米最高裁判所は6月10日に、ハーバード大学の「人種を考慮した」合否判定に対する差別訴訟の受理を検討する予定だ。もし9人中4人以上の判事が受理に賛成すれば、訴訟の審理は今年の秋に行われる可能性が高い。
同訴訟は2014年、アジア系であることを理由にハーバード大学への入学を拒否されたと主張する学生連合を代表して、学生支援団体「Students for Fair Admissions (SFFA) 」によって起こされた。原告側は、これは連邦予算を受け取る教育プログラムにおける人種差別を禁止する連邦法タイトルVIの違反だとしている。
第一巡回区控訴裁判所がハーバード大学を支持する判決を下した3ヶ月後の今年2月、SFFAは7年間続いた法廷闘争の再開を求める嘆願書を米最高裁判所に提出した。
「ハーバード大学のアジア系アメリカ人受験者に対する扱いはひどい」とSFFAの提出書類には書かれている。「ハーバード大学入学事務局によれば、彼ら(アジア系)はリーダーシップと自信がなく、好感度も親切度も低いため、彼らにペナルティを与えている。これは審査を認めるのに十分な理由である」
これを受けて、ハーバード大学は5月17日、SFFAの要請に対して異議申立書を最高裁に提出し、SFFAは控訴裁判所の判決を再審理する正当な理由を提示できていないと主張した。
「SFFAは、ハーバード大学の合否決定の慣行が、合否判断における人種の使用を規制する裁判所の判例に違反しているという主張を立証することができなかった」とハーバード大学は主張した。
大学側はまた、人種に中立的な入学政策を取り入れると、すでに少数派である黒人とヒスパニック系の学生が更に減ってしまうと述べ、SFFAは学生を多様化させる大学側の取り組みを妨害していると非難した。
最高裁への提出書類には、「もしハーバード大学が人種を考慮した合否判断を破棄すれば、アフリカ系とヒスパニック系の学生は現在のほぼ半分に減るだろう」と書かれている。「このような減少は、ハーバード大学の教育目標に著しく反するものであり、SFFAの専門家でさえ、このような減少は容認できないと同意した」
ウォールストリート・ジャーナルは5月25日付の社説で、最高裁がこの訴訟を受理するよう促した。同紙は、この訴訟は「人種分離主義のウイルス」が「これまで以上にアメリカの生活に深く浸透」するのを防ぐ良い機会だと説明した。
同紙は社説の中で、「今日のアメリカでは、公民権運動を推進した原則、つまり『すべての人は平等である』という原則が失われ、『人種がすべての決定において主要な要因でなければならない』という見解に急速に取って代わられている。その中には、大学の合否判定から連邦政府の農場プログラムへの参加資格、企業の役員会の構成、そしてCOVIDワクチンの優先接種者の決定などが含まれる」と書いている。
同紙は、最高裁はすでに妊娠中絶と銃器に関する白熱した訴訟を取り上げているため、この訴訟を取り下げる可能性があることを認めた。また、憲法修正第14条は法による平等な保護を保証しており、公民権法第VI章は人種による差別を違法としていると指摘した。
「原告側が求めているのは、これらの言葉が真実である事を、最高裁が認めることである」
(大紀元日本ウェブ編集部)
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