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愚かなキリギリスがフクロウのお世辞にだまされる【イソップ物語】

フクロウは昼間はいつも眠っています。そして、日が沈み、バラ色の光が空から消え、森の中の影がゆっくり浮び上ってくると、巣がある木から飛び立ち、羽をパタパタさせて活動を始めます。 

フクロウの不気味な「フー・フー・フー・ウー・ウー」という声が静かな森に響き渡り、大好きなバグやカブトムシ、カエルやネズミを探し始めます。

「フクロウとキリギリス」、ミロ・ウィンターによるイラスト、 『子供のためのイソップ物語』より、1919年。パブリック・ドメイン(米国)

ある森に年を取ったフクロウが住んでいました。年を取るにつれて、すぐに怒るようになり、あまり機嫌が良くなくなりました。特に、寝ているときに邪魔されると、すぐに怒ってしまいました。

ある暖かな夏の午後、フクロウが古いオークの木の穴の中でうとうとして寝ていると、近くで、キリギリスが楽しいけれど、少し騒がしい歌を歌い始めました。すると、この年を取ったフクロウは、木の中から頭をぽっかりと出しました。 

「何をしている!さっさとここを離れなさい!」とフクロウはキリギリスに言いました。「マナーがないのか?せめて私の年齢を尊重して、静かに眠らせてくれたらどうなんだ!」

「フクロウとキリギリス」、ミロ・ウィンターによるイラスト、『子供のためのイソップ物語』より、1919年。パブリック・ドメイン(米国)

しかし、キリギリスは生意気にもこう答えました。「僕には太陽の下にいる権利があります。フクロウさんが古いオークの木にいる権利があるのと同じです」そう言うと、さらに大きくて、耳障りな音を立てて歌い始めました。

賢いフクロウは、キリギリスと議論しても無駄だと分かっていました。そして他の誰かと議論することも無駄だということをよく知っていました。それに、昼間は目がはっきりしないので、キリギリスを罰することもできませんでした。そこで、フクロウは厳しい言葉を飲み込み、優しくキリギリスに話しかけました。 

「ふむ、もし私が起きていなければならないのであれば、あなたの歌を楽しむことに決めましょう。そういえば、ここにオリンポスから送られてきた素晴らしいワインがあるのです。アポロンが高貴な神々に歌を捧げる前に飲むのだとか。さあ、私と一緒にこの美味しいワインを味わいましょう。きっとあなたもアポロンのように歌えるようになるでしょう」

愚かなキリギリスは、フクロウの言葉にだまされて、フクロウの巣穴に飛び込んでしまいました。年を取ったフクロウは、キリギリスが近づいてきたのをしっかりと見て、すぐに飛びかかって食べてしまいました。

 

このお話から、私たちが学べることは、

『お世辞は本当のほめ言葉じゃない』

誰かにお世辞を言われても、それに乗せられて行動すると、結局は自分に良くない結果になります。

ちゃんと真実を見て、無駄な争いをしないことが大切です。

 

この物語は『イソップ物語』(1919年)から抜粋されたものです。

イソップ(紀元前620年頃–紀元前564年頃)は、ギリシャの物語作家であり、「イソップ寓話」として知られる多くの寓話を残した人物です。彼の物語はその道徳的価値を通じて、長い間、私たちの文化や文明に影響を与えてきました。これらの話は、子どもたちの教育や道徳的な人格形成に貢献しただけでなく、普遍的な魅力を持ち、大人たちがその中にある美徳や警告に耳を傾けたりすることで、自己反省にも繋がっています。