二人の旅人は真昼の太陽の下を歩いていて、木陰で休むことにしました。横になり、心地よい葉陰から空を見上げると、その木が*プラタナスの木であることに気付きました。
そのうちの一人が口を開きました。「プラタナスなんて、何の役にも立たない!実をつけることもなく、ただ地面に葉を散らすだけだ」
すると、突然、「恩知らずな者たちよ!」という声が聞こえました。驚いて二人が辺りを見回すと、プラタナスの木からその声が聞こえてきたのです。「お前たちは私の木陰で休んでいるのに、私を役立たずだと言うのか!こんなに恩恵を受けておいて、感謝の言葉もないとは」

このお話から、私たちが学べることは、
『身近にあるありがたさは、忘れがちになる』
少しだけ時間をとって、今自分がどれだけ恵まれているかを考えてみよう。謙虚になって、感謝の気持ちを持とう!
~せつめい~
*1 プラタナスの木 大きな葉っぱを持つ木。暑い夏に涼しい日陰を作り、幹の皮がボロボロと剥けるのが特徴です。
この物語は『イソップ物語』(1919年)から抜粋されたものです。
イソップ(紀元前620年頃–紀元前564年頃)は、ギリシャの物語作家であり、「イソップ寓話」として知られる多くの寓話を残した人物です。彼の物語はその道徳的価値を通じて、長い間、私たちの文化や文明に影響を与えてきました。これらの話は、子どもたちの教育や道徳的な人格形成に貢献しただけでなく、普遍的な魅力を持ち、大人たちがその中にある美徳や警告に耳を傾けたりすることで、自己反省にも繋がっています。
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