連載記事「HPVワクチンは両刃の剣か?」第4章
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、子宮頸がん予防の主な手段として医師から推奨されており、医師をはじめ多くの人々がリスクは存在しないと信じています。ワクチンとの明確な関連性が証明された症例はないと考えているからです。本当にそうでしょうか?HPVワクチンは素晴らしい予防効果を約束するのでしょうか?それともベネフィットに勝るリスクを持った両刃の剣なのでしょうか?
この連載では、HPVワクチンの一種であるガーダシルに関連する死亡や重篤な障害について、エビデンスとなる文書を提供し、その有害性の原因を分析するとともに解決策を提示します。
第1章:子宮頚がん予防のHPVワクチン接種後の明らかな死亡事例(上)
子宮頸がんを予防するために、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが、若い女性を対象に広く推進されてきました。HPVへの感染が子宮頸がんの主な危険因子と考えられているためです。
これまでの3回にわたる連載記事で、HPVワクチンやその有毒なアジュバントの接種後に引き起こされた否定しようのない死亡事例や傷害事例に関して、科学的データや文献に基づいて分析してきました。
しかし、そもそもの出発点から間違っているかもしれません。HPVワクチンそのものは、根本的ながん予防になるのでしょうか。私たちはHPV感染と子宮頸がんの根本原因について考えなければなりません。
脆弱な子宮頸部表面
人類の歴史を通して、結婚や出産は女性にとって一生涯の健康と幸福に影響を及ぼしてきました。それらは女性の役割とは切り離せません。
子宮頸部の表面には「移行帯」と呼ばれるがんができやすい部位があります。移行帯は早期思春期のホルモンの影響によって形成され、子宮頸部を取り囲む位置が成熟に従って徐々に移動し、発達していきます。
しかし、若いうちはこの移行帯は十分に発達しておらず、ウイルスやその他の有害な要因から身を守るだけの強さもありません。
思春期に入ると、円柱上皮細胞と呼ばれる傷つきやすいタイプの細胞が子宮頸部のある部分を覆います。成熟して初めて、扁平上皮細胞と呼ばれるより防御力の高い細胞が、傷つきやすい円柱上皮細胞の上に層を形成します。
したがって、思春期の性行為によって、この部位がウイルス、特にHPVに攻撃されやすくなります。
ひとたびHPVに攻撃されると、子宮頸部を覆う保護層が剥がれ落ち、下層部がHPVにさらされ、前がん病変が発生しやすくなります。保護層がまだない若い女性に対するリスクはさらに高いと言えます。
子宮頸部に前がん病変のある10代女性(14〜19歳)の円柱上皮細胞の数が、健康な女性のほぼ2倍(80%対41%)であることを研究者らは発見しています。円柱上皮細胞は病原体に対する防護力の弱い細胞であり、子宮頸部の生物学的未熟さががんの発生にとって重要だということです。
性行為の後には、上皮の全層に微小な傷や小さな擦り傷ができます。これらはひび割れた屋根瓦のようなもので、HPVが通り抜けて基底膜に直接結合できてしまいます。その後、HPVが広がって、瓦である上皮細胞に、とりわけ移行帯に感染します。
ですから、HPV感染時の子宮頸部の成熟度がなぜ重要なのかを理解することは重要です。
ソーシャルメディアやインターネットが影響力を持ち、不健全な情報が広がるなかで、性行為に及ぶ児童の低年齢化が懸念されています。家族構成や宗教および社会経済的地位によっても異なりますが、なかには14歳にも満たないうちに性行為に及ぶ少女もいます。
スペインの調査では、25歳以下の女性が18歳以前に性行為に及ぶ確率が、55歳以上の女性の39倍であることが明らかになりました。これは、不健全な性行為が若い世代に蔓延していることを示しています。同様の現象はブラジルでも報告されています。
したがって、若いうちに性行為を行ったり、乱暴な性行為をしたり、他の性感染症に感染したりすると、HPVが侵入・感染する可能性が高まり、その結果、一生涯における子宮頸がんの発症リスクが高まる可能性があります。
初めて性交渉を持つ年齢が重要
フランスの国際がん研究機関(IARC)とスペインのカタルーニャ腫瘍研究所(Institut Català d’Oncologia)が実施した、子宮頸がんに関する一連の多国籍症例対照病因論研究に基づく大規模なデータセットがあります。
病因論研究とは、病気の原因を明らかにするための研究です。
分析対象は発展途上国(モロッコ、アルジェリア、フィリピン、タイ、インド、ブラジル、コロンビア、パラグアイ、ペルー)の浸潤性子宮頸がん1,864例と対照1,719例でした。がん患者の95%、対照群の17%がHPV陽性でした。がん患者の大多数(92%)は扁平上皮がんでした。
この包括的な分析から得られた最も顕著な知見は、研究者らが分析に用いた統計モデルの種類に関係なく、女性が初めて性交渉を持った年齢が子宮頸がんのリスク上昇に関連する強力かつ一貫した因子として同定されたことです。
16歳またはそれ以前、あるいは17〜20歳の間に初めて性交渉を持った場合、21歳を過ぎて初めて性交渉を持った女性と比較して、浸潤性子宮頸がんの発症リスクはそれぞれ2.3倍および1.8倍に増加しました。
この結果は、HPV感染の有無、年齢、国、生涯にわたる性交渉の経験人数、出産回数、教育レベルなどの潜在的交絡因子を含むようにモデルを調整した後でも一貫していました。
子宮頸部の生物学的成熟度が、性交渉中にHPVが侵入した場合の防御能力の強さを決定することは、ここまで説明した通りです。また、思春期にはホルモンの変化、特にエストロゲンの増加によって膣腔が酸性化し、子宮頸部の内壁が外側にめくれると、上皮細胞に扁平上皮化生を引き起こす可能性があることも考慮すべき要素です。この化生を 起こしている時期にHPVが存在すると、がんが発生する可能性があります。
性的パートナーの数が重要
子宮頸がんにおいて性的パートナーの数が重要となる理由は主に3つあります。
第一に、子宮頸がんと関連しているのは特定のタイプのHPV株(例えば16型や18型)だけであり、生涯で性的パートナーが2人以上いることは、これらの高リスク型HPVに感染する最も重要な決定因子です。
第二に、ほとんどのHPV感染は一般的に軽症かつ一過性であり、2年以内に自然治癒します。HPVの持続感染のうち、子宮頸がんに至る可能性があるのは10〜20%です。生涯で性的パートナーの数が多いほど、HPV感染症の治癒率が低下します(35%)。
第三に、性的パートナーの数も子宮頸がんの重大な危険因子です。
1989年、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のティーン・コルポスコピー・クリニックの研究者らは、同クリニックを受診した14歳から19歳の女性を対象とした調査に基づき、子宮頸がんの前がん病変の危険因子に関する疫学的研究を発表しました。
前がん病変のある(コルポスコピー検査または生体検査で確認された)若い女性は、症状のない健康な対照群と比較して、生涯で性的パートナーが8.5人対3.1人と有意に多く、喫煙者の割合が61%対36%と高く、経口避妊薬の使用率も61%対30%と高いことが明らかになりました。
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