中医学の古典『黄帝内経』は、人の健康だけでなく、宇宙と人体のつながりについても述べています。その中の「五運六気」の学説では、陰陽五行を使って気候の変化や疫病、災害の法則を推測し、人々が自然の流れに従って吉を招き凶を避ける方法を導いています。
「古代の聖人たちは天地の理を理解し、宇宙の法則を知っていたので、病を避ける方法や、感染した後の対処法を心得ていました。そして、普通の人々にも疫病を避ける方法を教えていたのです」と、イギリスの栄大夫クリニックの所長である舒栄医師は、新唐人テレビの『健康1+1』番組で語りました。
彼女は「五運六気」の理論に基づいて、今後3年間の疫病の傾向を予測し、視聴者に対しては熱性の感染症に注意するよう呼びかけるとともに、野菜や穀物などの供給不足に備えて食料の備蓄を勧めています。
熱性の感染症が流行へ
干支の観点から見ると、2025年(乙巳年)、2026年(丙午年)、2027年(丁未年)はいずれも「火」に属します。
また、今後3年間は、心血管疾患、精神疾患、皮膚病、肺の病気、腎臓病も大幅に増加すると見られています。舒栄医師はその理由について、心血管系や精神は五行の中で「火」に関係しており、「同気相求」の原理により影響を受けやすいと説明しています。
一方で、肺や皮膚は五行で「金」に属し、「火は金を克す」とされます。さらに腎臓は「水」に属し、通常は「水は火を克す」の関係にありますが、火の勢いが極端に強い場合、水をも焼き尽くしてしまうことがあり、これを「火侮水」と呼びます。
ハイリスクな人は要注意
今後3年間は、熱性の感染症が多くなる時期とされています。熱性の感染症は「火」に属し、体質が燥熱(そうねつ)、湿熱(しつねつ)、虚熱(きょねつ)の人がかかりやすい傾向にあります。こうした体質の人には、以下のような特徴が見られます。
● 皮膚が感染しやすい、アレルギーが出やすい、化膿しやすい、口内炎ができやすい
● 顔が紅潮しやすく、皮脂が出やすい
● 不安や緊張、怒りっぽさ、イライラしやすい
● 夜更かし、飲酒、薬物使用、性行為の過多などの傾向がある
これらの行動は、体内の「陰気(いんき)」を消耗し、「内熱(ないねつ)」を生じさせ、熱性の感染症を引き寄せやすくします。そのため、古代の人々はこのような体質の人が疫病にかかりやすいと考えており、まるで疫病が目を持ち、感染する相手を選んでいるかのように捉えていました。
舒栄医師は、以下のような対策を提案しています。
● 身体を鍛える:災害時には、丈夫な体が抵抗力を高め、あらゆる困難に立ち向かう助けになります。
● 生活習慣と食生活の見直し:「火気(かき)」を助長しないよう注意すること。熱性体質や虚熱体質の人は、夜更かし、飲酒、薬物、過剰な性行為など、「陰気」を消耗し「内熱」を生む行動を避けることが重要です。
● 旅行時の注意:熱帯地域、アフリカ、東南アジアなどへ渡航する人は、熱性の感染症への対策をしっかり行う必要があります。
種子を備えて危機に備える
今後3年間は、感染症への対策だけでなく、食糧不足にも注意が必要です。
舒栄医師によると、食糧危機の主な原因は干ばつと高温による収穫量の減少です。干ばつは害虫被害も引き起こし、害虫が作物を食い荒らすことで、さらに危機を深刻化させます。天災に加え、紛争や戦争といった人為的な災害も、食糧供給に影響を及ぼします。
彼女は、イギリスやアメリカのような経済的に豊かな先進国でも、政府が食糧を備蓄しているとはいえ、国民が一時的に食糧の品目減少や供給不足を経験する可能性があると指摘しています。そのうえで、次のような備えを勧めています。
● 種子の備蓄:発芽しやすい種子をいくつか用意しておくこと。
例としては、大豆、えんどう豆、緑豆、菜種、カボチャの種、ダイコンの種、ハクサイの種、セロリの種などがあります。これらの種は発芽するとビタミンなどの栄養素が大幅に増え、野菜の代用として食べることができます。
● 乾燥に強い作物の栽培:自宅に土地がある場合は、サツマイモ、ジャガイモ、キクイモ、トウモロコシ、モロコシ、唐辛子、えんどう豆、ナスなど、乾燥に強い作物の栽培を検討すると良いでしょう。
2028年が転機に
舒栄医師は、これからの厳しい3年間を乗り越えた先に、2028年がひとつの転機になると考えています。
「その頃には、猛暑が和らぎ始め、気候も安定し、干ばつが終わり、穀物の収穫量も回復してくるでしょう。この3年間を通じて、人々の心は試練と洗練を経験し、思いやりや穏やかさの大切さをより深く理解するようになるはずです。互いに支え合うことで困難を乗り越え、社会の秩序も徐々に立て直されていくことでしょう」
(翻訳編集 華山律)
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