【独占報道】亡命した元中国司法高官、「610オフィス(弁公室)」の内幕を明かす
【大紀元日本7月5日】元遼寧省瀋陽市司法局長・瀋陽市公安局副局長の韓広生氏は2001年9月、カナダに庇護を求めて亡命した。これはシドニー領事館秘書陳用林氏および天津市「610オフィス」警察カク鳳軍氏が亡命申請を公に発表することに続き、韓広生氏も公式に亡命申請を発表し、さらに中共の内幕を暴いた。先日、大紀元は韓広生氏を取材し、以下は前回に続く第二部の対話記録である。
「610オフィス」について
記者:カク鳳軍さんは「610オフィス」の内幕に関する文書、および法輪功学習者が中国で受けた迫害に関する情報を提供してくれました。しかし中国政府は依然として「610オフィス」の存在を否定しています。この件について、あなたの知っていることを教えてもらえますか?
韓:「610オフィス」は実在の組織です。
記者:なぜ610と呼ぶのですか?
韓:これはその成立する日時に由来しています。中央の「610オフィス」は1999年6月10日に成立しましたが、各地方の呼び方も異なっています。611オフィスもあれば、621オフィスと呼ぶところもあります。なぜなら成立した日が違いますから。しかしその本質やその組織の任務には何の変わりもありません。
「610オフィス」は共産党委員会がリードして、公安、検察庁、裁判所や司法部門、この四つの部門が当該組織のメンバーとして、法輪功を弾圧するために専門的に作られた組織なのです。この組織は法律の上に立っており、各部門や機関を指導統治しているのです。
記者:瀋陽市を例にしますと、「610オフィス」はどのように運営されているのですか?
韓:瀋陽市の「610オフィス」は「611オフィス」と呼ばれています。主な責任者は政法を管理する市委の副書記、それから市委の事務局と関連の従業員です。常務担当者として、公安局、検察庁、裁判所、安全局と民政局も、その配下となっています。
「610オフィス」の職能は、上部からの指示を伝達し、瀋陽市の任務を決定し手配します。主な任務とは:直訴に上京した法輪功学習者の逮捕、法輪功学習者の監禁と強制的にその信仰を転向させること、それから一部の法輪功学習者を強制労働教育から判決による実刑に処することです。
記者:あなたが瀋陽市にいたとき、「610オフィス」の会議によく参加しましたか?そのときあなたにどんな仕事を手配したのですか?例を挙げてもらえますか?
韓:「610オフィス」の会議はよく開かれました。常務担当者以外に、各区、県の地方政府も参加します。当時の主な任務とは法輪功学習者が上京して直訴するのを阻止することでした。この問題について、中央から地方まで、監視効果指数が全て出されています。
直訴人数を幹部の賞罰の「指数」にする
記者:この指数とはなんのことですか?
韓:例えば今月、瀋陽市から、三名あるいは三名以上の法輪功学習者が上京し直訴に行った場合、市委の副書記さらには書記にまでも、遼寧省政府に検討しなければなりません。
記者:つまり弾圧以降、毎日大量の法輪功学習者が北京へ直訴しに来るので、それを制圧するために、上から下に指数を出して、それぞれの地区から定められた人数の法輪功学習者を越えてはならない。ということですね。
韓:各市政府は自分の官職や面子のため、省政府への検討を避けるため、たくさんの警察や財力を動員して、北京に直訴に行く法輪功学習者を止めるようにしました。
記者:瀋陽市の指数は何人ですか?
韓:通常は三人ですね。
記者:つまり直訴するする法輪功学習者が三人を超えてはならないことですね?
韓:瀋陽市にある鎮の長が、その鎮にいる一人の法輪功学習者が何度も上京したため、免職にされたのです。
@天安門の派出所が大もうけ
韓:この中にも技巧的な部分はありますよ。それぞれの地区から何名の法輪功学習者が直訴したのかは、全部天安門広場の派出所から報告するようになっています。そのため各地は大量の警察および財力を通して、上京する法輪功学習者を阻止する以外に、天安門広場の派出所にも賄賂を送ることで、直訴にきた法輪功学習者を逮捕し地元に強制送還することで、上部に報告せずに済ませるのです。内部からの情報によると、それで天安門広場の派出所は大もうけしたそうです。
記者:各地からの直訴者がたくさんいたので、各地は贈賄を通して、指数を減らすことで、その職務が免除されるなどの懲罰を受けずに済むのですね?
韓:その通りです。
@文書を口頭で伝達
記者:中共は「610オフィス」の存在を未だにも否定しているのです。法輪功の問題に関して政策的な指令文書が存在しますか?例えば「610オフィス」は口頭による伝達ですか?それとも内部専用の公文書ですか?
韓:私の記憶の中では、未だ公式の公開文書はありません。通常は指導者が訓示をするのです。中国では指導者の訓示が官的な指示になります。指導者の訓示記録、それから一部の情況を通報する文書にも、指示が書かれています。口頭による伝達が一番多いですね。
記者:会議では、誰がこれらの指示を手配するのですか?
韓:二部分から成り立っています。一部は地区の市委が手配し、要求を出します。それから業務部門から見れば、つまり遼寧省司法庁が要求を提示し、任務を手配し、それから“経験”を交流します。会議と指導者の訓示と言うニ種類の方式で、この仕事が手配されるのです。
@司法系統が法輪功への迫害に参与
1.労働教養所が法輪功学習者を監禁する
記者:あなたは具体的に何を管轄していたのですか?
韓:私にはたくさんの職能がありました。例えば法制建設、法律の普及、弁護士の管理、公正の管理などがありました。その中には瀋陽市の一級監獄と労働教養所の管理が含められていました。四つの労働教養所のうち三つに、法輪功学習者が監禁されていました。
記者:各教養所は、一番多いときでは、何名の法輪功学習者が監禁されていましたか?
韓:そうですね。一番多いときは400から500名の法輪功学習者が監禁されていました。
記者:いつから監禁されるようになったのですか?
韓:1999年の終わりから、今も監禁されています。
記者:その間にあなたがどんな命令を受けたのですか?私の知るところによると、労働教養所とは軽微な犯罪者を監禁するところで、法輪功学習者はなぜ他の施設ではなく、労働教養所に監禁されるのですか?
韓:これは中央からの命令です。最初から弾圧に介入したのは公安でした。司法系統は介入しませんでした。そして、公安局の収容所では監禁しきれなくなったので、当時この仕事を担当した瀋陽市の副書記が私を訪ねて、私に法輪功学習者を監禁するための労働教養所を建設するように求めに来たのです。瀋陽市はもとから四つの労働教養所は全部男性を監禁し、女性は全部他の施設に移っていましたので、今回彼が来たのは私に女性の法輪功学習者を専門的に監禁する施設の着手を求めてきました。最初から私は同意しませんでした。なぜなら労働教養所は軽微な犯罪者を監禁する場所であって、法輪功学習者を監禁するところではないからです。それに法輪功は法律の観点から見て、何の罪もないですから、ここで監禁してはいけないと思っていました。
記者:最初からあなたはその意見に反対し、同意しませんでしたね?
韓:最初から同意しませんでした。当時の書記は机を叩いて、「何か問題があったら私が責任を取る、あなたはただ命令を執行すれば良い」と言い出しました。そこで私は司法庁の指示を待つと答えました。帰ってから遼寧省司法庁長に電話をして、彼も法輪功学習者を労働教養所に監禁するのは良くないと応えましたが、数日のち、一週間もたたないうちに、司法庁の態度は一変したのです。私たちを招集し、会議で私たちに法輪功学習者を監禁するための施設を作るように、命令を下したのです。こうなりますと私も楯突くことができなくなったのです。もし私がそれ以上反発すれば、私自身も党内の異見分子とみなされ、厳しく処罰されることになります。どうしょうもなく、龍山労働教養所で法輪功学習者を監禁するようにしました。しかし私は自分の職権の範囲内で、できるだけ法輪功学習者の面倒を見てきました。
2.私の接触した法輪功学習者
記者:99年の末からあなたの管轄する労働教養所ではすでに法輪功学習者を監禁するようになりましたが、彼らと接触したことはありますか?
韓:彼らとはよく会っていました。私はよく夜になると、彼らを見舞うためこの三つの労働教養所に行き、彼らと会話をしていました。どんな人なのかを、知りたかったからです。
記者:では、あなたが知っている法輪功学習者とはどんな人ですか?
韓:身分から言うと、労働者、農民、学生、教師、インテリ、中には中共の党員もいました。これらの人たちは社会を構成する基本的な公民でした。高齢の女性の法輪功学習者もいれば、若い女性もいました。病気を患っている人もいました。
彼らの煉功する動機からみると、二つの原因が感じられました。一つは、中共の宣伝してきた信仰はすでに消えてなくなり、もう信仰に値するものがなくなったが、人間はどうしても信仰をほしがるもので、たくさんの人は法輪功の提唱する真・善・忍こそが人間性に準ずるもので、彼らの願いにかなうものだと感じたため、信仰するようになったと思います。それに法輪功という信仰を持つことで、心身ともに充実するように感じたと法輪功学習者はいっていました。もう一つの原因とは、煉功することで健康な体を維持することができ、たくさんの病人の持病も、法輪功の修練を経てから消えたそうです。ですから彼らと交流しているうちに、みんな良い人ばかりと感じるようになりました。私の管轄下に監禁されている女性の法輪功学習者は全部良家の婦人だったので、彼らに同情して、私はいつもできるだけ彼女たちの面倒を見てきました。
記者:労働教養所について、私たちは海外のメディア報道から、よく労働教養所で法輪功学習者を殴打し、虐待する事例を耳にします。あなたの管轄する労働教養所でもこのような事案は見られますか?
韓:ありますよ。2001年7月15日に、「韓天子」と呼ばれていた15歳の女の子が、労働教養所の警察にもう修練しないとの保証書を書くようと強制されましたが、彼女はどうしても従わなかったため、龍山労働教養所の副院長の白素霞をも含めた警察が、電気棒でこの女の子を電撃したのです。この事件は法輪功学習者の間で非常に大きな反響を呼び、彼らは絶食を通して抗議したのです。
事件は私のところにも報告されました。私は従来から法輪功学習者に対して暴力を加えないように要求してきので、それを聴いて私は非常に怒りを感じたのです。そしてその場で、私は白素霞を免職して龍山労働教養所から配置を転換させたのです。そしてもうこれ以上法輪功学習者に対して暴力や虐待を実施しないように部下に要求したことで、法輪功学習者たちも事件の処理に満足していたようです。
3.高蓉蓉事件および馬三家の「成功」経験
記者:最近、高蓉蓉さんという、電撃のため顔面が高度な火傷を負った女性の法輪功学習者が、今年の6月16日に迫害により死亡した事件について、これは実在の事件だと思いますか?龍山労働教養所、つまりあなたの管轄する労働教養所での出来事でしたが。
韓:この事件は私が職場から離れた後に起きたのです。その後私もサイトからそのことを知るようになったのです。彼女の顔面部が高度に焼かれたのを見て、私も非常に驚きました。このような事件が起こる可能性は十分あります。
その当時、私の知るところでは、法輪功学習者に対する虐待が最も甚だしく行われていたのは遼寧省の馬三家労働教養所でした。それは私の管轄に属さず、遼寧省司法庁が直接管轄しているのです。この労働教養所は転向率を上げるため、法輪功学習者に対して多種の虐待を実施していました。最初は私もそれを知らなかったのですが、後に遼寧省司法庁が各市の幹部に馬三家での転向の経験を勉強させるように指示を出したため、瀋陽市司法局の副局長張憲生が行きました。彼が帰ってから私に、「馬三家労働教養所の基本的な経験は、つまり電気棒による電撃のようだ。私たちも試してみようか」と言いました。
その言葉を聴いた私は直ちに拒絶しました。それに私の知っているところでは、馬三家労働教養所が法輪功学習者を虐待することは他の法輪功学習者から聞いたのです。2000年下半期に、遼寧省司法庁の副庁長が私に、十名ほどの女性法輪功学習者が馬三家労働教養所ではいろんな方法を通しても、転向されなかったため、私の管轄する労働教養所に移転するように、電話の中でそう要求しました。
記者:言い換えると、馬三家の転向率が高いのは、電気棒のような残虐刑を使っていたからですね。それでもこの10人の法輪功学習者は転向しなかったのですか?
韓:そうです。それでも転向されなかったため、私のところに移転されました。上からの命令ですから、受け取るしかなかったのです。10名がこっちに着てから、ある晩に、私は彼女たちを見舞いにいきました。二人が一つの部屋に監禁されている中、特にyin姓と趙姓の女性と長い時間に渡って会話をしていました。彼女たちは自分たちが馬三家労働教養所で受けた残虐刑を語っていました。例えば太ももを指でつねる刑、トイレで足を90度近くの姿勢で長時間立たされる刑、また冬に、雪の積もった地面で腕立てをするなどの、電撃以外の残虐刑についていっぱい話してくれました。
それで私は彼女たちに筆と紙を渡して、事件について詳しく書いてもらったのです。数日後に、その材料に私のコメントもつけて遼寧省の司法庁長に郵送したのですが、このことで遼寧省の司法庁長が私に対して非常に不満を感じたそうです。
4.労働教養所での製品生産
記者:海外での反響が大きいのは、アメリカやカナダなどの、たくさんの国々は奴隷制の下での生産された製品を禁じています。しかし海外の報道や私たちの手に届いた情報によると、中国の労働教養所ではたくさんの強制的に生産された製品が、輸出のために製造されているだと言われています。あなたの管轄する労働教養所ではこのような現象は見られますか?
韓:ありますよ。昔からの話題です。この制度はもう何年もたっていますが、今のところ何の変化もありません。中国には二つの問題があります。一つ目は労働教養の人は必ず労働すること。二つ目とは中国の監獄と労働教養所は経費不足の問題があるため、必ず労働を通してその経費の不足を補わなければなりません。そこで一部の加工する仕事、例えばクリスマス・ツリー、熊、アヒル、ひよこなどのぬいぐるみが、輸出のためによく造られていました。
記者:これらの製品は全部労働教養所で加工され、そして輸出されるのですね。それでは労働者は報酬をもらえますか?
韓:基本的に報酬はありませんよ。監獄によっては非常に少ない報酬はあるようですが。
記者:実際のところ、強制労働される労働者はなんの報酬ももらえないということですね。