金属探知機が発掘した指輪にまつわる物語

ある日曜日の早朝、マサチューセッツ州に住む金属探知が趣味の男性が、ニューハンプシャー州で見知らぬ人のなくした結婚指輪を見つけました。その指輪は、行方不明になってからわずか1日しか経過していなかったことに驚かされましたが、それだけではありません。発見した善意のサマリア人は、その後ニューヨーク州シュシャンに住む持ち主に指輪を返すため、さらに数キロの旅に出ました。

マサチューセッツ州ペペレルに住む64歳の電気技師、アーサー・フレミング氏は1990年から金属探知を始め、何人もの失くし物を見つける手助けをしてきました。彼は、見つけたことについて「特別なことは何もない」と話しています。

ケルシー・バティーズと夫の手には結婚指輪がはめられている。(ケルシー・バティーズ提供)
ケルシー・バティーズさんとその夫の手には結婚指輪がはめられている
(ケルシー・バティース提供)

 

指輪をなくしたのは、歯科助手のケルシー・バティースさん(28歳)で、8月10日に子供たちや義理の母親と一緒にニューハンプシャーのハンプトン・ビーチで休暇を過ごしている時に紛失しました。彼女は2歳の息子の手を握って昼頃にビーチを散歩していましたが、その一瞬、結婚指輪が指から滑り落ちて波に飲み込まれてしまいました。その時の気持ちは最悪だったと彼女は言います。

「胃と心臓が体から抜け落ちた気分でした」と彼女は語りました。当時、30~40分ほど指輪を探したものの、水の状況が悪く「見つかる見込みはない」と感じたと言います。

ケルシー・バティーズがハンプトン・ビーチで指輪を紛失した直後に撮った写真。(ケルシー・バティーズ提供)
ケルシー・バティーズさんがハンプトン・ビーチで指輪を紛失した直後に撮った写真
(ケルシー・バティース提供)

 

母親に相談した後、バティースさんはSNSで指輪を見つけてくれる人を募りました。母親はその投稿をハンプトン・ビーチのFacebookページにシェアしました。すると、すぐに反響がありました。

「金属探知機を使って探しに来るチャンスを楽しみにしている人がたくさんいました」とバティースさんは話します。「ある男性が、何時頃失くしたのかと聞いてきました、彼はその時間と潮の満ち引きからどこを探せば良いかを理解していたのです」

その男性がフレミング氏でした。

ケルシー・バティーズと子供たち、そして失くした指輪を返してくれたアーサー・フレミング。(ケルシー・バティーズ提供)
ケルシー・バティーズさんと子供たち、そして失くした指輪を返してくれたアーサー・フレミング氏(ケルシー・バティーズ提供)

 

投稿を見たフレミング氏は、翌8月11日に車で1時間近くかけてビーチに向かう前に、バティースさんと彼女の母親にいくつか質問をしました。

「駐車場を確保するために7時頃に行き、実際に探し始めたのは8時頃でした」彼の捜索は約4時間続きました。バティースさんが指輪をなくしたとされるビーチの小さな区画を重点的に探しました、作業は容易ではありませんでした。その朝、防水で潜水可能な探知機が見つけたのは、サングラス、25セント硬貨、プルタブ2つだけで、結婚指輪は見つかりませんでした。

そして正午頃、フレミング氏は疲れ果て、昼食をとるために捜索を諦めようとしたその時、大きな驚きが待っていました。膝まで水に浸かっていたフレミング氏の金属探知機が突然鳴り始め、その中から指輪を見つけたのです。

「スクープで見た時、これが指輪だと分かりました。見つけたと思いました」と彼は話しました。

アーサー・フレミングがケルシー・バティーズの家族に送った指輪の写真。(アーサー・フレミング提供)
フレミング氏がケルシー・バティースさんの家族に送った指輪の写真
(アーサー・フレミング提供)

 

フレミング氏はバティースさんに指輪を見つけたことをメールし、彼女が近くにいるかどうかを尋ねました。そして、彼らが詐欺だと思わないように、指輪の写真も添付しました。バティースさんの家族はニューヨーク州北部に住んでいることをメールで伝えてきました。

「私たちはハンプトン・ビーチに日帰り旅行に行っただけです」と彼女は説明しました。

3児の母として忙しいバティースさんは、フレミング氏と会う時間を見つけるのが難しかったため、8月23日にようやく会うことができました。

「私たちはバーモント州のブラトルボロで中間地点として会うことにしました。それぞれ90分ほどかかりました」とフレミング氏は言いました。

結婚式当日のカップル。(ケルシー・バティーズ提供)
結婚式当日のカップル(ケルシー・バティース提供)
結婚指輪をはめたケルシー・バティーズ。(ケルシー・バティーズ提供)
結婚指輪をはめたケルシー・バティーズさん(ケルシー・バティース提供)

 

バティースさんは、「とても感謝しています。時間をかけて探しに行ってくれただけでなく、私の住んでいる所までわざわざ指輪を届けてくれるなんて、彼の親切さと思いやりに本当に感動しました」と述べました。

2人は連絡を取り合い、距離があるにもかかわらず、近い将来また会うことを楽しみにしています。バティースさんは、フレミング氏がその親切な行為にふさわしい評価を受けていることを喜んでおり、彼女の物語を通じて「まだこの世界には善意ある人々がいる」ことを伝えたいと話しました。

アルシュ・サラオが取材に協力しました。

(翻訳編集 呉安誠)

中西部出身の作家。エポックタイムズのほか、Human Defense Initiativeでも執筆。