最近の研究によると、炭酸水は体重減少に役立つ可能性があることが示唆されています。

炭酸水は1800年代後半に登場し、病気予防効果の誤解から人気を集め、航海用の飲料としても使用されました。現在では、体重減少のサポートとして注目されています。

最近の報告によると、炭酸水には体重減少を促進する効果があるとされています。しかし、その報告書の著者である研究者は、効果が非常に限られているため、炭酸水だけに頼るべきではないと指摘しています。

「持続可能な体重減少を達成するためには、一時的な対処法に頼るべきではない」と、最近の研究には関与していない三重の専門認定を受けた遺伝的体重減少の専門医、フィリス・ポビー（Phyllis Pobee）氏は『大紀元時報』に送ったメールで述べています。

炭酸水と体重減少

炭酸水は二酸化炭素（CO2）を含んでいます。市場に流通しているセルツァー、クラブソーダ、トニックウォーターなどは、高圧下でCO2が注入されています。またミネラルウォーターは、湧き水から採取され、自然に炭酸が含まれています。

いくつかの炭酸水には「天然」または人工的なフレーバーが含まれており、それらは健康に良くない場合があります。トニックウォーターは他のものよりも添加物が多く、甘味料、ミネラル、キニーネが含まれています。キニーネは苦味を与えます。

2025年1月20日に健康誌「BMJ Nutrition, Prevention & Health」に掲載された報告書で、研究者の高橋アキラ氏は、炭酸水が血糖値を下げ、満腹感を与え、消化を促進するという以前の研究を引用しました。

これらの効果が痩せることを促進する可能性があるため、炭酸水は体重減少補助飲料として注目されています。このため、高橋氏は炭酸水をさらに詳しく調べ、その体重減少効果について調査しました。

彼は、炭酸水が体重減少を引き起こす可能性がある理由として2つの点を挙げました。

「一つの主張は、炭酸水を飲むことで得られる満腹感が食事量を減らし、それが全体的なカロリー摂取量を低下させる可能性があるというものです」と、彼は『大紀元時報』に送ったメールで書いています。

この満腹感（満足感）は、炭酸水の物理的特性によるものと考えられています。炭酸ガスが、胃を満たし、伸展受容器を刺激します。これらの受容器は迷走神経を通じて脳に信号を送り、満腹感を作り出します。迷走神経は消化やその他の不随意的な機能を調節するのに役立ちます。この仮説は、将来的に別途調査が必要かもしれないと高橋氏は述べています。

炭酸水の体重減少の可能性に関するもう一つの仮説は、炭酸水がカロリーを燃焼させる能力に基づいています。この仮説の妥当性を判断するために、高橋氏は炭酸水を飲むことを腎臓透析に例えました。腎臓透析は、腎臓が正常に機能できなくなったときに、腎臓から廃棄物や余分な水分を取り除く方法です。腎臓透析は血液をアルカリ性（塩基性）にし、CO2を生成します。

高橋氏は、同様のプロセスにおいて、炭酸水からのCO2が胃の内壁に吸収され、そこで赤血球内で急速にアルカリ性物質である重炭酸塩に変換されることを観察しました。このアルカリ化プロセスは、赤血球内の特定の酵素を活性化することによって、グルコースの吸収と利用を促進します。このアルカリ化がカロリーの燃焼を促進しますが、その効果は微小であるとされています。

「このような結果から、炭酸水は単独では体重減少に大きな効果はありません」と高橋氏は言いました。「炭酸水は、主な体重減少の手段として頼るのではなく、バランスの取れた食事と定期的な運動を伴う健康的な生活習慣の中に組み込むべきです」
 

他の利点

2002年に欧州消化器病学・肝臓病学ジャーナルに発表された臨床試験では、炭酸水が特定の消化不良の症状を緩和するのに役立つ可能性があることが示唆されています。研究者たちは、上腹部の痛みや不快感（消化不良）と便秘に悩む21人を2つのグループに分けました。

15日間、1つのグループは炭酸水を飲み、もう1つのグループは水道水を飲みました。炭酸水を飲んだグループは、消化不良と便秘が有意に改善されました。
ただし、1つの臨床試験だけでは、炭酸水が消化不良の症状に効果があることを証明するものではなく、さらなる研究が必要です。
 

炭酸水の欠点

炭酸水を飲むことの欠点には、副作用や、単独で体重減少を助けることができない点があります。

副作用

報告書の中で、高橋氏は、炭酸水を飲むことがお腹の膨満感を引き起こし、場合によっては胃食道逆流症や過敏性腸症候群などの消化器系の病状に関連する症状を悪化させる可能性があると指摘しています。彼は不快感を軽減するために、適度に飲むことを勧めています。

医師は、減量手術を受けた人々に対して、炭酸水の摂取を避けるようにアドバイスしています。炭酸が胃の胃嚢を膨張させ、痛みを引き起こす可能性があるためです。

単独では不十分

ポビー氏は、炭酸水単独では減量に効果的ではないことに同意していますと言います。オンライン医療減量プログラム「Slim Signal」の創設者であり、肥満治療の専門家である彼女は、炭酸水が不十分である理由を以下のように述べています：

・代謝への影響が最小限：赤血球によるグルコースの取り込み促進は、局所的な代謝効果に過ぎず、全体的なエネルギー消費や脂肪代謝には大きな影響を与えません。

・短期的な満腹感：炭酸によって引き起こされるこの効果は、一時的にカロリー摂取を減らすのに役立つかもしれません。しかし、長期的には持続する可能性は低く、ホルモンバランスの乱れや栄養不足など、空腹や食欲の根本的な原因には対処できません。

・根本的な生物学的要因への影響なし：体重増加や体重減少は、遺伝、ホルモン、腸内環境、ライフスタイルなどの複雑な要因によって影響されます。炭酸水はこれらの根本的な原因に対処することはありません。
 

より良いアプローチ

内科、呼吸器学、集中治療、睡眠医学の4つの専門資格を持ち、ジムやトレーニングに関する情報チャンネル「Garage Gym Reviews」の医療アドバイザーを務めるラージ・ダスグプタ（Raj Dasgupta）氏は、『大紀元時報』に送ったメールの中で「炭酸水は少し役立つかもしれません」と述べています。

「炭酸水は砂糖入りの飲み物を欲しくなる誘惑を減らす可能性があり、それはカロリー削減には良いことです」と彼は書いています。「しかし、体重減少への影響は非常に小さいため、それを主な減量戦略として頼ることはお勧めしません。主役ではなく、役立つサイドキックとして考えてください」

ダスグプタ氏は、体重を本気で減らしたい人に向けて、長期的に効果がある習慣に焦点を当てるべきだと述べています。具体的には、以下の習慣が重要だとしています：

・野菜、赤身のタンパク質、健康的な脂肪をたっぷり含んだバランスの取れた食事を心掛けること。

・食事の量に注意を払うこと。

・積極的に体を動かすこと—ウォーキング、ジムに通うこと、または自分が楽しめる他のレクリエーションを試してみること。

・十分な睡眠をとり、ストレスを管理すること。これらはしばしば見過ごされがちですが、大きな違いを生みます。

「炭酸水はあなたのルーチンに取り入れると有用ですが、最も重要なのは持続可能な習慣を作り、それを続けることです」と彼は述べました。

(翻訳編集　山本 拓）