「動向」誌:胡錦濤氏、「花の革命」防止に全力

【大紀元日本7月12日】中央アジアで本年相次いで起きた「花の革命」(注1)は、中国国家主席・胡錦濤氏に大きな驚きと恐れをもたらした。5月下旬、胡氏は内部会議で「砲煙のない戦争を戦う」という方針を発表した。中国の周辺地区で欧米諸国による「花の革命」の発生を阻止し、米国による中国を転覆する企てを粉砕するとしている。この発表は、公式な文章の形で、県、団レベルの幹部まで通達された。メディアを厳しく統制し、異見者維権運動人士(注2)への監視と抑制を強め、出版業を全面的に粛清することを報告では要求している。香港の中国政情専門誌「動向」7月号の「胡錦濤、花の革命防止に全力」(文・程宇陽)がこの詳細を伝えた。

「動向」7月号によると、胡氏は、中央アジアで起きた「花の革命」について詳細な情報を収集していたという。その中で、特に米国系のソロス基金会(Soros foundation)の役割に注目。

 

胡氏の発表によると、2003年、グルジアで起きたバラの革命(ビロード革命)でエデュアルド・シュワルナゼ大統領が失脚し、反対派リーダーのミハイル・サーカシビリ氏が新大統領に当選した。失脚したのは、シュワルナゼ氏はメディアに「金融巨頭ソロスが、バラの革命に、250万から300万USDの活動資金を出したと聞きた」と怒りをもって告発した。また、2004年ウクライナで起きたオレンジ革命に、ソロス基金会の傘下にある「ウクライナ開放社会研究所」が革命で重要な作用を果たしたという。さらに、過去2年間、米国が国家民主基金会と「ウクライナ開放社会研究所」などの民間組織を通してウクライナの反対派に6千5百万USD以上の政治資金を提供した。今年3月にキルギスタンで起きた『黄色革命』で、同大統領は海外亡命した。ソロス基金会は『黄色革命』に主な役割を果たした。

さらに、胡氏は「花の革命は、漸進的、緩和的な過程が特徴。前ソ連解体後、ソロス基金会が代表する西洋諸国の勢力は、旧ソ連国家を狙って「駒」を据えた。2002年までに、ソロス基金会は、十数ヶ所の研究機構を設立。最近、ウズベキスタンで反政府デモが弾圧されたが、花の革命がその他の旧ソ連国家で下準備されている。米国は石油通路の安全を保護するため、既に公にカスピ海の周辺地区に軍隊を送った」としている。

上記の情報に加えて専門家の分析も含めて全て中央政策決定層まで呈示され、胡氏はそれを重視した。中共中央は、冷戦の教訓を研究させるため、「レーガンはどのようにソ連を崩壊させたのか」という本を部レベルの幹部全員に配った。

その背景は、米国による中国周辺国との最近の相互関係にあるようだ。 5月上旬、米国国務副長官・ゾーリックが東アジア六か国を訪問し、ベトナムがゾーリック副長官ベトナム訪問の前日、2千人の政治犯を釈放した。会談中、ゾーリック国務副長官が、ベトナムの首脳陣に対し民主と宗教自由の問題に言及し、六月に首脳を米国に正式に招待した。米国による中国周辺国との相互関係は、中国当局に高度の警戒をもたらした。中共政治局はベトナム問題について一晩かけて討論した。政治革命、経済問題の両面において、胡錦濤政権に危機感をもたらし、脅かした。石油価格の暴騰も、世界石油使用量のトップ国である米国が中国を標的に操作したと、下心がある中国の利益集団から胡氏に対して報告された。マラッカ海峡の安全中心問題に米国のインドネシア、シンガポール、マレーシアへの協力も、中国に圧力をかけ、中国の石油通路を脅かす目的であると、中国は読んでいる。

そのような背景の中、胡氏は5月の内部会議で、「砲煙のない戦争を戦う」という方針を発表した。それによると、3つの厳控令(厳しく規制する命令)を出した、つまり、メディアを厳しく規制、NGOを封殺、花の革命を防止。幹部によると、そこから受け取った恐怖感は、2002年9月2日、胡錦濤が中共中央党校で、2000人の省、部級高級幹部と教職員、学生に対するスピーチ、いわゆる「九・二スピーチ」の中で意識形態に触れた部分と同じで、まるで毛沢東時代の再来だという。

方針は、三つの部分から成り立つ。第一に、全てのメディアを厳しく規制する。中央の命令に沿わない、資産階級の自由化を宣伝するメディアに対しては、必ず責任者を入れ替えるが、外部に知られてはならない。第二に、資産階級の自由化をアピールする者・「自由化分子」、権利維持主張で直訴運動を起す者たち、法輪功愛好者ら、民間の非政府組織者などに対して厳密な監視し規制と弾圧を更に強めるとした。一旦これらの人が行動を起す兆候が見えたら、速やかに萌芽の時に壊滅する。特に、海外の「花の革命」組織からの政治、経済、文化、研究組織基金会などへのあらゆる基金を断ち切る。第三に、各出版社の出版書籍コードを民営文化公司へ販売することは禁止。民営文化公司は、図書の小売と流通業務はできるが、出版業務には関与できない。

方針が発表された後、中央宣伝部、新聞出版総署が6月に北京大興県で、全国から二百あまりの出版社の責任者を呼び、十日間にわたる会議を開き、胡氏の方針を実行する具体的対応を話し合った。54社の出版社が営業停止を命じられた。新聞出版総署ウ スウリン副署長は、民営出版ルートを「悪性の腫瘍」として、「切り捨てるべきだ」と強く主張した。

(注)

1:「花の革命」-英語でcolor revolutions, またはflower revolutions。1980年代以来、中央及び東ヨーロッパのポスト共産主義社会を中心に、最近、中央アジアの一部分に広がり起こった政権交代の関連運動の総称。運動の形態は一般的に非暴力であり、民主、自由と民族の独立を主張。

2:「維権運動人士」-基本的人権が当局により侵害された場合、権利維持主張で直訴運動を起す民間の人たちのこと。中国大陸で現在起きている、民衆による自発的な一種の「草の根」の運動。

関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。