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Illustration by The Epoch Times, Shutterstock

酸味の力を活かす

ライム：免疫力を高め、腎臓結石の予防にも役立つフルーツ

2025/04/16
Jimmy Almond

ライムは酸味とほのかな甘みの絶妙なバランスを保っています。その酸味は、さわやかなサルサ料理からキーライムパイに至るまで、どんな料理でも引き立てます。ライムは料理の楽しみを広げるだけでなく、クエン酸の含有量による腎臓結石の予防から脳や神経系へのサポートまで、幅広い健康効果をもたらす多用途の果物なのです。

歴史的なスーパーフルーツ

ライムは歴史においても重要な役割を果たしてきました。18世紀には、深刻なビタミンC不足である壊血病を予防するために、英国海軍が柑橘類の果汁を採用しました。長期間の航海中、英国の船では水兵たちにライムジュースを配給していました。この習慣が広く知られるようになると、19世紀には英国の水兵の愛称として「ライミー」という言葉が使われるようになりました。

主な栄養素

ビタミンCが豊富：ライム1個には1日に必要なビタミンCの20％以上が含まれており、免疫システムをサポートし、コラーゲンの生成を助けることで、健康な肌、丈夫な関節、傷の治りを促進します。
クエン酸が豊富：クエン酸は腎臓結石の予防に役立ち、鉄分の吸収を高めます。
食物繊維が豊富で低カロリー：ライム1個には20カロリーしか含まれていない一方で、1.88gの食物繊維が含まれています。
豊富な必須栄養素：ライムにはカリウム、マグネシウム、リン、カルシウム、葉酸、コリンが含まれ、少量のビタミンA、E、Kも含まれています。

健康への効果

豊富な栄養素を含むだけでなく、ライムにはいくつかの健康効果があることが分かっています。しかし、ほとんどの研究はまだヒトを対象としたものではありません。

腎臓結石と胆嚢結石の予防に役立つ可能性

ライムには、柑橘類やベリー類、一部の野菜に含まれるクエン酸が含まれています。クエン酸に含まれる抗酸化物質は、食品、医薬品、その他の製品に貴重な成分を加えるものです。また、保存料としての役割を果たし、腎臓結石や胆嚢結石の予防にも役立ちます。

新鮮なライム果汁には、1オンスあたり約1.38ｇのクエン酸が含まれています。このクエン酸が尿中のクエン酸塩のレベルを低下させ、尿が結石を形成しにくくすることで、腎臓結石や胆嚢結石の予防に役立っているのです。

結石予防におけるクエン酸の役割以外にも、ライムパウダーに含まれる成分など、ライムに含まれる他の成分が腎臓の健康に寄与する可能性について、研究者たちがさらに調査を進めています。

無作為化比較試験では、ライムパウダーが特にシュウ酸カルシウムによる腎臓結石の予防にどのように役立つかを調査しました。この研究は2年間続き、80人の腎臓結石患者が参加しました。研究者は、ライムパウダーによる6か月の治療の前後で24時間尿サンプルを採取し、タンパク質の含有量を分析しました。

石灰粉末の治療により尿中に排泄されるタンパク質の総量が大幅に減少したことが分かりました。一方、プラセボでは効果が見られませんでした。影響を受けた17種類のタンパク質の16種類が減少し、1種類が増加しました。これらの結果から、石灰粉末が結石の形成につながる有害なタンパク質を減少させることで、結石の形成を予防する可能性があることが示唆されます。

脳と神経系の健康をサポート

ライムに含まれる抗酸化物質は、血液脳関門を通過して、神経細胞を炎症から保護します。さらに、ライムには神経信号の伝達、再生、修復をサポートする必須栄養素であるマグネシウムとカリウムが豊富に含まれています。

ライムに含まれるフラボノイドは、神経細胞とミトコンドリアを酸化ストレスとフリーラジカルのダメージから保護し、脳と神経系を健康に保ちます。

Pharmaceuticals誌（薬学雑誌）に掲載された研究論文では、タイライムの葉と果皮から抽出した2種類のエキスについて、ヒトの神経細胞（脳細胞）への影響を評価しました。研究者は、両方のエキスが、神経変性疾患の原因となり、細胞老化（細胞が老化して分裂を停止するが、死滅することはない）を加速させる高血糖による老化からヒトの神経細胞を保護することを発見しました。

ライムエキスは、脳細胞の早期老化を防ぎ、健康的な細胞増殖をサポートしました。さらに、強力な抗酸化作用により酸化ストレスを軽減し、神経細胞を損傷から保護しました。

潜在的な抗がん作用

Molecules誌（モレキュールズ）に掲載された臨床研究では、ライムの果皮抽出物に含まれる植物化学物質が肝臓がんの治療に役立つ可能性に焦点を当てていますが、まだ人間を対象とした試験は行われていません。

ライムの果皮抽出物に含まれる化学物質を分析したところ、研究者らは、健康効果で知られる化合物、ヘスペリジンとリモノニン、そしてその他多くの植物化学物質を発見しました。

研究者は、ライムの皮の抽出液、リモニン、ヘスペリジン、そして両者の組み合わせをヒトの肝臓がん細胞でテストしました。その結果、すべての物質が肝臓がん細胞に対して有効であることが分かりましたが、ライムの皮の抽出液が最も顕著な効果を示しました。これは、多数の植物化学物質の相乗効果によるものと考えられます。

ライムの抗がん作用を調査した別の研究では、テキサス州で栽培されたライムには少なくとも22種類の揮発性化合物が含まれていることが分かりました。最も多く含まれていたのはリモネン（30%）とジヒドロカルボン（31%）でした。 1ml あたり100マイクログラムのライム揮発油が、48時間後に大腸がん細胞の成長を78%抑制することが発見されました。また、がん細胞にはアポトーシス（プログラム細胞死）の兆候も見られました。

同じ研究者による後の研究では、ライムの皮から3つの新しい植物化合物が発見されました。ライムの皮の抽出物を異なる濃度で結腸がん細胞にテストしたところ、72時間後に細胞の成長を67%抑制することが分かりました。がん細胞はアポトーシスも起こしました。

その他の利点

ライムは消化酵素を刺激することで消化を助けるため、便秘や腹部膨満感の改善に役立ちます。また、老化を早めるフリーラジカルによるダメージに対抗する抗酸化作用もあります。ビタミンCを豊富に含むため、スキンケア製品にもよく使用されています。

ライムにはフラボノイド、抗酸化物質、水溶性および不溶性の食物繊維が豊富に含まれており、炎症を抑え、血管を保護し、心臓の健康をサポートします。

ライムの豆知識

クリストファー・コロンブスが1493年に西インド諸島にライムの種子を持ち込んだことで、その木はメキシコやフロリダを含むその地域全体に広がりました。
北米で食べられているライムのほとんどは、キーライム（Citrus aurantiifolia）とレモン（Citrus limon）の交配種であるペルシャライムです。
ほとんどのライムは種なしですが、これは遺伝子組み換えによるものではなく、受粉しなくても果実が育つ単為結果というプロセスによるものです。
クエン酸を多く含むライムには、自然に細菌を殺す効果があり、汚れを落とし、消臭効果もあるため、洗浄や消毒に最適です。
ライムにはさまざまなサイズや風味があります。ペルシャライムは大きく果皮が厚く、キーライムは小さく酸味が強いです。カフィアライムとタイライムは東南アジア料理でよく使われ、スイートライムは地中海で栽培されるマイルドなライムです。また、オーストラリア原産のフィンガーライムは、その独特な「ライムキャビア」で知られています。

吸収率を高めるには

ライムやその他の柑橘類に含まれるビタミンCは、豆類、レンズ豆、葉野菜、キヌア、豆腐、糖蜜などの植物由来の鉄分（非ヘム鉄）と一緒に摂取すると、体内での鉄分の吸収を助けます。黒豆、ほうれん草、キヌアなどの食品にライムを絞って加えると、鉄分の吸収率を高めることができます。

ライムの健康効果を最大限に引き出すには、ヘスペリジンやナリンジンなどの強力なフラボノイド、リモネン（テルペン）、食物繊維を含む皮ごと食べることをお勧めします。皮を食べる場合は、農薬やその他の化学物質を避けるために、有機栽培のライムを選びましょう。ライムの皮を食事に取り入れる方法には、以下のようなものがあります。

ライムの皮を料理や飲み物に絞って加えます。
ライムの皮を乾燥させてから粉末状にして、料理や飲み物に振りかけます。
ライムの皮を砂糖漬けにして甘いお菓子を作ります。
料理やデザートに振りかける柑橘類の砂糖や仕上げ用塩を作ります。

専門的なアドバイス

ビタミンCを維持するには、ライムを加熱しないようにします。ビタミンCは熱に弱いので、栄養価を維持するには、調理後にライムジュースを料理に加えます。

注意

薬との相互作用： ライムに含まれる一部の化合物は、特定の薬、特に肝臓で分解される薬と相互作用を起こす可能性があります。ライム果汁は、ロバスタチン（メバコール）、ケトコナゾール（ニゾラル）、イトラコナゾール（スポラノックス）、フェキソフェナジン（アレグラ）、トリアゾラム（ハルシオン）などの薬の効果を高め、副作用を増大させる可能性があります。

皮膚の過敏性：ライムの果皮や果汁に触れた後、日光に当たると、光線過敏性皮膚炎（腫れ、赤み、水ぶくれを引き起こす皮膚反応）が起こることがあります。屋外に出る前に、ライムを扱った後は手を十分に洗ってください。

高い酸性度： ライムジュースを飲み過ぎると、胃酸過多や胃酸逆流症の人には特に、消化不良を起こすことがあります。また、長期間にわたって摂取すると、酸が歯のエナメル質を侵食し、知覚過敏や虫歯の原因となることもあります。そのため、適量を摂取することが大切です。

血液をサラサラにする： ライムに含まれるクエン酸には、血液をサラサラにする作用があります。出血性疾患のある方や血液をサラサラにする薬を服用している方は、ライムを摂取する際には注意が必要です。