血液型と心血管の健康の関係――O型以外はリスクが高い可能性

血液型を知ることは、私たちが考えている以上に役立つかもしれません。特に、心血管疾患(CVD)のリスクを評価する際に重要です。血液型によってCVDのリスクは異なり、O型以外の血液型の人は、リスクが高い可能性があることが分かっています。

血液型は、赤血球の表面にあるタンパク質(抗原)の種類によって決まります。通常、血液型はABOシステムとRhDシステムを使って定義されます。ABOシステムには4つの主要な血液型(A型、B型、AB型、O型)があり、それぞれにRhD陽性またはRhD陰性があります。血液型を知ることは、安全な輸血を行うために欠かせないだけでなく、特定の病気へのかかりやすさを判断するためにも役立ちます。

『サイエンティフィック・リポーツ』に発表された研究によると、ABO血液型を持つことは、動脈が狭くなり硬くなる「動脈硬化」のリスクが高いだけでなく、急性冠症候群や心筋梗塞(心臓発作)の発症にも重要な役割を果たすとされています。

研究者たちは、血液型がさまざまな病気に重要な役割を果たすと考えています。血液型が血液凝固システムや炎症反応を調整することで、病気に対する感受性に影響を与える可能性があるとされています。

 

血液型と心臓病リスクの関係

ハーバード大学が20年以上にわたって行った2つの大規模な研究では、6万人以上の女性を対象とした「ナース・ヘルス・スタディ」と、2万人以上の男性を対象とした「ヘルス・プロフェッショナル・フォローアップ・スタディ」に基づく結果が示されました。

この研究によると、他の心血管疾患のリスク要因を考慮した後でも、A型、B型、AB型の血液型を持つ人は、O型の人と比較して冠動脈疾患を発症するリスクが高いことが分かりました。具体的には、A型で6%、B型で15%、AB型で23%リスクが増加しました。白人参加者に限定しても同様の傾向が見られ、A型で8%、B型で10%、AB型で20%リスクが高いという結果でした。

また、心不全2017および第4回急性心不全世界会議で発表された研究では、136万人以上のデータを分析し、O型以外の血液型(A型、B型、AB型)を持つ人は、O型の人に比べて心筋梗塞を起こすリスクが高いことが示されました。研究者たちは、O型以外の血液型が冠動脈疾患や心血管疾患(特に心筋梗塞)のリスクを9%増加させると指摘しています。

 

血液型と脳卒中リスク

2022年に『Neurology』誌に発表されたメタアナリシスでは、1万6千人以上の脳卒中患者と約60万人の非脳卒中患者のデータを含む48件の文献が分析されました。この研究結果によると、O型の血液型は早期発症型脳卒中(EOS)のリスクを低減させる一方、A型はEOSのリスクを増加させることが明らかになっています。

 

血液型と糖尿病患者の虚血性心疾患リスク

心血管疾患(CVD)は、1型糖尿病患者、特に糖尿病性腎症を持つ患者の早期死亡の主な原因です。腎症の前兆である微量アルブミン尿が見られる患者では、特にリスクが高まります。2020年に『Cardiovascular Diabetology』誌に発表された研究では、4,000人以上の1型糖尿病患者を対象に調査が行われました。

結果によると、微量アルブミン尿を持つ患者では、O型以外の血液型(A型、B型、AB型)の患者は、O型の患者と比較して虚血性心疾患(IHD)のリスクが81%増加していました。特にA型の患者は、IHDの発症リスクが93%高いことが判明しました。

さらに、血液型別に見ると、A型の患者で微量アルブミン尿がある場合、正常なアルブミン尿の患者と比べてIHDのリスクが94%高いという結果が出ました。この研究では、A型の血液型が1型糖尿病と微量アルブミン尿を持つ患者におけるIHDの独立したリスク要因であると結論づけられています。

血液型がさまざまな病気に重要な役割を果たす(Shutterstock)

 

ライフスタイルの改善で心血管疾患を予防

血液型に関する研究は、遺伝的なレベルで特定の病気のリスクを理解する手助けになりますが、同時に、健康的なライフスタイルを維持することが心血管疾患(CVD)を予防する最善の方法です。アメリカ心臓協会は、心臓病や脳卒中のリスクを減らすために、以下のシンプルなステップを推奨しています。

1. 禁煙する

喫煙はほぼすべてのCVDリスクを増加させ、脳血管疾患や心不全などのリスクを少なくとも2倍にします。禁煙することでこれらのリスクを大幅に減少させることができます。

2. 健康的な食事を選ぶ

毎日の食事は、コレステロールや血圧、血糖値、体重などに影響を与えるため、心臓病を予防するための基本です。カロリーが低く、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な食品を選びましょう。野菜、果物、全粒穀物、低脂肪乳製品、鶏肉、魚、豆類、ナッツを増やし、赤身肉や加工肉、飽和脂肪、トランス脂肪、砂糖、塩を減らすように心がけましょう。

3. 血圧を下げる

高血圧は脳卒中の主なリスク要因です。塩分摂取を減らし、処方された薬を正しく服用し、定期的な運動を行うことで、血圧をコントロールできます。理想的な血圧は120/80 mm Hg未満です。

4. 日々体を動かす

1日中座りがちな生活を避け、毎日少しでも体を動かすことが重要です。週に3〜5回、20〜40分のウォーキングを行うことで血圧を下げる効果があります。合計で週150分を目指しましょう。運動に慣れていない方でも、短時間のセッションから始めても効果があります。

5. 健康的な体重を目指す

摂取カロリーが多すぎたり、運動不足が続くと、肥満や過体重のリスクが高まります。体重を減らすことは、血圧を下げ、コレステロール値を改善し、糖尿病の管理を助けます。体重を5〜10%減らすだけでも健康効果が期待できます。

6. 糖尿病を管理する

糖尿病は心臓発作や脳卒中のリスクを高めます。定期的に医師の診察を受け、健康的な食事と運動を取り入れ、必要に応じて血糖値やインスリンを管理するための薬を使用することが大切です。

7. 十分な睡眠をとる

良質な睡眠は心臓の健康に重要です。大人は毎晩7〜9時間の睡眠を目指しましょう。日中の運動や、就寝前のルーチンを整え、電子機器を寝室から遠ざけることで、睡眠の質を向上させることができます。

8. ストレスを減らす

ストレスは喫煙や過食、運動不足といった不健康な習慣を引き起こし、心臓病や脳卒中のリスクを高めます。定期的な運動や、家族や友人との時間、リラクゼーション技術を取り入れることでストレスを管理しましょう。

9. アルコールを控える

過度のアルコール摂取は、血圧を上げるだけでなく、脳卒中や末梢動脈疾患のリスクを高めます。女性は1日1杯、男性は1日2杯までに抑えることが推奨されています。

 

(翻訳編集 華山律)

Ellen Wan
2007年から大紀元日本版に勤務しており、時事から健康分野まで幅広く携わっている。現在、記者として、新型コロナウイルスやコロナワクチン、コロナ後遺症、栄養学、慢性疾患、生活習慣病などを執筆。