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髪を育てる中医学の知恵

頭頂部の薄毛が進行中?  中医学が教える育毛法

髪の正常な抜け毛と異常な脱毛には違いがあります。1日に50〜100本の髪が抜けるのは正常とされており、これは毛根が新陳代謝によって休止期に入り、自然に髪が抜け落ちるためです。しかし、抜け毛の量が明らかに増え、1日に100本を超えるようになると、洗髪時に排水口に髪の毛が多くたまる、あるいは髪が目に見えて薄くなってきたと感じることがあります。これは異常な脱毛の可能性があります。

異常な脱毛としてよく見られるのは、以下のようなケースです:

• 突発的な脱毛:短期間で大量の髪が抜ける場合は、急性のストレス、精神的ショック、あるいは健康上の問題(急激な体重減少や産後の脱毛など)が原因であることがあります。

• 局所的な脱毛:頭頂部の一部など、特定の箇所だけ髪が集中的に抜ける場合は、円形脱毛症や、他の局所的な皮膚疾患の可能性があります。

• 髪のボリュームの変化:髪全体が明らかに薄くなってきた、生え際が後退した、髪の質が悪くなったと感じる場合も、脱毛の異常が考えられます。男性型脱毛症は最も一般的な脱毛のタイプであり、男性だけでなく女性にも見られます。

• 伴う症状がある場合:脱毛と同時に頭皮のかゆみ、赤み、腫れ、フケなどの症状が見られる場合は注意が必要です。脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患や、頭癬(たむし)といった感染症が原因となっている可能性があります。

中医学ではどのように脱毛を治療するのか?

中医学における脱毛の治療は、患者の四診(望・聞・問・切)に基づいて、治療方針を決定します。つまり、見た目は似たような脱毛であっても、体質によって異なる調整法が取られます。中医学では、脱毛の原因はさまざまで、主に「肝腎の不足」「血虚」「気滞」などの問題が関係していると考えられています。

一般的な治療法は次の通りです:

• 肝腎の不足:中医学では、肝と腎は髪の健康の根本であり、これらが不足すると髪が乾燥して抜けやすくなります。典型的な症状としては、髪の乾燥や大量の抜け毛などがあります。このタイプには、「養血補腎」の処方剤として「六味地黄丸」と「四物湯」の併用が用いられます。日常の食事では、黒ごま、クルミ、クコの実などを摂取すると、肝腎の滋養に役立ちます。

• 血虚(けっきょ):脈が細く、顔色や舌が青白く、その他の血虚の兆候がある場合、血液が頭皮や毛根に十分な栄養を届けられず、脱毛を引き起こします。この体質の患者は、顔色が悪く、めまいを起こしやすく、髪が乾燥している事が多いです。治療には「補血養血」の方剤として「八珍湯」や「当帰補血湯」が用いられます。また、鉄分やビタミンB群を多く含む食材(ナツメ、豚レバーなど)を積極的に摂ることをお勧めします。

• 気滞血瘀(きたいけつお):唇の色が黒く、気血の流れが滞ることで頭皮への血流が不足し、脱毛につながります。このタイプでは、頭皮に圧痛があったり、髪が途中で切れたりすることがあります。治療には「活血化瘀」の方剤として「桃紅四物湯」や「血府逐瘀湯」など『血液循環を活性化し、瘀血を除去する』処方があります。また、適度な運動や頭皮マッサージを行い、血流を促すことも効果的です。

• 脾胃の虚弱:脾胃が弱ると、栄養の吸収が不十分になり、髪の健康に影響を及ぼします。この体質では、食欲不振や消化不良が多く見られます。治療には「健脾益気」の方剤として「参苓白朮散」や「健脾丸」が用いられます。また、食事のときはよく噛み、消化によい栄養価の高い食品を選ぶなど、食習慣の見直しも重要です。
 

発毛を助ける食べ物とは?

食生活は髪の健康に大きく影響します。毎日の食事に栄養価の高い食品をバランスよく取り入れることで、髪の成長と健康を促進できます。以下は、髪に良いとされる主な食品の種類です:

• たんぱく質が豊富な食品:髪は主にケラチンというたんぱく質で構成されており、たんぱく質の摂取は髪の成長に不可欠です。鶏肉、魚、豆類、卵などが代表的なたんぱく質豊富な食品です。

• 鉄分が豊富な食品:鉄分は血液中のヘモグロビンの生成を助け、血行を促進することで髪の成長に貢献します。鉄分を多く含む食品には、赤身肉、ほうれん草、豆腐などがあります。

• 亜鉛が豊富な食品:亜鉛は毛包(もうほう)の健康維持や修復に重要な役割を果たします。牡蠣などの海産物、かぼちゃの種、カシューナッツなどに多く含まれています。

• ビタミンB群が豊富な食品:ビタミンB群は頭皮の健康を保ち、髪の成長を助ける働きがあります。全粒穀物やナッツ類などが良い例です。

• ビタミンCが豊富な食品:ビタミンCはコラーゲンの生成を促進し、頭皮の健康に寄与します。オレンジ、いちご、緑色野菜などに多く含まれています。
 

発毛を助ける生活習慣とは?

髪の健康は、日々の生活習慣と深く関係しています。以下は、発毛や育毛に役立ついくつかのポイントです:

• 規則正しい生活:質の良い睡眠は全身の健康にとって不可欠であり、髪の成長にも大きく影響します。毎日7〜8時間の十分な睡眠を確保し、夜更かしは避けましょう。

• 健康的な食生活:高糖質・高脂肪の食品はできるだけ控え、果物、野菜、全粒穀物、赤身の肉など、栄養価の高い食品をバランスよく摂ることが大切です。

• 適度な運動:運動によって血行が促進され、頭皮への血流が増えることで、血虚や気滞・血瘀タイプの体質改善に役立ち、髪の成長をサポートします。週に合計150分以上の中程度の運動(速歩きなど)を目安に行いましょう。

• 化学製品や過度な熱処理を控える:ヘアカラーやパーマなどの化学処理を頻繁に行うと髪が傷みやすくなり、切れ毛や枝毛の原因になります。また、ドライヤーやヘアアイロンを使用する際は、温度を上げすぎないよう注意し、髪の乾燥や損傷を防ぎましょう。

• 頭皮を清潔に保つ:髪を定期的に洗い、頭皮を清潔かつ乾燥した状態に保つことは、フケや頭皮トラブルの予防に役立ちます。自分の髪質に合ったシャンプーを選ぶことが大切ですが、洗いすぎにも注意が必要です。実際の診療では、洗いすぎによって頭皮が赤くなり、毛包が傷ついてかゆみや抜け毛を引き起こしている人も見受けられます。
 

ツボ押しで髪を育てる方法

中医学では、特定のツボを押すことで「気」と「血」の巡りを促進し、頭皮の健康を改善して、髪の成長を助けると考えられています。以下は、発毛を促し、毛根の健康を高めるのに効果的とされるツボです:

• 百会(ひゃくえ):頭頂の真ん中、両耳の先端を結んだ線と頭の正中線が交わる点にあります。このツボは全身の気血を整え、頭皮の血行を促進し、髪の成長に役立ちます。

• 風池(ふうち):後頭部、首の後ろのくぼみ(頭蓋骨の付け根付近)にあります。このツボは頭部の緊張を和らげ、血流を促進します。目の疲れを軽減し、頭皮の健康維持にも効果があります。

発毛に良いとされる4つのツボ(昌盛堂中醫診所提供)

• 太衝(たいしょう):足の甲、親指と人差し指の骨の間のくぼみにあります。このツボは肝の気を整える作用があり、ストレスや緊張を和らげ、高血圧の予防にも良いとされます。肝の気の滞りによる抜け毛にも効果的です。

• 合谷(ごうこく):手の甲、親指と人差し指の骨の間のくぼみにあります。このツボは全身の気血の巡りを良くし、頭痛の緩和や頭皮の血流改善に役立ちます。

これらのツボは、指の腹でやさしく押しながら、1〜2分間マッサージするのが基本です。1日1〜2回を目安に続けることで、健康で美しい髪を取り戻す助けになります。
 

(翻訳編集 華山律)

鄭天麗