「じゃんけん」の語源は未だよくわかっていませんが、代表的なものに「両拳」説があります。
中国で古くから行われてきた酒席の遊びに、二人が互いに出す指の数を予想して言い当てる『猜拳』と言うのがあり、江戸時代に長崎に伝来しました。その『猜拳』でチョキを表すものを「両拳(りゃんけん)」と言い、それが訛って「じゃんけん」になったというのです。長崎方言では、「りんご」→「じんご」、「りょうしん」→「じょうしん」のように、「り」が「じ」に変化することがあるということからすれば、この「両拳」説はかなり説得力があります。
もう一つ有力な説は、『大言海』(大槻文彦編、1935)でも採用されている「石拳」説で、グーを表す「石拳(じゃくけん)」が訛って「じゃんけん」になったというものです。日本語では、子音「k」に挟まれた「u」は落ちて無声化しやすいということから、「じゃくけん(jakuken)」→「じゃ・けん(jak・ken)」→「じゃんけん(janken)」と変化したと考えるのです。栃木には「じゃんけん」を「じゃっけん」と言う地域があるようで、この説も捨てがたいものがあります。
さらには、「猜拳」説。『猜拳』を広東語で「チャイキュン」のように発音するそうですが、大阪や滋賀あたりでは「じゃんけん」のことを「じゃいけん」と言い、神奈川には「ちょいけん」と呼ぶ地域があるということを考え合わせれば、この説も「ひょっとしたら」という気になってきます。
(智)
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