米ゲーム会社、ブリザード・エンターテインメント(Blizzard、以下はブリザード)は先週末、同社が主催したオンライン対戦カードゲーム「ハースストーン」世界大会で、香港デモに応援メッセージを送った香港人プレイヤーの大会参加資格を停止した。世界ゲーム界では現在、同社をボイコットする運動が呼び掛けられている。
プロゲーマーが集まる今回の世界選手権大会で、香港人プレイヤーの「聡哥」が韓国人プレイヤーに勝利した後、インタビューを受けた。ゴーグルと防毒マスクを着けた同氏は、カメラに向かって「香港を取り戻そう。時代革命だ」とスローガンを叫んだ。その場にいた台湾出身の司会者2人は、同氏に拍手を送った。
これを受けて、ブリザードはインタビューの映像を削除したうえ、大会の規則に違反したとして、香港人プレイヤーの今後1年間の「ハースストーン」大会の出場資格を停止し、今回の大会で獲得した賞金を取り消すと公式ウェブサイトで発表した。また、台湾人司会者2人に対して、契約の解消を決めた。
ブリザード・エンターテイメントの親会社は、ゲーム業界で世界3位のシェアを持つアクティビジョン・ブリザード社(以下はアクティビジョン)だ。中国オンラインサービス最大手の騰訊控股(テンセント)はアクティビジョンの株式4.99%を保有する。アクティビジョンとテンセントは10月1日、共同で新作ゲーム「Call of Duty:Mobile」を世界向けにリリースした。アクティビジョンが同ゲームの創作知的財産権(IP)を持つ。
フェイスブック、ツイッター、ソーシャルメディアの「reddit」などで、ゲーマーや同社社員はブリザードへの反発を強めている。各国のゲーマーは同社のフェイスブック・アカウントで、香港人プレイヤーへの罰則は「すべての声に意味がある(Every Voice Matters)」という同社の企業理念に反したと非難した。ゲーマーたちは、同社は中国市場を重視するあまり、中国当局の意向に沿い自己検閲を行っていると指摘した。
オンラインゲーム「ワールド オブ ウォークラフト(World of Warcraft)」をデザインしたマーク・カーン(Mark Kern)氏はツイッターで、ブリザードへのボイコット運動に参加すると宣言した。同氏は、現在デザインしている新作ゲーム「Em-8ER」について、中国からの資金提供を断ると表明した。さらに、カーン氏は自身が体験した中国ゲーム会社の腐敗にも言及した。「私は香港と共にある。ブリザードは中国当局に対して明らかに怯えている」と指摘し、「ゲーマーたち、立ち上がれ!」と呼び掛けた。
現在、ツイッターでは、ブリザードへのボイコットを呼びかける「#Bizzardboycott」「#BoycottBlizzard」への投稿が増えている。Redditの「r/Blizzard」掲示板では、同社の措置を糾弾する書き込みに、「六四天安門事件」「くまのプーさん」など中国当局のネット検閲対象キーワードも多く含まれた。
今週、全米バスケットボール協会(NBA)のチームであるヒューストン・ロケッツのゼネラルマネジャーが香港抗議デモを支持するメッセージをツイッターに投稿した。また、米大人向けアニメ「サウスパーク」の最新エピソードも、中国当局の言論弾圧を批判した。中国当局はNBAと「サウスパーク」に対して締め付けを強化した。これを受けて米国などの反中国共産党の感情が高まっている。
(翻訳編集・張哲)
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