善され、血圧やコレステロールの管理にも役立ちます。

● 体重を適正に保つ

研究によると、肥満は虚血性脳卒中のリスクを高めることが分かっています。健康的な体重を維持することも、再発予防の重要なポイントです。

 

(翻訳編集 華山律)

林一山