ワシントン・ポスト紙:中国の石油戦略

【大紀元日本7月16日】中国海洋石油(CNOOC)が米ユノカル社買収に乗り出したことに関し、アメリカ政府内で熱い論議が交わされる中、世界中で石油資源の確保に走り回る中国の動向が注目されている。

 ワシントン・ポスト紙13日付け記事「中国の石油戦略の大転換」は、中国が石油ルート確保を急ぐ原因として、次のように指摘している。第一に、イラクの豊富な石油資源を開発しようという中国の試みが、イラク戦争により実現困難になったことである。国連による経済制裁で、世界のイラクに対する石油開発投資は長い間凍結されていたが、それに対して北京政府は大きな反対の声を上げていた。イラク戦争の勃発により、中東、特にイラクに対して最大の影響力を持つ国はアメリカとなったが、中東での石油覇権争いにおいて中国はアメリカと対決する気はなく、ターゲットをその他の地域へシフトしていると専門家たちは分析する。第二として、中国では経済成長とともに、工場、オフィスビル、集合住宅及び自動車の数量が驚異的なスピードで増加しており、エネルギー需要が急速に上昇しているということが挙げられる。中国政府の推計によると、中国での年間原油需要量は2020年前までに6億トンに上る見込みで、その量は世界の石油生産量の三倍になる。急速に成長する経済を維持するために、莫大なエネルギーを必要としているのである。第三の要素として、もし台湾海峡で戦争が始まれば、アメリカが必ず海上の石油補給ルートを封鎖するであろうと、北京の高官たちが予想していることである。米ユノカル社は、東南アジアのミャンマーに天然ガス田を保有しており、陸路の燃料輸送パイプラインで直接中国本土に輸送することができるのである。

ワシントン・ポスト紙によると、中国は2003年ごろから積極的に石油資源獲得に乗り出した。中国石油天然気集団公司(CNPC)は、海外にある石油産出プラントを精力的に買収し、ペルー、チュニジア、アゼルバイジャン、モーリタニアなどを含む12カ国と、20件の契約を結んでいる。また胡錦涛主席は去年の末、石油開発に向けてアルゼンチンに5億ドルの投資をすると述べている。

海外における各国のエネルギー獲得競争が展開する中で、中国が異色なのは、安全上の問題や政治的な問題を抱え、経済制裁を受けていたり、国際的に評判のよくない国だったり、つまり西洋の石油会社が接触できないような国々にも躊躇することなくアプローチしていることである。例えば、首都ダフールで集団虐殺があり、アメリカから強い非難を浴びているアフリカのスーダンが擁する合併石油会社の最大株主はCNPCである。また、中国はイランと700億ドル相当の石油・ガス購入契約を結び、テヘランを孤立させることにより同国の核兵器製造を阻止しようとするアメリカやヨーロッパの試みを実現困難にしているという現状がある。

中国政府のエネルギー顧問を務めているというある人物は、匿名を条件にワシントン・ポスト紙のインタビューに応じた。「世界で除け者にされている国の石油だろうが、友好国の石油だろうが、関係ない。人権だって? 私たちには、関係ない。私たちには石油が問題なだけだ。イランが核兵器を持とうが持つまいが、私たちが口出しすることじゃない。アメリカは気にするかもしれないが、イランはわが国の近隣国ではない。誰であれ中国にエネルギーを供給してくれる国は、わが国にとって友好国だ」と話していた。

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