第17次全人大に向けた党内内部闘争を語る=新唐人テレビ「独立評論」

【大紀元日本1月15日】中国時事問題の本質に切り込むことで定評のある評論番組「独立評論」(新唐人テレビ1月5日放送)で、政治評論家の伍凡氏(ウエブ雑誌「中国事情」編集長)と経済評論家の草庵居士は、来秋の中共17次全国人民代表大会(以下、「17大」)に向けて中国共産党(中共)内で起きている権力闘争について、その内幕を語った。

伍凡:みなさん、こんにちは。「独立評論」の時間です。来秋には17大が召集されます。中共党内の各派は、各自の権力、地位、利益のため、また、17大の主導権を握るため、陰に陽に闘争を繰り広げており、収拾がつかない状況になっています。

草庵:17大における権力、地位、利益のため、胡錦濤が黄海の海軍軍事演習の際に暗殺未遂に遭遇して以来、党内の生死を賭けた争いが全面的に展開されています。胡錦濤は、反腐敗を手段とし、打撃を加えて突破口を開くため、まず上海から着手しました。昨年9月、陳良宇が「双規(党中央紀律検査委員会による内部調査)」され、第16次6中全会で罪を宣告する予定でした。しかし、意外にも、6中全会において陳良宇の反抗、各地方諸侯の中央委員らの抵抗に遭い、陳良宇の事案について刑を定めることができなかったのです。

伍凡:陳良宇の事案について刑を定められなかった原因は、一つが証拠不足、二つ目が、胡錦濤の権威が不十分で、政治局常務委員会において、胡錦濤は少数派です。すなわち、胡錦濤、温家宝、呉邦国で構成される政治局常務委員会中核グループにおいても2:1であり、3つの賛成票で決定しているわけではありません。いわゆる証拠不足とは、陳良宇が「双規」を受けた理由が、上海市の社会保障基金32億元を流用したことですが、これは流用した資金で投資をし、利益を得たに過ぎず、陳良宇が社会保障基金を巡って汚職をしたという証拠にはなりません。このため、胡錦濤は拳を高く振り上げたはいいが、それを下ろせない、つまり、攻撃のポイントを見つけられないのです。胡錦濤の権威不足は彼の致命的な弱点です。江沢民は、当時まだ健康であった_deng_小平を利用し、1995年9月、14次5中全会において中央政治局から失脚させ、97年2月に_deng_小平が世を去ると、その半年後に江沢民は陳希同を共産党から除籍しています。98年、陳希同は懲役16年の判決を受けました。胡錦濤は、この江沢民に及びません。胡錦濤による陳良宇への攻撃には安定した後ろ盾がなく、かえって多くの政敵を作り出しているのです。

草庵:胡錦濤は暗殺未遂に反撃するため、曾慶紅と連合して急遽出陣し、反腐敗の名目で陳良宇を攻撃しました。しかし、十分な証拠がないことから、その力は必然的に軟弱になります。一方、仮釈放された陳希同は、現在の北京を掌握している賈慶林と劉_qi_を攻撃しようとしており、今も胡錦濤を支援できていません。胡錦濤が、単に「社会保障基金の流用」を利用するだけでは、いずれにしても陳良宇に大罪を下すことはできません。第一に、今に至っても、中国全人大は、社会保障基金法を制定していませんし、上海は、全国で社会保障基金を推進する上で、代表的な試行ポイントとなっています。このため、陳良宇による運用権行使の試行過程において、誤りがあっても、それは業務上の経験の欠如あるいはミスでしかありえません。これで、どうやって有罪の決定ができるのでしょうか。また、試行業務におけるこうした状況が見られるのは、おそらく、全国で一つに止まるものではありませんが、どうやってこれらを同一の基準で処理できるのでしょうか。これが、地方諸侯が従わない局面を作り出しています。彼らも、いつ同じ罪名が自分の身に降りかかってくるか心配なのです。これが、陳良宇への同情心を生み、誰も陳良宇を責めないどころか、かえって胡錦濤を支持しない局面が発生しているのです。また、胡錦濤が6中全会で一挙に陳良宇を打倒しなかったために、局面は膠着状態となっています。局面は変化してきており、2か月たって、中共政治局の議論は次第に変調しています。

伍凡:胡錦濤は曾慶紅の攻撃手段として党内の「双規」を利用したが、これが二つの弊害をもたらしました。第一に、利用したのが司法による公開のプロセスではなく、「双規」でしたが、これはブラックボックスで、ひいては闇取引です、こうしたやり方では民衆の支持は得られず、中共中央の意思統一はできず、上海の官僚は心服せず、地方諸侯も降参しません。こうしたやり方では、胡錦濤は公明正大に正義を確立したとはいえず、かえって胡、曾のブラックボックスであることを人々に知らしめる結果になるのは必然的です。第二に、胡、曾の闇取引は、成功するという計算の下に行われています。かりに、陳良宇に対する攻撃が成功せず、曾慶紅が予想した政治利益が得られない場合、闇取引は成立しなくなり、曾慶紅には再び胡錦濤と連盟する理由は無くなり、両者の連盟が崩壊し、政敵となります。これは、胡錦濤にとってはもっと危険な取引であり、政敵を更に増やすことになります。

草庵:そうです。2か月前に胡、曾が組んだ結果陳良宇を打倒できないとなると、胡錦濤は面倒なことになります。現在、曾慶紅は胡錦濤と手を切ろうとしています。曾慶紅の引退の原因は、次の二つのいずれかにちがいありません。第一が、曾慶紅が極めて大きな面倒に遭い、党内で大きな攻撃に遭って負けを認めて逃走したこと、第二が、後退をもって前進をはかり、死力を尽くし、胡錦濤に対してよリ多くの政治的要求を提出したということです。

11月上旬、中央政治局常務委員会の会議において、曾慶紅は、当初決まっていた議事を乱し、彼が17大で全面的に引退することを提起し、胡錦濤に対してそのための5つの条件を提出しました。

曾慶紅が提出した条件は次のとおりです。

(一) 16大で制定し、可決された政治綱領を維持し、「三つの代表」思想を指導思想とすること。

(二) 党総書記、国家主席、中央軍事委員会主席の任期を二期とすることを法定の期限とし、党の規程として定めること。

(三) 17大における中央政治局の候補者に対する政治審査においては、文化大革命における「3種の状況」にある者を一律に参加させないことを必ず堅持すること。(「3種の状況にある者」とは、文化大革命において造反によって家を成した者、暴力、破壊、略奪を行った中核分子、及び風波人物(自己のスタンスを持たず、常に大勢になびいて来た者)。曾慶紅がこうした「強硬な条件」を突きつけたのは、実際のところは、胡錦濤に、李源潮、薄熙来などの人物を中央政治局入りさせないためである。

(四) 重大な方針、政策の制定及び意思決定に際しては、原則として、中央政治局常務委員会の一致(意見の留保を含む)による可決とし、中央政治局委員の75%の賛成で事案が可決されるものとすること。中央政治局、中央政治局常務委員会の常務委員会における「核心小組」(総書記、総理、人大委員長の3人で組織される中核的なな小グループ)は撤廃すること。

(五) 1949年12月31点xun_ネ後に革命業務に参加した同志にあっては、離退職後、一律に政治上の特別待遇を受けられないものとすること。

伍凡:曾慶紅が提出した5つの条件から見ると、中共の指導思想、組織機構、人事の路線、最高層の意思決定メカニズムをも全て改変することを要求しています。胡錦濤はこれに応じられるのでしょうか?まず、曾慶紅がこうした手段に出た理由を分析しましょう。私は、先ほど胡錦濤が陳良宇を打倒しきれず、胡、曾は手を切ると述べました。現在の曾慶紅による5つの条件は、手を切ることに止まらず、退くことをもって前進を図り、江沢民の威厳を借りて、胡錦濤に対して更なる譲歩を迫っています。曾慶紅は、胡錦濤が彼なしではいられず、優位は彼(曾)にあって胡錦濤にはないことを知っています。曾慶紅の5つの条件は江沢民寄りです。要求の第1条には、「16 大で制定、可決された政治綱領を維持し、『3つの代表』思想を指導思想とすること」とあり、党綱領における表面上の文章として疑わしい点はありませんが、これは胡錦濤による「和諧(調和)社会」の政治的地位を脅かすものです。

草庵:5つの条件のうち、第2条は、明らかに胡錦濤に対するものです。党総書記、国家主席、中央軍事委員会主席の任期を二期とすることを法定の期限とし、党の規程として定めることについて、胡錦濤は、3つの大権を掌握していますが、党総書記、国家主席は二期を超えてはならないという明文上の規程があり、中央軍事委員会主席のみが、党綱領及び憲法上任期の制限がなく、_deng_小平や江沢民は、いずれも自主的に辞職しています。曾慶紅は、胡錦濤が無期限で再任されることを阻止するため、機を見て先手を打ち、17 大が終わった後に、胡錦濤に3つの大権を引き渡すよう求めました。これは、胡錦濤に対する新たな挑戦です。

伍凡:胡錦濤の現在の人事路線は、「青紅幇」路線です。この「青」とは共産党青年団を指し、「紅」は文化大革命のおける紅衛兵を指しています。5つの条件のうち、第3は、17大における中央政治局の候補者に対する政治審査においては、文化大革命における「3種の状況」にある者を一律に参加させないことを必ず堅持すること。これは、胡錦濤の17大における人事配置を乱すもので、自分に追随する彼の大子党らを、より多く中央の政策決定機関に入れることで、彼の17大における地位、発言権を強化させるためのものです。

草庵:5つの条件のうち、第4は、胡錦濤の決定能力を制限するためのものです。曾慶紅は、中央政治局、中央政治局常務委員会の中核グループの撤廃を求めていますが、それは、曾慶紅が核心小組のメンバーではないからです。この第4の提案が実現すれば、胡錦濤は中央政治局、中央政治局常務委員会の招集者の一人にすぎなくなり、重大な問題、方針及び政策について決断する権力が無くなり、全てを常務委員会の一致、政治局の75%の票で可決しなくてはなりません。こうした政策決定メカニズムは、効率、質が大きく低下します。中央政治局常務委員会にあっては2、3人が、中央政治局内にあっては3分の1が反対しさえすれば、どんな決議もできなくなります。こうした意思決定モデルは、実際のところ、世界の大国にはありません。この政策決定モデルの深刻な問題は、中央政治局の9人に権威が無く、誰も、誰に対しても従わず、皆が最終的な決定者であろうとするために、決定権限を各常務委員に分割せざるをえなくなり、その結果として誰も政策決定ができなくなります。これが、現在の中共最高層における最も深刻な問題です。

伍凡:西方の民主選挙における大統領の選出においては、こうした足の引っ張り合いは見られません。西方国家の最高政策決定者は選挙民であり、憲法によって権限を付与されており、中央政治局常務委員会の9名の委員が相互にけん制しあうようなことはありません。最高政策決定者は、彼の執政団体に従い、公約を実現できなければ次の選挙で失敗します。こうした政策決定モデルは、中共における足の引っ張り合い的な内部闘争モデルに比べて、簡単かつオープンであり、選挙民はいつでも監督することができます。

草庵」:5つの条件のうち、第5は非常に興味深い内容です。中共の指導者は既に第4世

代に入っており、全てが1949年12月31点xun_ネ後に業務に参加したもので、「老革命(革命の先駆者)」の資格は全くありません。全ては党及び国家制度の下での公務員にすぎず、退職後に特殊な政治的、経済的待遇を求める理由はありません。この提案は、中共党内の派閥を減少させ、財政部の財務負担も軽減し、公務員が終身で俸給を貪る結果を取り除くことができます。

伍凡:胡錦濤は、曾慶紅の条件を全て受け入れることができると考えますか。曾慶紅がこうした条件を提出した目的は何であると分析していますか?

草庵:私は、全てを受け入れることはないと推測しています。胡錦濤と曾慶紅は、再び闇取引をするでしょう。これは、中共の内部闘争にある常態のひとつです。戦いと交渉を繰り返すプロセス(打打談談)にあっては、二つの原則を遵守しなくてはなりません。第一に、攻撃はするが、中共という船を沈没させてはなりません。これは、双方にとってメリットはなく、適度に止め、戦いをしばらく停止して交渉に入り、ブラックボックスの取引をするのです。第二に、交渉、取引は、戦いの後の必然的な過程で、双方の実力に基づき、権利、利益を調整し、各派の利益をできるだけ多く実現し、新たな均衡を求めるのです。こうした権利、利益の再配分のモデルは、中共が徹底的に失脚するまで継続して運用されていきます。

胡錦濤は、選択的に提案の一部を採用し、処理に融通を利かせ、曽慶紅の面子を立てるでしょう。例えば、第1条は、条件付で受容できます。「3つの代表」と「和諧(調和)社会」を指導思想として並列化するのです。第5条も条件付で受容でき、省の部級以上の退職官員に特別な待遇をするといった措置が考えられます。

私は、曽慶紅が中共中央軍事委員会第一副主席のポストを求め、17大においてより多くの指導、統制権を求めると推測します。曽慶紅がこの二つの目的を達成できない場合、彼は江沢民側に流れ、胡錦濤に対して多くの難題を突きつけるでしょう。曽慶紅は、胡錦濤が彼の全面的引退を望んでおらず、彼の助けを必要としていると考えています。これこそが、曽慶紅が5つの条件を提出した原因です。

伍凡:中共において、権威が無い人物が出現した後に上述のような内部闘争の現象が発生することは非常に正常なことで、まったくおかしなことではありません。中共の政策決定モデルから、中共の二つの将来を予測することができます。第一に、現在の政策決定モデルを継続すれば、内部闘争が止むことはなく、中共党員が不断に脱退を続ける中にあって、最期には瓦解へと向かうでしょう。私は、中共内部において民主改革を推進する決心は胡錦濤にはなく、彼は、何十年も苦しんで得た、たどり着くことが容易でない権利、地位を放棄することはないと推測します。

草庵:今般、曽慶紅が前に出て胡錦濤に要求を突きつけたわけですが、今後中共がどう変動してくのか、現在のところ予測は難しく、我々は引き続き、密接な関心を持っていく必要があります。本日は時間になりました。それではまた。

伍凡:それではまた。

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